妊娠初期の安心な出血と危険な出血の見分け方

妊活している人にしたら、出血は不安でビックリしてしまいますよね。妊娠初期に起こる出血は、珍しいことでもなく全妊婦の3割から半数の方が経験します。「安心な出血」と「危険な出血」があるのをご存知ですか?

今回はこの「安心な出血」と「危険な出血」について詳しくご紹介したいと思います。

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妊娠初期に出血しやすい理由

妊娠初期に出血が見られるのは珍しいことではありません。

妊娠を望んでいる人にしたら・・・「ああ、また生理がきてしまった・・・」「妊娠検査薬では陽性だから、流産かも」と不安になってしまいますよね。

全妊婦の3割から半分はこの妊娠初期の出血を経験します。妊娠経過に問題なく無事出産まで至れる「安心な出血」と、妊娠を継続するのが難しくなる「危険な出血」とあります。

妊娠初期に起こりやすい出血として、「絨毛膜下血腫」「子宮膣部びらん」「着床出血」「子宮頸管ポリープ」などの「安心な出血」から、「流産」「子宮外妊娠」「胞状奇胎」などの「危険な出血」があります。

では詳しくこの後に「安心な出血」と「危険な出血」をお話ししていきますね。

安心な出血

妊娠初期の「安心な出血」には「着床出血」「絨毛膜下血腫」「子宮膣部びらん」「子宮頸管ポリープ」の4つがあります。

1.着床出血

妊娠初期の出血のうち約7~8割はこの出血であることが多いです。

(1)着床出血とは?

精子と卵子が受精し、この受精卵が子宮に着床する際、胎盤を形成する際に子宮筋層に根を生やす絨毛というものがあり、この絨毛が子宮内膜を傷つけることで出血することがあります。

50人に1人くらいの確率です。

(2)いつ起こるのか?

生理予定日の1週間前から生理予定日に出血することが多いです。

受精卵が子宮内膜まで7~10日間程かかります。その際に起こる出血となります。期間では、1週間も続かず1~2日で終わってしまうことが多いです。

(3)出血の色、量などは?

個人差もありますが、薄っすらとした血の場合もありますし、生理が来たのでは?と思うくらい鮮血が出ることもあります。

(4)その他の症状は?

チクチクと下腹部に痛みが出ることもあります。

(5)着床出血かどうかの見分け方

生理なのかどうか分からない・・・

この着床出血かどうかの見分け方ですが、基礎体温でおおよそが分かります。

排卵期になると、「プロゲステロン」という体温を上げるホルモンが分泌されます。妊娠している場合、プロゲステロンの分泌が続くため、高温期が続きます。

逆に妊娠が成立せず生理となった場合は、体温が下がっていきます。高温期が2週間以上続いているなら着床出血といえます。

妊娠していなくても生理予定日の1週間前はまだ高温期の事もあるので、しばらく体温を測って様子をみましょう。

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2.絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

(1)絨毛膜下血腫とは?

受精卵が子宮内膜に着床後、絨毛組織を伸ばして子宮内膜に胎盤を作るために潜り込んでいきます。その際、血管が切れて出血して血腫が出来ることがあります。これが絨毛膜化血腫です。

(2)いつ起こるのか?

妊娠5~20週頃に起きやすいです。

3.子宮膣部びらん

(1)子宮膣部びらんとは?

子宮口(子宮の入り口)が赤くただれていることです。妊娠初期にも起こりますが、それ以降も起こります。内診や妊娠中の性交などの刺激で出血することがあります。

お腹の張りや痛みはありません。

(2)いつ起こるのか?

妊娠4週~妊娠15週に起きやすいです。

4.子宮頸管ポリープ

(1)子宮頸管ポリープとは?

子宮頸部に出来るほぼ99%以上良性といわれる腫瘍のことです。子宮と膣の間の子宮頸管の粘膜が増殖することで、子宮口から出て膣の方に下がってきます。

一つだけのこともありますし、複数出来ることもあります。大きさも米粒程度のものから1cm程の大きさのものになることも。

30~40代の多産経験をされた女性に多く見られます。経過観察の場合と、早産の危険がある場合は切除手術になることもあります。

(2)症状

痛みがなく、出血で気付いて受診して判断されることが多いです。

妊娠初期の安心な出血と危険な出血の見分け方

こんな出血は要注意

「危険な出血」には「流産」「子宮外妊娠」「胞状奇胎」などがあります。

1.流産

(1)流産とは?

