手足が震える、パーキンソン病の症状とは

パーキンソン病は、
脳からの指令がうまく身体に伝わらず、
スムーズに動けなくなってしまう病気です。

50~65歳で発症することが多く、
進行のスピードはゆっくりです。

患者数は高齢になるほど
増える傾向がありますが、
若い人が発症することもあります。

日本人の10万人あたり100~150人、
つまり約1,000人に1人が
この病気にかかっているといわれています。

残念ながら、パーキンソン病を
完全に治す方法はまだありません。

ですが、お薬による治療で
症状はかなり改善されるので、

今までと変わらない生活を
送ることができます。

今回は、そんなパーキンソン病の症状や原因、
治療法などについて詳しくご紹介します。

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パーキンソン病の主な症状

パーキンソン病には、
次の4つの特徴的な症状があります。

・手足がふるえる(振戦)
・動きが遅くなる(無動)
・筋肉がこわばる(筋固縮)
・バランスがとり辛くなる(姿勢反射障害)

これらの症状により、

・顔の表情が乏しい
・小声
・書いている字が徐々に小さくなる
・屈曲姿勢
・歩いていると徐々に早足になり
 止まれなくなる(突進現象/加速歩行)

など、いわゆるパーキ ンソン症状
といわれる運動症状が現れます。

症状は少しずつ進行し、十数年後には
寝たきりになってしまう患者さんもいます。

運動症状以外にも、

・便秘、頻尿、尿失禁などの自律神経症状
・不眠、寝返りができない、
 昼間の突発的睡眠などの睡眠障害
・うつ症状、幻覚、不安、
 パニック障害などの精神症状
・認知機能障害

などの非運動症状も見られます。

パーキンソン病患者の約半数に
うつ症状の傾向があるといわれていて、
患者さんも家族も気付かないことが
多いです。

認知機能障害は、パーキンソン病が
進行すると約2割の方に現れます。

手足が震える、パーキンソン病の症状とは

パーキンソン病の原因について

脳の黒質(こくしつ)という部分に
異常が起こり、正常な神経細胞が
減ってしまうことで身体を動かす機能を
調節するドーパミンが作られる量も
減ってしまいます。

ドーパミンの量が正常な人の
20%以下にまで減ると、
パーキンソン病の様々な症状が
現れると言われています。

神経細胞は年を取ると
自然に減っていくものですが、

パーキンソン病の方は
黒質の神経細胞が正常な人よりも
早く減ってしまいます。

しかし、なぜそれほど早く
減ってしまうのかは、
まだ完全にはわかっていません。

環境や遺伝子など、様々な原因が
絡み合っていると考えられています。

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パーキンソン病の治療について

パーキンソン病の治療の基本は、
抗パーキンソン病薬の内服による
薬物治療です。

抗パーキンソン病薬の中心となるのは
ドパミン前駆物質である
レボドパ(L-ドーパ)で、
脳内の減少したドーパミンを補充します。

これにより患者さんの多くは
パーキンソン病の症状が改善されますが

効果が現れるのに時間がかかり、
様々な副作用も存在します。

患者さん一人ひとりに合った使用量を
慎重に調整しなければならないため、
専門家の管理下で服用する必要があります。

また、抗パーキンソン病薬には欠点としては、
長期使用によって

・効果が薄くなり1日に何度も症状が変動する
 (ウェアリング・オフ現象)
・自分の意志とは関係なく身体が動いてしまう
 (ジスキネジア)
・吐き気や不整脈などの合併症

が現れることがあります。

副作用により日常生活に支障が出たり
幻覚・幻聴などの症状が現れた場合は、

主治医と相談の上、
薬の内容や量、飲み方などを変更します。

自己判断で薬を減らしたり止めたりは
絶対にしてはいけません。

高熱や身体の硬直、言語・嚥下障害、
意識障害などの悪性症候群という

命に関わる危険性もある
重大な副作用が出る恐れがあります。

このような長期にわたる
薬物治療の問題点を緩和するために、

定位脳手術や深部脳刺激法などの
外科治療が行われることもあります。

パーキンソン病かな?と思ったら病院へ

手足が震える、パーキンソン病の症状とは

症状の進行はゆっくりであるものの、
放置すれば十数年後には
寝たきりになってしまう
恐れもあるパーキンソン病。

しかし、お薬での治療により
これまでと変わらない生活を
送ることができるようになります。

手足のふるえや筋肉のこわばり、屈曲姿勢、
歩いていると徐々に早足になったり、
上手く方向転換や停止ができないなど、

パーキンソン病が疑われる症状が現れたら、
神経内科を受診しましょう。

症状の種類や重さ、
進行度合いには個人差があり、

特にうつ症状や認知症、自律神経症状や
睡眠障害といった非運動症状は、

パーキンソン病によるものと
気付きにくい症状です。

少しでも気になることがあれば、
主治医など医療機関にご相談ください。