最近、肌が黄色い・・・。前にはなかった症状だとしたら、心配になりますよね。こちらは心配のいらないときと、実は病気が潜んでいる時があります。
肌が黄色いだけで、肌もくすんで見えてしまいます。顔が黄色いとどんなことが考えられるかについてお話ししたいと思います。
黄色人種だから黄色くて当然か
ふと、肌が黄色いと感じた時、同じ日本人でも色の白い人もいれば、色の黒い人もいますし、黄色い人もいます。でもあまりに黄色いと気になってしまいますよね。
そもそも、人種によって肌の色が違うのは、皮膚内のメラニン色素が関係しています。白色人種はメラニン色素の量が少なく、黒色人種はメラニン色素の量が多いのです。メラニン色素は、紫外線から私達の身体を守ってます。住む地域の紫外線量に大体比例しているんです。
細胞やDNAにダメージを与えないようにしている、いわば天然のUVカット剤のようなものです。個人差はあれど、心配がない程度の肌の黄色さもあれば、後述しますが病気によることもあります。
顔が黄色くなる原因
黄色人種である私達は、白色人種の方に比べるとメラニン色素が若干あるので、それも黄色くなる原因ですが、他にも黄色くなる原因はあります。
1.黄疸によるもの
黄疸は肝臓や血液に異常が起きた時に、皮膚や白目が黄味を帯びてきます。肝臓によるものは、肝臓で胆汁が作られるのですが、肝臓の病気によって胆汁が血中に流れ込むことで、皮膚や粘膜が黄色くなってしまうのです。
血液によるものは、赤血球が一度にたくさん壊れた時に起こります。どちらも血液中にビルリビンという物質が増加することで、皮膚や粘膜が黄色くなります。
2.貧血によるもの
貧血になると赤血球の数が少なくなり、皮膚本来の赤みが少なくなって顔色が黄色っぽくなります。顔が黄色いだけでなく、貧血の症状もある場合は貧血を疑い改善していきましょう。
貧血の改善には鉄分が欠かせません。貧血は顔色だけでなく、だるさ・めまい・頭痛・息切れといった様々な症状が現れます。たかが貧血、と思わずにきちんと改善していきましょうね。
3.糖化によるもの
体内のたんぱく質や脂質が、体内の「糖」と結びつくことで、皮膚が黄色くくすんでいきます。下の項目でも説明していますが、糖質の過剰摂取が主な原因です。
そのまま放っておくと、顔色だけでなくシワやほうれい線・たるみにつながりどんどん、お肌が老化していきます。また、糖尿病や動脈硬化・アルツハイマーを引き起こすといった、身体に深刻な影響が出ます。
4.柑皮症によるもの
ミカン、人参などのカロチンを多く含む食品を食べ過ぎることで、皮膚が黄色くなっていきます。後述しますが、他にも病気によるものもあります。
5.胃腸の不調
病気はもちろん、ストレスでも胃腸に負担がかかります。胃腸の調子がイマイチだと食生活に気を付けていても、栄養の吸収が十分にできずに貧血になりそれが原因で顔が黄色くなります。
病気からくる不調は病院へ行き治療を、ストレスからくる胃腸の不調はストレス解消法を見つけたり気分転換をしていきましょう。病気の治癒・ストレスの軽減で胃腸が正常になると、栄養素がしっかり体内に吸収され貧血も改善されていきます。
考えられる病気
病気で顔色が黄色くなることもあります。具体的に見ていきましょう。
1.胆石症
胆石症とは、胆嚢や胆管に石が出来てしまう病気です。肝臓から出る胆汁の成分が固まったものが石となります。
2.肝炎
肝炎とは、肝臓に炎症が起こって、様々な症状が出ることです。肝炎には大きく分けて4つの種類があります。
・ウイルス性肝炎
・薬剤性肝炎
・アルコール性肝炎
・自己免疫性肝炎
また、発症の状態や経過から大きく分けて3つの種類があります。
・急性肝炎
・慢性肝炎
・劇症肝炎
肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、G型があり、そのうちA、B、C型は日本人に多い)、薬剤によるもの、アルコールによるもの、自己免疫によるものなどの何らかの原因があって、肝臓が赤く腫れ、発熱、黄疸、全身倦怠感、吐き気、食欲不振、褐色尿、皮膚の痒さなどの症状が出ます。急性肝炎も慢性肝炎も黄疸が出ます。
慢性肝炎での黄疸の症状は、重症度と比例して出ます。顔が黄色いからと、黄疸かどうか区別するには眼球結膜(白目)が黄色いかで判断します。
3.肝硬変
肝硬変とは、慢性肝炎が進むことで、肝臓が線維化して肝臓が硬くなっている状態です。
気になったら受診しましょう
肝臓は「静かなる臓器」ともいわれます。昔はこんなんじゃなかった、何かおかしいかもと自覚したら身体のサインを見逃さずに医療機関を受診しましょう。
1.顔色が淡黄色になる
肝臓病が隠れていると、重症な程、皮膚の黄色みが濃くなっていきます。黒みがかかっていたら、慢性的な状態になっていることもあります。
2.手の平や足の裏が黄色い
手の平や足の裏をギュッと握ってみて下さい。縦線の溝に黄色みがあったら、肝臓障害があります。
3.身体中の他の皮膚も黄色い
身体中の他の皮膚も黄色くツヤがなく、特に下肢、上肢、胸腹部に症状がある。
4.自律神経失調症からくる不眠
肝臓は神経系と深い関係があるので、肝機能が低下することで自律神経失調症を起こし、不眠症になることもあります。
5.怒りっぽくなる
肝機能が弱ると、イライラしたり精神が不安定になりやすくなります。
6.肝臓の位置の右上部分が盛り上がっている
肝臓の位置の右上部分が盛り上がっていると、肝臓に異常があります。胃の方まで盛り上がっていることもあります。胃の右横の李肋部下辺を押すと硬い、強く押すと痛いなどのありませんか?
