どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

梅雨の時期から暑い時期に気になるのが「食あたり」。ただ単にお腹が痛いからと、安易に薬を飲んでしまったことによって悪化してしまうことも。

食あたりとはどんなもので、原因はどんなことが考えられて、それに合わせて対処法をお伝えしたいと思います。

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食あたりとは

食あたりとはつまり、食中毒のことです。身体にとって有害なもの、有毒な微生物、毒素などを摂取してしまったことによって、腹痛、下痢、発熱、嘔吐などの症状が出ることです。

ウィルス性、細菌性、化学物質、自然毒、寄生虫によって引き起こされます。潜伏期間も30分~1週間と差がかなりあるので、原因が特定するのが難しいこともあります。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

食あたりの症状と原因

食あたりは原因となるものによって、症状が変わってきます。

感染型

1.カンピロバクター

・症状

初期症状で発熱、嘔吐、下痢、めまいがすることもあります。下痢は水様便もしくは粘液便が出ることもあります。風邪と似ているので判断が遅れることもあります。

・原因

肉類、飲料水、生乳などに多いです。犬、猫、小鳥などの腸管にも存在し、感染することもあります。

2.サルモネラ

・症状

嘔吐、38度前後の熱、腹痛、血便水様便などが出ることもあります。

・原因

牛レバ刺し、牛肉・鶏肉のたたき、卵などで、またこれらの加工品で加熱が少ない食品に多く発生します。

3.腸炎ビブリオ

・症状

チアノーゼ、悪心、粘血便、下痢、発熱、嘔吐、しびれ、腹痛になることもあります。

・原因

魚介類が多く、刺身や寿司に多いです。水温が15度以上で増殖する菌なので、夏場に増えやすいです。

4.腸管出血性大腸菌(O-157)

・症状

嘔吐、臍から下腹部辺りに強い腹痛、出血のある下痢、38度以上の高熱が出ることは比較的で稀です。子供やお年寄りなどは合併症を起こしやすいので注意しましょう。感染力・毒性も強く死亡例もあるので油断出来ません。

・原因

加熱が不十分な肉類、サンドイッチ、生乳、飲料水、サラダに多いです。

5.セレウス菌(下痢型)

・症状

腹部けいれん、腹痛、水様便、嘔吐はめったにないことが多いです。

・原因

鶏・牛・豚などの、また鶏・牛・豚の肉を加工品したもの(ソーセージ、ハムなど)、バニラソース、スープなどに多いです。

6.ウェルシュ菌

・症状

腹部の張り、下痢(1日数回、2から3日で回復傾向)、腹痛などが多いです。

・原因

酸素に弱い為、加熱調理後長時間放置した際に発生しやすく、シチューや鶏肉の煮つけなどに多いです。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

毒素型

1.ボツリヌス菌

・症状

弱視、物が2重に見える、耳鳴り、ろれつが回らない、唾液・汗の分泌障害、呼吸困難などが多いです。

・原因

酸素に弱い為、瓶詰めや缶詰食品、真空パック食品、発酵保存食品などに多いです。

2.セレウス菌(嘔吐型)

・症状

腹部けいれん、吐き気、嘔吐、下痢などが多いです。

・原因

ピラフ、チャーハン、仕出し弁当、オニギリ、パスタなどに多いです。

3.ブドウ球菌

・症状

下痢、水様便、粘血便、悪心、激しい嘔吐などが多いです。1~2日で回復することが多いです。

・原因

人の手指から感染するので、寿司、おにぎり、和菓子やサンドイッチなどに多いです。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

ウィルス性

1.ノロウィルス

・症状

秋の終わり頃から冬の終わりに感染することが多く、突然の激しい嘔吐、下痢、発熱があります。嘔吐の方が激しく、下痢はしても軽いこともあります。熱も38度前後の熱が出ることもあります。感染力が非常に高いです。

・原因

貝類にノロウィルスが付着していることもあります。また、人から人に感染することで有名ですね。患者のわずかな吐しゃ物、便に触れることで、それが口の中に入って感染します。

2.ロタウィルス

・症状

冬の終わりから春先に感染することが多く、突然の激しい下痢、嘔吐、発熱があります。どちらかというと、下痢が激しく発熱があります。米のとぎ汁の様な便が特徴です。

・原因

肉類、生の魚介類にロタウィルスが付着していることもあります。ノロウィルスと同じ、人から人に感染します。

自然毒

1.毒キノコ

・症状

ほぼ確実に下痢や嘔吐などが多いです。死亡することもあるので大変注意が必要です。

2.フグ

・症状

テトロドトキシンという神経毒が麻痺やしびれを引き起こします。死亡することもあることで有名です。

・原因

フグの肝臓・卵巣・皮などに含まれるテトロドトキシンという神経毒で、これは加熱しても毒性は変わりません。

他にも、身近なものでジャガイモの芽、あじさい、トリカブトなども自然毒です。

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食べてからどのくらいで症状が出るのか

食べてからすぐ症状が出る(食後30分)ものと、1週間や8日後に症状が出ることもあります。なので、食べてからすぐ症状が出るとも限りません。何日か経過してから症状が出たりすることもあるので、原因の特定が難しいことも。

