妊娠9週目というと、つわりは続くものの、ようやく安定期も見えてくる時期です。
でもまだ安心はできません。この時期に流産してしまうケースも多いため、「妊娠9週の壁」という言葉もあるくらいなんです。
ママも赤ちゃんも、トラブルなく安定期を迎えたいですよね。そこで、妊娠9週目のママや赤ちゃんの状態、辛い症状の乗り切り方など、この時期に備えるための情報を詳しくご紹介します。
妊娠9週目の母体の状態は?
妊娠9週目では、まだ母体の見た目に大きな変化はありません。でも、下腹部は少しふっくらしてきますので、妊娠前に着ていた下着やボトムスがキツく感じられることもあるかもしれません。徐々に胸が張ってくるようになるので、ブラジャーもキツくなってきます。
無理をしてキツい下着や服を着続けると、血行不良を起こして母体にも赤ちゃんにも悪影響がありますから、無理せずマタニティ用のパンツやボトムスを購入しましょう。
最近のマタニティウェアはデザインもお洒落で、妊娠初期から臨月まで着用できるものも多いんですよ。
また、辛いつわりがピークに達する時期なので、つわりのキツい人はちょっとしたニオイで吐いてしまったり、何も食べられなくなってしまうこともあります。体に吸収されやすいスポーツドリンクで水分補給を行ったり、食べられるものが1つでもあるなら、それを食べるなどして少しでも快適に過ごせる工夫をしましょう。
妊娠9週目の赤ちゃんの状態は?
妊娠9週目になると、赤ちゃんは2~3cm、3~12g程度に成長しています。「胎芽」を卒業して「胎児」としての成長を始める時期であり、ここからどんどん「人間の赤ちゃん」らしい形になっていくというわけですね。
まだまだ2頭身ですが、既に肺や脳といった生命維持に必要不可欠な臓器はほぼ完成しており、目や鼻、口といった顔のパーツ、指の一本一本や爪、性別に合った生殖器も作られはじめます。でも、まだ性別が判別できるほどではありません。
心音も確認できるようになり、これまでは出産予定日に最終月経日から算出した日付を使用していましたが、赤ちゃんのサイズにより、正確な出産予定日を算出することができてきます。
妊娠9週の壁とは
さて、冒頭で少し触れた「妊娠9週の壁」。
これは、妊娠8~9週がもっとも初期流産が起こりやすい時期であり、9週目を越えると流産になってしまう確率が下がってくることに起因します。流産全体の実に8割がこの時期に起きているんですよ。
初期の流産は、その原因が染色体異常といった胎児にあることが多いので予防が難しいとされています。不正出血や激しい腹痛といった兆候が現れる事もありますが、何の症状もないまま胎児がお腹の中で死んでしまっている稽留流産(けいりゅうりゅうざん)というケースもあります。
ただ、子宮が大きくなるに従って、その周りにある筋肉や人体が引っ張られることでチクチクとした痛みを感じることもあり、これは何も異常なことではありません。あまり不安になり過ぎるとそのストレスが体に悪影響を及ぼしてしまいますので、神経質にならないよう気を楽にしながら安静に過ごすようにしましょう。
その上で、もし体に違和感や出血、腹痛があった場合は速やかに産婦人科で相談するようにしてください。
つわりや頻尿などの症状はどう乗り切る?
妊娠9週はつわりもピークで、母体にはかなり辛い時期です。さらに、頻尿や静脈瘤、カンジダなど様々なトラブルに見舞われやすい時期でもあり、こういったトラブルをどう乗り越えていくかが快適な妊娠生活を送るポイントになってきます。
つわりは家族の協力も得て
つわりは、程度の違いはあっても妊娠中誰もに起こる自然なもので、本人の努力や医学的な介入での緩和は難しいです。「今の時期だけのもの」と割り切って、家事を代わってもらったり、気分が悪くなってしまう食べ物や化粧品などは遠ざけてもらうなど、家族や周りの人の理解と協力を得ながら乗り越えましょう。
吐き気が酷いときなどは、脱水になってしまわないよう水やスポーツドリンクをこまめに飲むようにして、何も食べられないような状態の場合、低血糖を避けるためクッキーやゼリーでも構いませんので、何か食べられるものを見つけてお腹に入れるようにしてください。
精神的なストレスでつわりが酷くなってしまうこともあるので、できるだけ心身をゆったりとさせて過ごすことも大切です。
病気を引き起こす恐れアリ!頻尿は我慢しないで
赤ちゃんが育つにつれ子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され、頻尿になってしまう妊婦さんも多いです。妊娠中は免疫力も落ちていますので、面倒臭がってトイレに行くのを我慢していると尿路感染症を引き起こしてしまう恐れがあります。
尿路感染症は、悪化すると腎臓にまで細菌が入り込んで炎症を起こす腎盂腎炎に繋がり、最悪の場合腎不全や流産も引き起こしてしまう場合がある恐ろしい病気です。
無理せずこまめにトイレに行くようにし、膀胱炎の様な症状や悪寒や高熱、全身の倦怠感を感じた場合は、病院で相談するようにしましょう。
マッサージでむくみ対策
妊娠中は、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの一つが多く分泌され、それにより血行が悪化して、特に下半身にむくみが生じやすくなります。
下半身に血液が溜まりやすくなることで、血管がコブのように膨らむ静脈瘤が引き起こされてしまう恐れもあるのです。マッサージをしたり、屈伸運動などで可能な範囲で足を動かして少しでも血行を良くしていきましょう。
カンジダの自己感染にも注意
妊娠中はホルモンのバランスも通常とは異なりますし、お腹の中の赤ちゃんを異物と認識してしまわないよう免疫力が低下しており、様々な感染症のリスクが高まります。
妊婦さんが感染しやすい病気としては、カンジダが挙げられます。カンジダ菌は元々人の体に存在している日和見菌の一種なのですが、免疫力が低下すると異常増殖し、性器周辺に炎症を引き起こしてしまいます。
チーズのような白いポロポロとしたおりものが出るのが特徴的な症状で、軽度であれば自然治癒することもありますが、免疫力の低下している妊婦さんは重症化しやすく、放置していると出産の際に赤ちゃんに感染してしまう恐れもあります。
妊娠中期にはカンジダの検査が行われますが、それで安心せず日頃から性器の周辺は清潔に保つようにしておきましょう。
妊娠9週目はリラックスしてゆったり過ごすのが一番
妊娠9週目は、赤ちゃんの顔のパーツや手足も作られ出して、人間らしい形に近づいてくる時期です。でも、つわりもピークになる時期であり、赤ちゃんとともに子宮も大きくなって膀胱が圧迫されたり、今まで着ていた服がキツくなってくる時期でもあります。
できるだけ無理をせずリラックスして過ごすことで、「妊娠9週の壁」を乗り越え、安定期を迎えられるようにしましょう。