「水虫」と聞くと、「中年男性がなるもの」というイメージがありませんか?
実は、最近ファッションに敏感な女子高生や働く女性など、若い女性の水虫患者が急増しています。
ある製薬会社の調査では女性の3人に1人が水虫になった経験があり、その半数以上が再発も経験しているというのです。
しかも、指の間がグジュグジュしているようなザ・水虫!というような症状ではなく、一見水虫には見えないものが実は水虫だったということもあります。
たとえば、あなたはかかとがガサガサしていませんか?それ、角質ではなく水虫かもしれませんよ?
女性に増えているものの人には相談しにくい水虫について、色々な症状や原因、自宅でできるセルフケアの方法についてご紹介しましょう。
「水虫」とは?
「水虫」とは、真菌(カビ)の一種である「白癬菌(はくせんきん)」に寄生されることで発症する皮膚病です。
白癬菌は皮膚の一番外側にある角質層に好んで寄生し、増殖していきます。
もちろん、手や体など全身の角質層に寄生することができますが、靴を履くことで高温多湿になりやすい足が、 白癬菌にとって最も過ごしやすい環境であるため、ほとんどの場合足に寄生するのです。
そして、水虫には趾間(しかん)型、小水疱型、角質増殖型、爪白癬の4つのタイプがあります。
趾間(しかん)型
「水虫」と聞いてまずイメージされるのが、この 趾間型です。
足の指の間にできる水虫で、患部が赤くなったり、ただれたり、皮が白くふやけたり、皮が剥けてしまったり、痒みが出たりします。
水虫の中でも最も多いタイプで、特に指の間が狭く動きも少ない薬指と小指の間にできてしまう人が多いようです。
小水疱型
足の裏や足全体にポツポツと赤い小さな水泡ができる水虫です。痒みが強く、掻きむしるなどして水泡が潰れると透明な液が出てきます。
床や靴底に触れている部分にできることが多く、趾間型と同時に発症することも少なくありません。特に湿度の上がる梅雨頃から発症する人が増える傾向があります。
角質増殖型
水虫が慢性化すると、足の裏やかかとの皮膚が厚くなって 角質増殖型水虫に移行します。
角化型(かくかがた)とも呼ばれるこの水虫は、足裏やかかとの皮膚が厚くなったり、その周辺が固くなったり、白っぽくなったり、ガサガサとしてひび割れることもあるなど、一見水虫ではなく角質が溜まっているようみ見えます。
その上痒みもないため本人も水虫とは気付かないことも多く、自宅で裸足で歩く度にパラパラと剥がれ落ち、その皮を踏んだ家族に感染してしまうなど、ある意味一番恐ろしい水虫なんです。
爪白癬
爪白癬は、白癬菌が爪に入り込んで寄生したことにより発症する、いわゆる「爪水虫」です。
爪白癬になると、爪が厚くなって黄色っぽく変色してきます。場合によっては爪切りでは切れないくらい爪が厚くなってしまうこともあり、痒みはほとんどの人が感じません。
爪白癬の人と同じ爪切りを使うことで感染してしまうこともあります。
なにより厄介なのが、爪白癬はセルフケアでの完治は難しく、皮膚科など専門医による長期治療が必要になるということです。
水虫の原因
水虫の原因は、何といってもムレです。
カビの一種である白癬菌は、高温多湿が大好き。でも現代女性は、そんな高温多湿の環境を足に作ってしまいやすいんです。また、思わぬところから白癬菌に感染してしまうこともあるんですよ。
日常的に履いているプーツやパンプス
女性はブーツやパンプスなど蒸れやすい靴を長時間履くことも多く、白癬菌を増殖させやすい環境を作ってしまいがちです。
特に冬場は、寒いのにブーツの中は蒸れて汗をかいているなんていうこと、ありますよね?それでも履き替えるのが面倒臭くて履きっぱなしにしているのは、白癬菌にとって最高の住処を提供しているのと同じです。
実は保温効果の高いストッキング
足を綺麗に見せてくれる働く女性には手放せないストッキングですが、ストッキングは保温性が高い反面通気性は悪く、高温多湿の白癬菌が好む環境を作ってしまいがちです。
ストッキングを履く習慣はなくても、冷え症で足を温めるために靴下を2重に履いて長時間履き替えないといったことも、同じように白癬菌を増殖させてしまいます。
外からの感染
フィットネスクラブやスパ、プールなどは、水虫の感染ルートとして非常にメジャーなものです。
最初にご紹介したように、水虫には自覚症状のないものも多く、そうとは気付かずこういった公共施設を利用して、水虫の感染者が白癬菌をばらまいてしまっている恐れがあります。
