顔の筋肉を鍛える表情筋のトレーニングは、肌のたるみを引き締め、小顔になると評判のトレーニングです。しかし一部ではその表情筋トレーニングが肌の老化を進めてしまう!とも言われています。顔の筋トレは効果的なのかそれとも逆効果なのか、表情筋と顔の筋トレについて、詳しくご紹介します。
顔の筋トレ(表情筋トレーニング)の効果
顔には様々な筋肉があり、それによって私たちの表情が形作られています。しかしその筋肉は年齢と共に衰えてしまいます。
顔の筋肉を鍛える表情筋トレーニングは、加齢と共にたるむ顔を引き締める効果や美容効果があるとされています。その具体的な効果について、詳しく見ていきましょう。
ほうれい線を薄くする
20代でもできてしまうほうれい線。ほうれい線ができてしまう原因の一つが表情筋の衰えです。表情筋は表情を作る以外にも、顔にある皮膚を支える役割を担っています。表情筋の筋力が十分にある時は、皮膚はしっかりと支えられているので、ハリがあり、ほうれい線は目立ちません。
ところが、表情筋の筋力が衰えると、筋肉が皮膚を支えきれなくなります。すると、頬などの皮膚が重力によって下に引っ張られて、顔にたるみができてしまいます。頬が引っ張られ、口の周りの皮膚との間に段差ができた時に目立つのが、ほうれい線です。
頬の筋肉を鍛えることで、皮膚を支える力がアップされるので、たるみが解消されて、頬と口元の段差がなくなります。これによって、ほうれい線を伸ばし目立たなくします。
二重あごをなくす
二重あごは太った時にできるものだと考えられていますが、原因は肥満だけではありません。もちろん、顎の周りに脂肪が付きすぎた時も、二重あごが目立ちますが、体は細いのに二重あごになっている人もいます。
二重あごの原因の一つが表情筋やあご周りの筋力低下です。筋力が低下すると、筋肉によって支えられなくなった顔の皮膚がどんどんと下に引っ張られます。あごは顔の一番下にあるので、表情筋の筋力低下によってたるんだ皮膚が集まり、二重あごを作ってしまうのです。
顔の筋トレはあご周りの筋肉を鍛え、引き締めます。また、あごだけでなく、顔全体の筋肉を鍛えられれば、二重あごにつながる顔のたるみを解消できるので、二重あごが目立たなくなるでしょう。
目の周りのたるみの解消
パソコンやスマホを長時間使っていると、目の周りの筋肉が凝り固まりますが、筋肉が凝り固まれば、血行が悪くなり、目元に老廃物が蓄積されます。老廃物が蓄積されると、新陳代謝のリズムが遅れます。新陳代謝が遅れると、たるみやクマ、くすみなどの肌トラブルにつながることも多いです。
顔の筋トレをする時は、目元の筋肉を動かします。筋肉が動けばコリがほぐれるので、血行が良くなって新陳代謝も活発化するでしょう。また、目元の筋肉を鍛えることで、目の周りの皮膚がしっかりと支えられて、たるみがなくなります。
小顔の効果
表情筋の筋力が低下し、支えられなくなった皮膚が垂れさがると、顔の下部にあるフェイスラインに皮膚が集まります。フェイスラインが崩れると、老けて見えるだけでなく、顔が大きく見えることも多いです。顔は他人から見られやすいパーツの一つなので、フェイスラインがぼやけると、体重が変わっていなくても「太った?」と指摘されてしまうでしょう。
フェイスラインが崩れたり、ぼやけたりした時にも顔の筋トレは効果的です。あご周りの筋肉を引き締めると、フェイスラインが引き締まるので小顔になります。また、全体的に皮膚が引き上げられるので、若々しい印象も手に入れられます。
顔全体の効果
表情の変化や噛む回数が少ない人などは表情筋がこわばっていることが多いです。そして、筋肉がこわばっている時は血行が悪くなりやすいと考えられています。
血液には、体の隅々の細胞に栄養や酸素を届ける役割があります。そのため、血流が良い人は細胞の働きが活発です。ところが、表情筋がこわばって、血流が妨げられていると、細胞に栄養や酸素が届きません。肌の細胞も血液から栄養や酸素を受け取っているので、血行が悪くなると、細胞の生まれ変わり(新陳代謝)が活発に行われないことが多いです。
新陳代謝は美肌を維持するために欠かせません。新陳代謝がスムーズに行われていなければ、古い細胞が残るので、くすみやくまが残ってしまいます。くすみやくまが気になる人にも顔の筋トレはおすすめです。顔の表情をつくる筋肉を鍛えることで、顔のこわばりが取れ、血行が良くなります。それによってくすみやくみが解消します。さらに、顔の筋トレで血流が改善されると、ニキビやシミの予防にも効果を期待できます。