ボツリヌス菌、セレウス菌、ブドウ球菌などはわりと潜伏期間が短めです。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

自宅で対処できる場合と対処法

食あたり予防

出来るだけ食あたりにはなりたくないものです。知識を持っていれば、自宅で食あたりを予防することは出来ます。

1.肉や魚は充分加熱してから食べる

刺身や寿司、ミディアムレアなステーキなど食べたくなりますが、やはり充分加熱した魚や肉に比べると食あたりになるリスクも上がります。

2.なまものを調理した道具や手指はきちんと消毒する

魚介類や肉類を調理したまな板と野菜を切るまな板は別にした方がベターです。気になる時は、75度以上の環境で菌が不活化します。

魚介類や肉類を触った手で、火を通さないものを触らないことです。つまり魚介類や肉を触った手で、そのまま手をしっかり洗わず生野菜サラダなど作るなどのことです。

3.冷凍を活用する

食べるまでに日があるなと思ったら、なるべく早めに冷凍してしまいます。賞味期限や消費期限が過ぎたもの、日が経って心配なものを食べてしまうよりは、なるべく早い段階で冷凍することです。

4.菌の増殖を抑える

温かいところより冷えた場所に食べ物を置くほうが、菌の増殖は抑えられます。また、塩や酢、わさびや唐辛子には殺菌効果があるので、菌の増殖を遅くする働きがあります。

5.味がおかしかったら食べない

臭いが酸っぱい匂いがする、味がおかしいと思ったら、もったいないと思わず食べないことです。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

嘔吐してしまったら

嘔吐してしまうと、脱水症状が気になるところです。特に何度も嘔吐してしまっては尚更心配になります。

まずは嘔吐したら、すぐ何か飲んだり食べたりするのはダメです!脱水症状になってしまうからと慌てて水分を摂ると、すぐはまた嘔吐してしまいます。嘔吐してから数時間様子を見て、無理のない範囲で一口ずつ水分を飲むようにします。くれぐれも、嘔吐してすぐに大量に水分を摂取するようなことは止めて下さい。

飲み物を少しずつ飲む場合は、コーヒーやお茶などのカフェインが入っているもの、牛乳、アルコールはしばらく避けます。白湯やスポーツドリンク(経口補水液がベスト)などを少しずつ摂ります。

嘔吐の原因が感染性胃腸炎の場合は、くれぐれも吐しゃ物の処理には気を付けて下さい。2次感染を起こす原因になります。

下痢してしまったら

下痢が頻回に起こることで、脱水症状が気になってきます。下痢と嘔吐があった場合は、いきなり多量に水分を摂ると更に嘔吐してしまうので様子を見ながら少しずつが基本です。

下痢のみの場合は、水分を補給しましょう。その際も、冷たい飲み物は避けます。嘔吐ほど神経質になって水分摂取量を気にしなくてもいいですが、大量に摂るのは避けます。

薬によって違う

自己判断で薬を飲んでしまっていませんか?出来るなら、医師の診察を受けて処方された薬を飲みましょう。市販の下痢止め薬は様々ものがあるので、その原因や症状に合わせて飲まないと回復が遅れて更に悪化することもあります。

下痢止めの中でも、腸内に存在している細菌を殺す働きをするもの、腸内の動きを抑えるもの、腸の害になる様な物質を吸着させてしまう働きのあるもの、腸内の粘膜を保護するものとあります。早く排出をさせたい菌が、腸内の動きを抑える下痢止めを飲んでしまっては排出が妨げられて、回復が遅れたり悪化します。

食事はどうしたらいい?

基本的に消化が良く、胃腸に負担をかけないものです。重湯、おかゆ、バナナなどを少しずつ食べていきます。

乳製品、濃い味付けのもの、揚げ物、脂っこいものは避けます。

お年寄りや子供は特に注意が必要

お年寄りや小さな子供の場合は、嘔吐したもので気道を閉塞してしまうことがあるので、上体を起こすことが困難なら横向きに寝かせて気道に入らないようにします。

どうしたらいい?「食あたり」の症状と、自宅でできる対処法

 

こんな時には医療機関が必要

どの程度なら医療機関に行った方がいいかというと・・・

・嘔吐が止まらない

・おしっこが半日以上でない、おしっこの量が少ない

・1日10回以上下痢が出る

・便に血が混じる

・意識が朦朧とする

・便の色が普段と違う(黒っぽい、白色、緑色など)

原因を特定する場合に、実際に吐いた内容物や下痢から調べることもあります。医療機関にまずは問い合わせ、必要であれば持っていくようになることもあります。

夏は気温も上がり食べ物の腐敗が進みやすく、冬は感染性胃腸炎が気になってきます。特に嘔吐や下痢、発熱では、体力も奪われてしまいます。間違った対処法に気を付け、少しでも早く回復できるようにしましょう。