また、意外な感染源として犬や猫といったペットからの感染が挙げられます。
白癬菌はペットの被毛や毛にも寄生することがあり、ペットの水虫は「皮膚糸状菌症」や「リングワーム」と呼ばれています。
最近は自宅でペットを飼育している人も増えていますが、白癬菌に感染している他のペットとのふれあいで感染したり、土の中で生息していた菌に寄生されることもあります。
水虫のセルフケアのやり方
水虫にかかってしまっても、仕事柄ストッキングやパンプスを履かないわけにもいかないという女性も多いですよね。
忙しい中病院に通うのも大変だし、何より恥ずかしい!そんな女性のために、自宅でできるセルフケアのやり方をご紹介します。
足を清潔に保つ
水虫対策で重要なのは、何といっても清潔と乾燥です。
特に足の指の間は汚れが溜まりやすく、蒸れやすい部分ですので、毎日念入りに洗うようにしましょう。
重曹を溶かしたお湯を使ったり、水虫用の薬用石鹸を使って洗うのが効果的です。
ただし、ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗いをしてしまうと、弱った皮膚が傷ついて傷口から雑菌が入って炎症を起こしてしまう恐れがありますので、手や綿のタオルで優しくあるようにしてください。
石けんカスなどが残っていると白癬菌の餌になってしまいますので、洗いと同様にすすぎも念入りに行いましょう。
しっかり乾燥させる
足が高温多湿状態にならないようにするため、できるだけ乾燥させた状態を保つようにしましょう。
入浴後はしっかりと水分を拭き取るのはもちろん、ドライヤーで指と指の間まで乾燥させるとより効果的です。
また、日中も汗をかいたら足を拭いて靴下を取り替え、オフィスなどで一日中靴を履きっ放しという状態は避けてください。オフィスにサンダルを置いておき、出社したら履き替えるようにすると良いでしょう。
靴下やストッキングは、五本指のものが蒸れにくいのでおすすめです。
水虫対策グッズを活用する
世の中には足の指の間を広げて通気性を良くするものや、紫外線を照射して除菌・消臭するものなど、水虫対策に使えるグッズがたくさんあります。
多少出費はかさみますが、ぜひこうしたグッズも活用しましょう。
もちろん、市販薬を使うことも忘れてはいけません。
お湯や緑茶の殺菌作用を活用する
お酢や緑茶の殺菌作用を使った足湯も水虫対策に効果的です。
バケツや大きめの洗面器にお酢と42℃くらいのお湯を1:9で入れるか、お湯の中に茶葉やティーパックを入れて緑茶を抽出させてから20分以上足湯を行います。
お酢がなければクエン酸やレモン汁でも構いません.
靴も清潔に保つ
足の清潔を保つとともに、靴の清潔を保つことも心掛けましょう。
毎日同じ靴を履き続けるのは避け、2~3足をローテーションさせて靴を休ませる日を作りましょう。
休ませている靴はできれば丸洗いして、洗えなくても風通しの良い場所を干して靴の中を乾燥させておきます。
素肌で履くミュールやサンダルも、一見湿気とは無縁そうですが、汗が溜まって不潔になりやすい靴なので、同じように洗って乾燥させるようにしましょう。
スリッパやバスマット、バスタオル、爪切りは家族と別のものを使う
もし自分の水虫が完治していても、既に家族や同居人に感染していた場合、再感染してしまう恐れがあります。
家族間でのピンポン感染を避けるためにも、スリッパやバスマット、バスタオル、爪切りといった足に触れるものは、それぞれ専用のものを使うようにしましょう。
お風呂場や洗濯で白癬菌が感染することはほとんどありませんので、洗濯や湯船のお湯などからの感染は心配する必要はありません。
こんなときは自宅ケアは諦めて病院へ
初期の水虫である趾間型や小水疱型は、セルフケアや市販薬での治療が可能ですが、書状が進行して角質増殖型になってしまった場合や、 爪白癬になってしまった場合はセルフケアでの治療は難しいです。
また、趾間型や小水疱型であっても、血がにじんでいるような場合はさらに症状が悪化してしまうのを避ける必要があります。
こういった場合は、セルフケアで何とかしようとせず、皮膚科など専門医の治療を受けるようにしましょう。
若い女性の3人に1人がかかったことのあるという水虫。
初期のものであれば清潔と乾燥を心掛けることで自宅で治療を行うことが可能です。こまめに足を拭く、洗う、靴も清潔に保つなどして、完治を目指しましょう。
でも、症状が進行している場合は恥ずかしがらずに病院を受診するようにしましょうね。