新陳代謝が活発に行われていれば、古い角質は剥がされて、メラニン色素も不必要な細胞とともに排出されるので、ニキビやシミができにくい肌を作れるでしょう。
このように表情筋をトレーニングすることで、新陳代謝が促され、美肌効果も期待できます。
逆効果と言われている理由
いいことづくしのように思える顔の筋トレですが、「顔の筋トレは肌にとって逆効果」という噂も耳にします。なぜ逆効果と言われているのか、その理由をご紹介します。
筋力が原因ではないこともある
たるみやしわの原因には、肌の弾力が失われたことで起こる皮膚のたるみと、筋力の衰えによって皮下脂肪がたれ下がってできるたるみとがあるのです。
皮膚のたるみはコラーゲン不足などが原因なので、筋肉を鍛えても改善は期待できないということになります。特に、肌のハリを保つコラーゲンやエラスチンは加齢とともに減少するため、年齢を重ねた人がたるみのない美肌をキープするのは簡単ではありません。
「顔の筋トレをしているのに、どんどんと肌がたるんでくる」と感じてしまう人もいるでしょう。筋トレで改善がされない場合は、肌のハリを取り戻せる美容液を使い、肌のターンオーバーを促しましょう。ターンオーバーが促進されれば、肌細胞の生まれ変わりが活発化して、肌の状態が整うので、たるみやしわを予防できます。
顔の筋トレはしわを深くする!?
顔の筋トレをすると、しわがなくなる!というのは間違った情報です。それはしわができる仕組みからも分かります。
ではしわはどうしてできるのでしょうか。まず肌の構造を見てみましょう。体の他の部分と違い顔の皮膚の下には皮下脂肪がありますが、とても薄く、その下にある筋肉が骨と皮下脂肪を支えています。
しかし加齢によって筋肉の力が弱くなり、さらに顔に皮下脂肪がたまると、筋肉は脂肪を支えられなくなります。そして脂肪と皮膚は重力にしたがって下に引っ張られ、たるみとなります。また、一度伸びてしまった皮膚は元には戻りません。しわはこの伸びた皮膚が原因でできてしまいます。
間違った筋トレによって一部の筋肉のみが鍛えられると、部分的に皮膚が引っ張られて、鍛えられていない部分の皮膚とのしわが目立ってしまいます。
激しいトレーニングは逆効果
顔には様々な筋肉が存在します。まばたきをしたり、口を開けたり、表情を作るために、それぞれ筋肉は別々の動きをしています。そのため顔のしわが気になる、ほうれい線が気になる、と偏った筋トレやマッサージをすると、筋肉が偏って発達してしまい、これもしわの原因となります。さらに皮膚はデリケートなので、間違ったトレーニングで皮膚の下の細胞が破壊されてしまうこともあります。破壊された細胞のダメージが修復されなければ、肌状態が悪くなり、たるみなどにつながることもあります。
筋トレが逆効果なわけではない!
顔の筋トレは間違った方法で行うと、しわを深くすると言われていますが、必ずしも肌にとって悪いものではありません。肌に良くないのは、無理な筋トレでダメージを与えることです。そのため、ほうれい線や目の周りのたるみ、フェイスラインの崩れなどが気になる人は正しい方法で顔の筋トレを行いましょう。
正しい顔の筋トレのポイントは、筋肉の動きをサポートすることです。もともとあまり動かしていなかった筋肉なので、筋トレで鍛える前にしっかりほぐし、筋肉が動きやすくする手助けをすることが大切なのです。
正しい顔の筋トレのやり方
では正しい顔の筋トレとはどんなものなのでしょうか。そのやり方についてご紹介します。
ぜひ、顔の筋トレを行って、しわやたるみができやすい部分の筋肉を鍛えましょう。顔の筋肉はちょっとしたトレーニングの積み重ねで、すぐに効果が出ます。
まずはウォーミングアップ
- 口を縦に開いて、顔全体を上下に伸ばします。
- 口を閉じて、顔全体をぎゅっとつぼめます。
- 口を左右に伸ばし、顔全体を横に伸ばします。
- 口を閉じて、顔全体をつぼめます。
このとき極端に顔をくしゃくしゃにすると、しわの原因になりますので注意しましょう。
眉毛の上下運動
眉毛だけを上下に上げ下げします。長時間続けるのではなく、こまめにするようにしてください。
目元の眼輪筋トレーニング
- 両目をぎゅっと閉じ、5秒そのままを保ち、ぱっと目を開きましょう。
- 右目を閉じ、左目を開けて3秒保ちます。今度は左目を閉じて右目を開けて3秒。
目の疲れも取れてすっきりしますよ。
口の周りの口輪筋トレーニングする