妊娠初期から妊娠22週未満までの期間で妊娠が継続できない状態をいいます。胎盤が作られる妊娠12週までに起こることが多いです。

(2)流産の原因

原因の多くは、染色体異常や先天性異常があった場合に、子宮内で順調に細胞分裂が繰り返せず、育たたなくなり、自然淘汰になってしまいます。

(3)症状

時期的に次の生理予定日あたりで出血することが多いので、生理かどうか見分けが分からないことがあります。出血も大量に出る場合と、2~3日少量がダラダラ出ることもあります。

下腹部が生理痛の様に痛くなったり、それ以上痛くなったり、お腹が張ったりなどの症状が出ます。

切迫流産といって、流産になりかけている時も出血があったり下腹部が痛くなることもあります。いずれも、すぐ診察を受けましょう。

それによって、切迫流産による出血なら日々の生活に気を付けることで、出産まで持ちこたえられることもあります。

2.子宮外妊娠

(1)子宮外妊娠とは?

通常妊娠すると受精卵が子宮内膜に着床しますが、この受精卵が子宮内膜でなく卵管内などの他の場所に着床してしまうことを子宮外妊娠といいます。

(2)いつ起こるのか?

子宮以外の場所で着床して出血するのは、妊娠5週目あたりに出血が出たり出なかったりが4~5日続きます。個人差がありますが、妊娠7週から12週あたりで大量に出血することも多いです。

(3)出血の量や症状

出血も少量の薄い出血から、生理と同量かそれ以上の量が出ることもあります。激しい下腹部痛、吐き気、重度の貧血も起こることがあります。発見が遅れると、卵管破裂して出血多量で最悪な場合はショック死になるという、非常に恐ろしいことも起きる可能性があります。

妊娠初期の安心な出血と危険な出血の見分け方

3.胞状奇胎

(1)胞状奇胎とは?

全妊婦の400~500人に1人がかかる確率のある異常妊娠の1つで、受精卵から胎盤の元となる絨毛組織が、正常にならずに、子宮全体にぶどうの房の形の様なものが水ぶくれ状態(嚢胞化)となって覆われてしまう状態です。

胞状奇胎と診断されたら、子宮内容除去術(掻爬)をします。次の妊娠は医師の許可が出てからになります。妊娠の継続が厳しく、絨毛ガンになる可能性もあります。

特に40歳以降で今後妊娠を望まない場合は、子宮全摘になることもあります。

(2)症状

妊娠のごく初期では分からず、その後の超音波エコーで子宮内を見ると、ぶどうの房の形の様なものがたくさん確認されます。

正常の妊娠に比べ、絨毛組織から分泌されるhCGというホルモンが大量になる為、つわりが重いという特徴があります。子宮から出血が少量あったり、下腹部がチクチク痛んだり、妊娠高血圧症候群の症状が見られることもあります。

(3)原因

染色体異常が原因となって起きるといわれています。予防する方法はありません。40歳以上の高齢妊娠や20歳以下の若い妊娠の方に多く見られる傾向があります。

妊娠初期の安心な出血と危険な出血の見分け方

見極め方は?

いずれも出血や下腹部痛がある状態の場合・・・

1.生理、着床出血、子宮外妊娠なのか

これに関してはまず妊娠検査薬を使うことが判断材料の1つとなります。

妊娠検査薬で陰性なら→生理
陽性なら→着床出血か子宮外妊娠の可能性があります。

2.流産か胞状奇胎か

流産になった場合は、絨毛から分泌されるhCGホルモンが減少しつわりが軽くなります。胞状奇胎になった場合は、このhCGが大量となるので、つわりが悪化します。これは尿検査で分かります。

出血が見られた場合

1.過信や自己判断をしない

大丈夫だろう、よくあるみたいだしと過信しないようにしましょう。

2.出血時の状況を把握する

いつ、出血の色や量、お腹の痛みや張り、他に気になることや心当たりなど、医師に説明出来るようにメモをしておきましょう。

3.診察をすぐ受ける

なるべく早めに診察を受けます。

妊娠検査薬で妊娠が分かってからすぐに病院に行っても、まだ赤ちゃんの胎嚢が見えないことがあります。

そういう場合は、1週間後にまた来て下さいと言われることもあります。中には診察回数が増えて自費で高くつくからと、妊娠週数がある程度経ってからわざと行く人もいます。

特に妊娠初期の出血があった場合は最悪なケースもあるので、なるべく早めに診察を受けましょう。