乳がんと診断される女性の数は、日本国内で1年間に4万人にもなります。若い世代の女性でも、乳がんを発症するケースは珍しくないので、各自治体でも、乳がん検診を補助する制度が広まっています。
乳がん検診を受ける人は、年々増加傾向にありますが、芸能人の方が乳がんの発症を公表することで、検診を受ける希望者が急増します。
どんなことがきっかけになったとしても、検診を受けることは良いことです。ただし、乳がんの検診にはいくつかの方法があります。
ここでは、乳がん検診の方法や、自分で気をつけておきたいことをご紹介します。
検査方法の種類とメリットとデメリット
乳がん検診として、一般的なのは、超音波検査、マンモグラフィー検査、触診の三種類です。
三つの検査方法のメリットとデメリットを比較しておきましょう。
超音波(エコー)検査
超音波を乳房にあてて、組織を画像としてチェックすることができます。エコー検査のメリットは、乳がんの識別がしやすいことや、乳腺が発達して密集している乳房の検査がしやすいことです。
デメリットとしては、小さなしこりが発見しにくく、石灰化した組織の診断が難しいことです。
マンモグラフィ
乳房の検査専用に開発されたX線の撮影マシンは、小さなしこりも発見しやすいので、早期発見しやすいことがメリットです。
デメリットは、乳腺が密な乳房では発見しにくいことや、わきのがんは見つけにくいこと。そして検査の時の痛みが、人によっては強く感じる点です。
触診
触診は、医師が乳房を直接触って、しこりの有無や、しこりの状態をチェックする方法です。マンモグラフィや超音波検査に組み合わせることで、より発見しやすくなります。
デメリットと言えるのは、触診だけで発見できる確率が低いことです。
年代別オススメの検査方法
乳がん検診は、年齢によっては検査が無料で受けられることもあります。ただし、自治体の補助を受けて検査をする場合は、検査方法が限られるので、自分に合った検査方法を選ぶことが大切です。
年代によって、適している検査方法があるので、確認しておきましょう。
20代
若い人の乳房は、乳腺が密なため、マンモグラフィよりも超音波の方が検査しやすいケースもあります。
生理前で胸が張っているような時期は、痛みを感じることがあるので、超音波検査を選ぶ医師が多いようです。検査方法は、医師とよく相談して決めるようにしましょう。
30代
視触診と超音波検査の組み合わせを一年に一度のペースで行うことがベストです。マンモグラフィは、それらの検査にプラスして、必要なら行うようにします。
40代以降
40代以降は、乳がんの発症率が高くなるので、一年に一度のマンモグラフィ検査と、必要に応じて超音波検査もします。
乳がん検診にかかる費用は?
乳がんに限らず、病気の予防のために行う検査や検診は、健康保険は適応されません。乳がんの検査は、受ける検査内容によって違いますが、5000円~10,000円くらいは必要です。
ただし、これは一般的なマンモグラフィや超音波の検査の費用で、最先端の乳がん専用検査装置などは、発見の精度も高く痛みも少ないのですが、5万円以上する検査もあります。
40歳以上になると、乳がん検査の費用は無料になる制度のある自治体も増えているので、お住まいの地域の制度を調べてみましょう。
乳がん検査だけに頼らないセルフチェック
乳がん検診は、若い世代の女性は、まだまだ身近には感じない方が多いのですが、血縁者に乳がんになった人がいるケースでは、20代でも定期的な乳がん検査を受けておくことをおすすめします。
乳がんは、発見が早ければ、治る確率が高いがんですから、「若いから大丈夫」と油断しないようにしましょう。
乳がんの検査を受ける以外にも、自分でもチェックすることが重要です。
乳がん検査を定期的に受けていても、発見されなかったのに、自分で「何かおかしい?」と思って検査を受けて発見されたケースもかなり多くあります。
自分の乳房の変化は、自分自身が一番よくわかるはずです。お風呂の中で身体を洗う時に、セルフチェックをしてみること。そして、乳房のカタチを鏡でチェックするだけでも、早期発見につながります。
セルフチェックの方法
まずは、チェックする項目です。
- 乳房のカタチが変形していないか
- ひきつれていないか
- しこりがないか
- えくぼのような凹みがないか
- 乳頭から出血や分泌物がないか
このようなことに、一つでも当てはまることがあれば、早めに検査を受けましょう。
両腕を上げた時に、ひきつれや変形をチェックし、入浴中は石鹸を使い、滑りのよい状態で乳房のしこりをチェックします。
腕を上げて、わきから円を描くようにしてチェックすると良いでしょう。生理前で乳房が張っている時は、なかなかわかりにくいので、生理が終わって張りが治まった時が良いタイミングです。