「あ、い、う、え、お」の形を口で作ります。少し大げさな動きのほうがおすすめです。大きな声を出せる場所であれば、声に出すことでストレス発散の効果もあります。
頬筋トレーニング
- 口角を思い切り上げ、そのまま10秒間キープします。
- 口角をゆるめて、元の表情に戻ります。
- 1と2を繰り返します。
おとがい筋トレーニング
- あごから首にかけて伸びているおとがい筋を意識しながら、上を向きます。
- 顔を上に向けたまま、舌を上に向かって伸ばし、5秒間そのままキープ。
- 舌を口の中に戻したら、また上に向かって伸ばす、を繰り返します
顔全体を引き締める
頬にある大頬骨筋や口の周りにある口輪筋、顎にある翼突筋などを鍛えるエクササイズです。
- 頬を上に引き上げて、筋肉が痛くなるまでキープします。
- 元の顔に戻ります。
- 口を開けて顔を下に伸ばします。
- 5秒程度キープします。
この筋トレは一日1回程度で効果を期待できます。頬を上げる時は、少し口を開けて、歯茎を出すようにイメージすると、口の周りの筋肉をしっかりと刺激できるでしょう。
これらのトレーニングは、長時間続けるのではなく、こまめに繰り返すことで効果が出ます。
筋トレ後のケア方法
筋トレ終了後には、美容液を使って、肌のお手入れをすることも忘れないでおきましょう。加齢にともなって、肌のハリに必要な栄養素も徐々に減っていきます。肌の内面部分は、筋トレだけではカバーできないので、たるみ・シワ用の美容液を使うことで、さらにリフトアップ効果が期待できます。
毎日の生活で心がけたいこと
筋肉だけを鍛えても、皮膚のたるみや皮下脂肪を解消しないと意味がありません。普段の生活から見直して、筋トレの効果をアップさせましょう。
筋肉の材料になる栄養をしっかり摂る
どれだけ顔の筋トレを頑張っても、筋肉を作る栄養素が不足していれば、筋力アップは期待できません。特に、顔の大きさや二重あごが気になっている人は無理な食事制限で筋肉を作る栄養素が不足している可能性があるので、食事には注意が必要です。
バランスが整った食事を摂ることも大切ですが、顔の筋トレをする時は、主に、たんぱく質やカルシウム、ビタミンが含まれる食材をしっかり食べましょう。肉や魚、大豆製品、チーズなどにこれらの栄養が含まれています。
質の良い睡眠で成長ホルモンの分泌を促す
新陳代謝を促す成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。よって、質の良い睡眠をしっかりと確保できている人は美肌であることが多いです。一方、睡眠時間が短い人は成長ホルモンが不足して、新陳代謝のリズムが遅くなることがあります。
また、成長ホルモンは筋肉を成長させる働きもあるので、睡眠不足の人は顔の筋トレの効果が出にくいです。美肌を目指す人やすっきりとしたフェイスラインを手に入れたい人はできるだけ睡眠時間を確保しましょう。
寝たいと思ってもなかなか寝られない人は夜更かしはやめて、寝る前には軽くストレッチをおこない、深く眠れるように工夫をすることも大切です。また、シャワーではなくぬるめのお湯につかる、寝る前にパソコンやスマホの画面を見ないようにする、ということでも自律神経が整い、しっかりと眠れます。
スキンケア
顔のたるみは表情筋の衰えだけでなく、皮膚自体のたるみによっても引き起こされるので、日々のスキンケアにも力を入れましょう。
たるみが気になってきた人は美容液などでコラーゲンなどを補うと、たるみやほうれい線の予防に効果を期待できます。
紫外線対策も欠かせません。紫外線対策は肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成を妨げると考えられているので、たるみが気になる人は徹底的にUVケアするのがおすすめです。紫外線は春夏のイメージが強いですが、秋や冬でも肌は紫外線の影響を受けるので、日焼け止めは一年中使いましょう。特に、紫外線が気になる時は帽子や日傘などのグッズも使ってください。
まとめ
間違った筋トレはしわを深くしたり、肌にダメージを与えたりしますが、正しい方法で顔の筋トレをすると、表情筋が鍛えられてほうれい線やたるみを予防できます。
表情筋の筋力は加齢と共に衰えてしまうので、肌トラブルや老化が気になってきたら、正しい方法で筋トレして、肌のハリを保ちましょう。顔の筋トレをしながら、毎日の生活を改善すると、さらに美肌に近づけます。