朝目が覚めて、起き上がろうとしたときや、体を動かそうとしたときに、突然首に「いたた!」という強烈な痛みを感じたことはありませんか?これはいわゆる「寝違え」というもので、ほとんどの方が1度くらいは経験したことがあると思います。
首が思ったように動かせなくなりますから、仕事や車の運転に支障が出たり、ひどい場合には起き上がることも困難な状態になることもあります。今回はそんな厄介な「寝違え」の本当の原因と治し方、予防法などについてご紹介します。
寝違えの本当の原因は「ワキ」
寝違えは成人の約90%もの方が経験しています。
寝違えの原因として想像されるのが寝相の悪さがありますね。首を変な方向に曲げて寝てしまうことが寝違えの原因のように思われますが、実は寝違えの本当の原因は「ワキ」にあります。
ワキには腋窩神経(えきかしんけい)という首を支える筋肉につながっている大切な神経があります。ここを寝ているときに圧迫してしまい、血行不良によるしびれが起こることで、首に痛みが発生します。これが寝違えといわれるものです。
寝違えは治るまでの期間には個人差がありますが、だいたい2日~1週間ほどで回復するのが一般的です。あまりにも症状が長引く場合には、寝違えではなく違う病気が潜んでいる可能性もありますから、その場合はきちんと受診するようにしましょう。
寝違えに似た病気
寝違えと同じような症状が出てしまう病気があります。
例えば痛みにプラスして腕のしびれがある場合は、頚椎椎間板ヘルニアの可能性がありますし、頭痛や吐き気を伴う場合はくも膜下出血の可能性があります。
恐ろしい病気として知られているくも膜下出血で生じる痛みは、寝違えで生じる痛みと非常に似ています。寝違えで吐き気が起こることはまずありませんので、吐き気や目の奥の痛みを感じた場合にはこの病気が疑われます。
寝違えてしまった場合には、首の痛み以外に別の症状がないか、しっかり見極めることが大切です。
寝違えでやってはいけないこと
寝違えで首に痛みを感じると、早く治そうと首をもんだりさすったりなどのマッサージをしたくなりますが、寝違えたときに首をマッサージすることによって首が炎症を起こし、痛みが和らぐどころか逆に痛みが悪化することになりますから、自分でマッサージしたり、他の人にマッサージしてもらったりすることは避けましょう。
また、痛みがあるときは温めるのが効果的なイメージがありますので、お風呂にゆっくり浸かって痛みを和らげたいと考えがちですが、これもマッサージ同様にNG行為です。
他にも温湿布も寝違えを治す手段としてはNG行為となります。
寝違えを治す運動
寝違えは痛いからといって安静にしているよりも、正しい運動方法を実践した方が早く治すことができます。
腕の上げ下げ運動
1.椅子に座り、寝違えている腕を下におろす
2.肘を伸ばした状態でゆっくり後ろに引き上げる
3.それ以上上がらないところで20秒キープする
4.ゆっくりと腕を下す
肘を引く運動
1.椅子に座り、寝違えている手のひらを腰に当てる
2.肩甲骨を寄せるように、肘を後ろに引いて20秒キープする
腕を上げて引く運動
1.椅子に座り、寝違えている腕を上にあげる(肘を少しだけ曲げる)
2.その状態で、肩甲骨を寄せるように腕を後ろに引き20秒キープする
これら3つの運動をそれぞれ2回ずつ行いましょう。ポイントは無理をせずにゆっくりと行うことです。早く治そうと痛みを我慢して無理矢理動かしてしまうと、症状が悪化する恐れがありますので注意が必要です。
腋窩マッサージも効果的
あまりにも痛みが強くて腕を動かす運動が苦痛という場合には、腋窩マッサージがおすすめです。
腋窩とはワキの下のくぼんでいる部分のことで、ここをマッサージすると寝違えに効果があります。
腋窩にはリンパ節がありますから、強い力でマッサージするとリンパ節を傷つけてしまう可能性がありますから注意が必要です。腕を上げたときに痛みがある方や、上がりにくい方の腋窩をマッサージします。リンパ節を傷つけないように、指圧していきましょう。
運動と並行することでさらに効果がアップします。
寝違えそのものを予防しよう!
寝違えが起こってから対処するよりも、できるだけ寝違えそのものを起こさないように予防したいですね。
寝違えを予防する方法はいくつかありますが、まず自分に合った枕を使うことが1番大切です。自分に合った枕を使うことは寝違えを予防するだけでなく、熟睡して体の疲れをしっかり取るためにも大切なことです。
1番良いのはオーダーメイドで自分に合う枕を作ってもらうことですが、オーダーメイドの枕は値段も高いので難しい場合も。そんな場合はタオルを利用しましょう。
タオルを丸めて枕の高さを調節すれば問題ありません。
理想の枕の高さは、仰向けになったときに首の角度が15度、横向きなったときにおでこから顎までが床と平行に一直線になっている状態がベストです。
また、日ごろから軽い運動やストレッチを行って血行を良くしておくことも重要です。
他にもストレスや緊張を上手に発散することも寝違えを予防する方法として有効です。
ひどい場合には日常生活にも大きな支障が出てしまう寝違えは、しっかり予防することが大切です。