プリッと丸みのあるお尻だとパンツ姿がキレイに見えると人気でしたが、見た目は似ているものの出っ尻はまた別物です。出っ尻とは腰が反ってお尻が上を向いている状態で、実はこの姿勢はお尻の丸みがあるのではなく骨盤の歪みによって、お尻が後ろに突き出したアヒルちゃん体型のことをいいます。
見た目にはセクシーで可愛らしいのですが、腰に負担がかかる反り腰といわれ、改善すべき姿勢の一つとなっています。そういった姿勢がくせになってしまった人は、腰に負担がかかるこの姿勢を続けることで腰痛が悪化してしまうことにもなりかねません。
出っ尻は見た目に不格好なだけでなく腰痛や冷え性、生理痛など女性特有のトラブルの原因にもなります。今回はこの出っ尻の原因と共に、改善する方法について、詳しくご紹介します。
出っ尻の原因
お尻を突き出す歩き方を続けていることも出っ尻の原因の一つですが、一番大きな原因は骨盤の歪みが挙げられます。
本来は、まっすぐなはずの骨盤の上側が様々な原因から前方向に倒れ、前傾姿勢になります。そうすると、骨盤の上にある腰部分が同じく、前方に倒れてしまい、これが反り腰という状態になるのです。さらに出っ尻だけでなくぽっこりとお腹が突き出る体型も骨盤の歪みが原因です。
この骨盤の歪みを引き起こす原因として、以下のものがあります。
生活習慣によるもの
日常のちょっとしたクセが積み重なることで、骨盤の歪みが生じます。
・スマホやパソコンの画面を見る時に前屈みになっている
・椅子に浅く腰掛けている
・足を組んで座ることが多い
・かばんをかけるのはいつも決まった方
・寝る時に横を向いている(いつも同じ側が下になっている)
高いハイヒールを毎日履いている
ヒールを履くと、体の前部分に体重がかかります。体は前に倒れないように足で支えますが、そのために常に足の前側の筋肉が緊張した状態にあるため、重心が前に滑っていき、これが骨盤が前傾する原因となります。
出産後のケアが不十分
女性は出産時に骨盤が大きく開き、ゆるんでしまいます。通常は3〜4ヶ月かけて元の位置に戻るのですが、出産時に左右のバランスが崩れたり、また生活習慣で歪みが生じたりすると元のように戻らないだけでなく、歪みが悪化してしまうこともあります。
このため、出っ尻は女性の方に起こりやすいとされています。骨盤が歪むことで、腰痛や股関節の痛みを招くだけでなく、冷え性やむくみなど体調にえいきょうするだけでなく、体型が崩れてしまう原因にもなります。
出っ尻と腰痛の関係
実は出っ尻は腰痛とも密接な関係があります。骨盤と同じく腰が前に反ってしまうと、反った状態で上半身を支えるため、背中から腰にかけての筋肉が常に緊張状態となるのです。そのままの姿勢で、長時間立ったり歩いたりすると、腰が激しく痛み、だるくなってしまいます。
腰の痛みをかばおうとして、体が不自然な姿勢を取るようになってしまうと、肩のコリや首のコリも引き起こすようになります。これらの問題を解決するために、出っ尻の姿勢のクセを改善することが必要です。
歪んでしまった骨盤を正しい位置に戻すためにはどうすればいいのか、その改善方法について詳しくご紹介します。
骨盤の歪みを治す方法
骨盤の歪みを引き起こす行動を改めることが必要です。
- 高いハイヒールを履かないようにする、もしくは短時間にする
- 寝返りをうちやすい布団に変える
- 長時間同じ姿勢で仕事をしないようにする
- スマホやパソコンの利用時間を意識して減らす
- 正しい姿勢で歩く
- 膝をつけて座ることを心がける
骨盤の歪みから腰痛が起きている場合は、骨盤の位置を直し、痛みをやわらげることが最優先です。そのためにストレッチやエクササイズで骨盤の歪みを改善していきましょう。
出っ尻を改善するストレッチ
腰に痛みがある場合は、腰回りの緊張をやわらげていく必要があります。ここでは2つのストレッチをご紹介しますので、毎日短時間でも続けて行くようにしましょう。
骨盤の位置を直すストレッチ
- 手のひらを床につけ、膝をついて四つん這いになります。
- 手と足は肩幅程度に開き、視線は少し先に向けます。
- 息を吐きながらお腹をへこませ、背中を丸めます。
- 息を吸いながら5秒間その姿勢を維持します。
- 息を吐きながら、お尻を引き、おへそをのぞき込むようにして腰を落とします。
- ゆっくり四つん這いに戻します。
- 3から6を10回ほど繰り返します。
痛みがある場合は、回数を減らしましょう。
骨盤周りをほぐすストレッチ
出っ尻が長く続くと、骨盤周りの筋肉が癒着して固まってしまい、その状態がクセづいてしまいます。そこで、まずは骨盤周りの筋肉をゆるめましょう。
- 腰に手を当てて立ちます。
- 骨盤を前、後、左、右と動かします。
- 骨盤だけを大きく、右回り・左回りと回しましょう。
上半身はまっすぐで骨盤だけを動かすことを意識してくださいね。