7.右肩、首筋が凝る
肝機能が悪くなると、筋肉や腱の収縮力が低下します。硬直するので、首・肩・背中が凝りやすく、ぎっくり腰や関節痛になりやすく、右側がつるような感覚があります。
8.下肢がだるく感じる
ふくろはぎなどがだるく感じるようになり、軽いと春から夏にかけて、ひどいと一年中足がだるいことも。
9.爪に縦筋が入る
肝機能が悪くなると、爪の表面に縦筋が出てきます。
10.爪の色が黄色い
肝機能が重症な程、爪の色も黄色くなります。
11.白目が黄色い
肝機能が悪いと、白目が黄色くなります。肝機能が気になったら、まず消化器内科に行きましょう。そこで、血液検査、超音波検査、状況によってCTやMRIの検査をするようになります。
病気でない場合も
肌が人より黄色いのは、何かの病気でしょうか、それともなんともないのでしょうか。何だかモヤモヤしますよね。何でもないこともあります。前述しているものも含みますが、具体的に見ていきましょう。
1.柑皮症
柑皮症とは、みかんや柑橘類を多く食べることで、皮膚が黄色くなることです。肝機能がまだ完全に発達しきれていない子供に多い症状です。野菜や果物に含まれる緑黄色野菜の成分、「カロテノイド」をたくさん摂り過ぎることで、脂溶性であるビタミンAが体内に溜まってしまい、血中のカロテンの濃度が濃くなるのです。それによって、皮膚が黄色く変化していくのです。
みかんだけでなく、モロヘイヤ、人参、マンゴー、ほうれん草、ブロッコリー、パパイヤ、カボチャ、トマト、アプリコット、柿、スイカ、ワカメ、昆布、ひじき、エビ、カニ、いくらなどの食べ過ぎでもなります。
2.糖化によるもの
糖化とは、体内のたんぱく質や脂質が、血中の余分な糖分と結びつくことで、「糖化生成物(AGEs)」という老化を進める物質が作られてしまいます。体内で蓄積されると、肌が黄色くくすんだ状態になります。肌も硬化し、柔らかさがなくなります。
一度出来ると、改善は困難です。糖化で変性してしまったコラーゲンは分解されにくくなり、残念ながらすぐに戻りません。お肌のターンオーバーも真皮層では非常にゆっくりになり、およそ3~5年もかかってしまいます。
表皮の場合は、ターンオーバーが正常であれば28日、遅くても2~3ヶ月ほどで細胞が生まれ変わるので改善も早くなります。改善するには早期発見が非常に重要、ということですね。
3.カルボニル化
カルボニル化とは、体内にあるタンパク質と脂質の分解物が結びつき、タンパク質を変質させお肌を黄色くさせます。主に紫外線によるダメージで活性酸素が発生し、脂質を酸化、分解物質のアルデヒドを発生させます。そのアルデヒドがタンパク質と結びつき、糖化よりも顔が黄色くなります。
糖化と同じく、改善するにはかなりの時間を要します。カルボニル化は紫外線の影響がかなり強いため、紫外線対策をしっかりとすることが重要です。
紫外線は夏場だけでなく、1年中降り注いでいます。外出する際は必ず、紫外線対策をきちんとするように心がけましょう。
4.顔のこすりすぎ
日常生活での習慣も、顔が黄色くなります。入浴や洗顔で顔を拭くときにタオルでゴシゴシと、こすってしまうのは良くありません。クレンジングや洗顔で汚れを落とそうと、お肌に力を入れてしまうのも同様です。
お肌の中でも顔は特にデリケートなので、強くこすりすぎてしまうと刺激が強くなりすぎてしまいます。お肌は刺激から守ろうとメラニン色素を過剰に作り、それが原因で顔が黄色くなるというわけです。
洗顔時・入浴後に顔を拭くときはお肌をこすらずに優しく洗うように心がけましょう。タオルを優しくそっとお肌にあてるようにするのが、ポイントですよ。
顔が黄色い場合の何でもない場合と肝機能に異常がある場合のお話をさせていただきました。食べ物によるものでなさそうなら、肝機能によるものかもしれないので、気にかけてみましょう。