おなかが空いていたり、激しい運動をしたりしたときに気分が悪くなったり、体が震えたりした経験はありませんか。
空腹時や運動後に体調不良が起こる場合、低血糖になっている可能性が高いです。
今回は低血糖になりやすいタイミングや低血糖になった時の対処法についてご説明いたします。
「低血糖」とはどのような状態か
低血糖とはその名の通り、血糖値が低い状態です。健康な人は正常時、血糖値が70~110㎎/dlですが、何らかの原因でこの数値を下回ると低血糖となり、さまざまな不快症状が引き起こされます。
低血糖の症状
低血糖の症状は血糖値の状態によって次のように異なります。
・50~70㎎/dl…空腹、あくび
・30~50㎎/dl…震え、動機、冷や汗、頻脈、吐き気、倦怠感
・30㎎/dl以下…異常な言動、意識混濁、痙攣
低血糖の状態になった時に、対処をせずに放っておくと血糖値はどんどん下がる恐れがあります。
人によって差はあるものの、血糖値が30㎎/dl以下になると命の危険もあるので、症状が現れたら早めに対処することが大切です。
低血糖になる理由
通常時、血糖値はホルモンの働きによってコントロールされています。食事後、血液中の糖の濃度が上がれば「インスリン」が分泌されて血糖値を下げ、空腹時に血糖値が下がれば「グルカゴン」などが血糖値を上げます。
そのため、食事の間隔や内容が乱れてしまっても血糖値が上がりすぎたり、下がりすぎたりすることはありません。
しかし、糖尿病の人や砂糖などの精製された糖分を過剰に摂取し続けている人、体質的にホルモンのコントロールが苦手な人は血糖値を調節できないことがあります。
ホルモンが上手く働かなければ、血液中で糖が不足したときに血糖値を上げられず、低血糖の症状が引き起こされるのです。
低血糖になりやすいタイミング
体質などの影響でホルモン分泌のコントロールが難しい人でも常に血糖値が低いわけではありません。個人差はありますが、特に低血糖になりやすいのは以下の5つのタイミングです。
空腹時
食事を取ると血糖値は上昇します。血糖値が高い状態が長期間続くと血管にダメージが与えられ、血流が悪化したり、血栓ができたりするので、体は膵臓からインスリンを分泌させて血糖値を下げます。
しかし、長期間精製された糖分を過剰に摂取しすぎている人の膵臓は疲弊しています。疲れた膵臓がインスリンの分泌を過剰に行うと、血糖値が正常値に落ち着いた後も糖が消費されて低血糖の状態に陥ります。
また、体質などによってグルカゴンを正常に分泌できなければ、食後に時間が経って血液中の糖分が不足した時に、血糖値を上昇させられません。
食事の間隔があいたり、無理なダイエットで糖分を多く含んだ炭水化物を食べなかったりするとホルモンの影響で下がった血糖値を上げられずに低血糖症状が現れます。
運動後
運動をすると血液中の糖分がエネルギーとして消費されます。血糖値が下がった状態で運動を続けると低血糖となり、震えや吐き気などの症状が現れます。
入浴時
お風呂に入ると、血液中の糖がエネルギーとして消費されます。特におなかが空いているときにお風呂に入ると低血糖になりやすく、ふらつきによって転倒したり、発見が遅れたりして命が危険な状態になることも少なくありません。
飲酒後
食事によって体内に取り込まれた糖分はブドウ糖に分解された後に肝臓まで運ばれます。その後、血液に取り込まれて全身の細胞に届けられ、エネルギー源として利用されます。
そして、余った糖は再び肝臓に戻り、グリコーゲンとして蓄えられます。グリコーゲンは血糖値が低下したときに分解されて糖質となり、血液に取り入れられます。これにより低血糖になるのを防いでくれています。
ところが、飲酒によってアルコールを摂ると、肝臓はそれを解毒するために使われます。
アルコールを解毒するために他の機能がおろそかになると、グリコーゲンを蓄えられず、血糖値が下がった時にグリコーゲンを使えないため、低血糖症状が現れます。
特に長期間にわたってお酒を飲みすぎてしまう習慣のある人はアルコールによる低血糖に注意が必要です。
服薬後
薬の影響によっても低血糖が引き起こされることがあります。
例えば、糖尿病の人が血糖値を下げるために薬を飲んだ場合、薬が効きすぎて血糖値が下がり、低血糖症状が引き起こされることは多いです。
低血糖になってしまった時の対処法
低血糖の症状をそのまま放置しておくと痙攣を起こしたり、意識がなくなったりすることがあります。
低血糖の症状に気づいたら、次のような対処法を試してみましょう。
ブドウ糖を摂取する
症状が軽い間に市販のブドウ糖を摂取すると低血糖症状の悪化を予防できます。
タブレット状のものやドリンクタイプのものなどさまざまなタイプから、持ち運びやすさや摂取のしやすさを考えて自分に合ったものを選びましょう。
低血糖症状が現れたときは目安として10g程度のブドウ糖を摂取すると症状が緩和すると考えられています。もし、症状が緩和されない場合はもう一度同じようにして、ブドウ糖を摂取してください。
ジュースを飲む
ブドウ糖を持っていないときに低血糖症状が現れたら、コンビニや自販機で購入できるジュースを飲む方法も効果的です。原材料にブドウ糖と書かれているジュースをコップに半分程度飲んで様子を見ましょう。
手軽に購入できるものとしてチョコレートや飴を口に入れる人もいますが、これらは低血糖の緩和におすすめではありません。
すでに低血糖の症状が出ているときは体に溶け込みやすいジュースで糖分を摂取した方が即効性を期待できます。
医師の診察を受ける
低血糖は放っておくと命の危険につながります。
症状が重いときは医師の診察を受けましょう。ブドウ糖の注射などの治療を受ければ症状が緩和されます。
低血糖は予防も大切
糖尿病などの病気でない人もおなかが減っているときや運動をしたときは低血糖になることがあります。
低血糖になるとさまざまな症状が現れるので、普段から糖分が多いおやつを食べるのを控えたり、食事の時間を決めたりして、低血糖を予防しましょう。
低血糖になってしまったときに焦らないように自分が低血糖になりやすいタイミングを知り、ブドウ糖を準備しておくことも大切です。
低血糖の症状が気になる人は一度医師の診察を受けておくのも良いでしょう。