横になって行う腰伸ばしストレッチ
- 仰向けになり、膝を抱えます。
- 首を持ち上げて、丸まります。
- 力を抜いて1の状態に戻ります。これを10セット行います。
横になって行う背中のストレッチ
- 仰向けになり、膝を立てます。
- 肩をつけたまま腰を浮かせて、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
腰ひねりストレッチ
- 仰向けに横になります。
- 両手は左右に広げ、まっすぐ伸ばします。
- 膝を90度に曲げ、肩が床から離れないよう意識しながら左右に倒します。
- 左右を1セットとして、10回行います。
ポイントは『 骨盤を動かす意識を持つこと 』です。慣れないうちは少し、難しく感じるかもしれませんが動画でチェックしながらチャレンジしてみてくださいね。
骨盤の歪みを直す矯正ストレッチ
- 仰向けに横になり、両手を左右に伸ばします。
- 両足を軽く開きます。
- 右足を立て、折り曲げて背中側に曲げます。
- ゆっくり戻し、今度は左足も同じように立て、ゆっくり背中側に折り曲げます。
出っ尻改善エクササイズ
骨盤を正常な位置に戻すためのエクササイズをご紹介します。骨盤の歪みを直すには、体を積極的に動かしていくことも必要です。先に紹介したストレッチで、固くなっていた筋肉の緊張をほぐすことができるようになったら、以下の方法で体を動かすようにしていきましょう。
骨盤の傾斜を直すエクササイズ
- 腰に手を当てて立ちます。
- 骨盤をまっすぐに立てます。
- 上半身全体ではなく、お腹を伸ばし、骨盤を前に倒していきます。
- ゆっくりと姿勢を元に戻します。
- 今度は腰骨1つ1つを伸ばすように骨盤を後ろに倒します。
- ゆっくりと姿勢を元に戻します。
痛みを感じるなら回数を減らしますが、5回ほど繰り返してみましょう。
骨盤ウォーキングで筋肉を鍛える
- 目線は10m先に向けます。
- 膝を前に出すように足を上げます。
- 骨盤に体重を乗せるようにして、かかとから足を地面につけます。
歩く前に鏡を見て、鼻からおへそ、足の内側のくるぶしが一直線になるように立ちましょう。頭や肩、腰や指先が左右対称になるように姿勢を正します。その正しい姿勢を覚えておいて、歩く時にも意識しましょう。
膝伸ばし腹筋で腹筋を鍛える
骨盤が歪むと、体のバランスが崩れて下腹だけが出てしまうようになります。腹筋を鍛えて下半身で体を支えられるようにしましょう。この場合の腹筋は、上半身ではなく下半身を鍛える膝伸ばし腹筋をしましょう。
- 仰向けに横になります。
- 両膝を曲げ、片足を斜め上、反対側の足はそれより低く上に伸ばします。
- 上半身を少し起こし、おへその辺りを見ます。
- 両足をゆっくり交互に上下させます。
- 下に下げる時は床につかないようにします。
痛みがひどい時には?
骨盤の歪み方は人によって様々です。出っ尻になる骨盤の歪みは、骨盤の前後の歪みですが、左右に歪んでいることがあり、この左右の歪みはなかなか分からないことが多いのです。そのため骨盤のストレッチをしてもなかなか改善しない、痛みが取れないといったこともあります。この場合は自分でストレッチをすることが逆効果になる可能性もあります。
整体では関節や骨格などを見ながら、それぞれの人の体に合わせ、直接骨盤にアプローチをしますが、自分でする骨盤矯正は筋肉をほぐすなど、骨盤を支える筋肉に対して行うストレッチであり、別々の方向から矯正を行います。
そのため整体で矯正した方がすぐ効果が出る人もいれば、自分でストレッチをし続けることで改善していく人もいます。骨盤の歪み方も左だけなど片方が上がっている、もしくは下がっている、ねじれているなど違いがあるため、自分でケアしても効果が感じられない場合は、整体に行って体の状態を見てもらうのも一つの方法といえます。
ただし腰痛がひどくて寝ることも困難といった状態の場合は、骨盤の歪みではなく、関節に炎症が起きているなど他のことが原因である可能性もあります。骨盤矯正のストレッチも、慣れてくると自己流で行ってしまい、効果が出なくなってしまうということもありますので、痛みが引かない場合は整形外科などでレントゲンを撮ってもらうことも必要です。
まとめ
骨盤矯正ストレッチをすることも大切ですが、出っ尻の姿勢がくせになっている人は、普段の歩き方を意識して改善していくことが大切です。自分で鏡を見ると同時に、周りの人にも歩き方をチェックしてもらいましょう。特に高いハイヒールを履くことが多い人は、歩き方が悪くなっていることが多いので、普段の生活は低い靴を履くようにしましょう。
出っ尻は腰痛や冷え性、むくみなどを引き起こしてしまうため、早く改善すべき姿勢です。立っている時、歩く時、寝る時にも体を歪ませないよう意識して生活することが大切です。