突然「キーン」という音が聞こえる耳鳴り。
ほかにも、「ジー」「ザー」「ボー」「ピー」など、人によって聞こえ方に違いはあるものの、耳鳴りを経験したことがあるという方は多いでしょう。
耳鳴りの原因は様々ですが、もしかすると何かの病気のサインかもしれません。
今回は、耳鳴りの原因や治し方、怖い病気によるものかどうかの見分け方など、耳鳴りのことを詳しくご説明します。
そもそも耳鳴りって?
耳鳴りとは、「周囲に音がしていないのに、自分にだけは音が聞こえる・音がしているように感じる状態」のことで、人口の10~15%の人が耳鳴りの経験があると言われています。
「キーン」という音のほかにも、「ジー」「ザー」「ボー」など人によって聞こえ方は違い、まれに耳から鼻に通っている耳管という管が開きっぱなしになっていることで、心臓の音や呼吸音など、体の中の音が聞こえる場合もあります。
耳鳴りが起こる原因
耳管という管が開きっぱなしになっているために聞こえるもの以外の耳鳴りには、さまざまな原因が考えられます。
疲労・ストレス・肩こり
耳鳴りの原因でもっとも多いのが、心身の疲れによるものです。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けて肩が凝っていたり、ストレスや疲れを溜め込んでいたり、寝不足でいると、自律神経のバランスが崩れ、血液の流れも悪くなってしまいます。
この自律神経の乱れや血流の悪化が、耳鳴りを引き起こしてしまいます。
耳鳴りの解消のためには、日頃からストレッチや軽い運動をしたり、ゆっくりお風呂を入って血行を良くすること、質の良い睡眠をとることも大切ですが、ストレスを溜め過ぎないようにすることも大切です。
ホルモンバランスの乱れ
ストレスは、自律神経だけでなくホルモンバランスも乱れさせてしまいます。
ホルモンバランスが乱れると、リンパ液が溜まって内耳がむくんでしまいます。このむくみにより耳の中が圧迫され、音が聞こえなくなったり、低温の耳鳴りがするようになってしまいます。
ストレスの原因を取り除くことは難しいことかもしれませんが、自分なりのストレス解消法を見つけるなどして、ストレスを溜め込み過ぎないように心掛けましょう。
耳垢が溜まっている
特にストレスも感じていないし疲れてもいないという人は、耳垢が溜まっているのかもしれません。耳垢が溜まりすぎて鼓膜にこびり付いていると、耳の中でガサガサゴソゴソという異物感のある音がすることがあります。
悪化すると難聴や耳垢栓塞といった病気の原因にもなってしまいます。自分で取ろうとすると、耳の中や鼓膜を傷つけてしまう恐れもあるので、耳鼻科で取り除いてもらうようにしましょう。
気圧の変化
飛行機に乗っているときに気圧の変化で耳鳴りがした、という経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。そういった特別な状況でなくても、台風や大雪、梅雨などの低気圧により耳鳴りが起こってしまうことがあります。
これは、鼓膜の内側と外側の気圧に大きな差が出ることで、鼓膜が膨らんだり凹んだりしたままになってしまうことが原因です。
飴やガムを舐める、あくびをする、深くお辞儀をして耳の周りの血流を増やすなどしてみましょう。
老化
加齢により聴力が低下してくると、耳鳴りを感じてしまうことがあります。
これは、聴力が低下することによりこれまで聞こえなかった周波数の音が聞こえてしまうようになるためで、高齢者の3割が耳鳴りを感じているといわれています。
自然な加齢の症状の一つではありますが、あまりにも耳鳴りが酷く生活に支障が出るほどであれば、専門医に相談してみましょう。
病気が原因の耳鳴り
耳鳴りは、生活習慣やストレス、加齢、気圧の変化以外に、病気の前兆や症状の一つである場合もあります。
例えば脳梗塞の前兆では、「キーン」という金属音のような耳鳴りや、脈のようなドクドクした音が聞こえる事があります。
耳鳴りが症状の一つとして現れる病気としては、突然片方の耳が聞こえにくくなる突発性難聴や、耳鳴りと同時に激しい目眩が起こるメニエール病が挙げられます。
どれも長引くと治療が難しく、早期発見・早期治療が重要な病気ですので、耳鳴りが長く続いていたり繰り返すようであれば、病院を受診するようにしましょう。
まずは生活習慣を見直してみよう
実際には鳴っていない音が聞こえるだけの耳鳴りですが、ずっと音が聞こえているのはとても不快ですよね。
耳鳴りは、多くの場合生活習慣の改善で直すことができます。
まずは生活習慣を見直し、質の高い睡眠や適度な運動、バランスの取れた食生活などで、自律神経やホルモンバランスを整えましょう。あまり気にし過ぎると、それがまたストレスとなって耳鳴りを悪化させてしまう恐れがありますので、あまり過敏になり過ぎないでください。
それでも耳鳴りが治らず、加齢や気圧の変化も関係がなさそうであれば、病気の前兆や症状の一つである恐れがあります。
半日以上耳鳴りが治まらなかったり、耳鳴りを繰り返していたり、目眩や聞こえにくさも感じるようであれば、すぐに病院を受診しましょう。