子供だけがかかる病気だと思われていた百日咳ですがが大人にも急増していることをご存知ですか?注意をしておかないと、風邪だと勘違いして放置してしまう方もいます。
今回は怖い百日咳について詳しくご紹介します。
百日咳とは
百日咳は、非常に感染力が強い病気です。咳の飛沫でどんどんと感染が広がり、学校や職場といった大人数が集まる場所での集団感染も珍しくありません。
百日咳菌と言われる細菌が感染することで引き起こされ、名称にもあるように、長い期間咳が続いてしまいます。乳幼児が百日咳にかかってしまうと、咳がひどくなり、死に至ることもあるほど重症化しやすいのです。
従来は乳幼児に多い病気でした。しかし、ここ10年ちょっとで患者数が増えてきているのです。その増え幅がひどいのが大人です。20歳以上の成人の患者さんの割合が2001年に2.8%だったにも関わらず、2010年の1月~4月の間でなんと56%にまで増えているのです。
また、大人がかかるとそれが子供にうつるというリスクも高まり非常に危惧されている病気です。
風邪の咳と百日咳の違い
さて、百日咳の特徴といえば咳ですが、咳が起こるのは風邪も同じです。そういった意味で、風邪と百日咳を勘違いしてしまうケースもあるのです。
そこで、風邪の咳と百日咳の違いを知っておいてください。
風邪の咳
風邪の咳は、咳だけでなく、発熱や身体のだるさ、鼻水、くしゃみ、頭痛といったいわゆる風の諸症状がともないます。
つまり咳だけではないのです。
百日咳
一方の百日咳はというと、発熱や身体のだるさというものは起こりません。咳だけがしつこく2週間以上も続きます。
くしゃみや鼻水は出ることもありますが、熱やだるさなどがないしつこい咳が百日咳なのです。
ある調査によると、熱が出ないしつこい咳が2週間以上続いた大人の患者さんを調べると、そのうちの2割が百日咳だったという結果もあるほどです。
それだけ、私たち大人の身近にもある病気だという事を知っておきましょう。
百日咳の症状
次に百日咳の症状についてご紹介します。
百日咳の症状は大人と子供では異なります。そこでまずは子供の症状について簡単に見ていきましょう。
子供の症状
症状に段階があり、最初の2週間程度がカタル期と言われ、咳やくしゃみが続き、だんだんと悪化していきます。
その後2~3週間が痙咳期(けいがいき)と呼ばれる時期に入ります。症状の特徴は短い咳が連続することと、息を吸った時にヒューと音がなる発作が発生します。何度も短い咳が出ることで呼吸が途中で途切れ、むくみや内出血を顔面に伴うこともあります。
さらに2~3週間たつと、咳が治まり始める回復期に入ります。しかし、発作がぶり返すこともあり注意が必要です。
3か月程度も状況が変わりながらも咳が続くのです。
大人の症状
大人が百日咳にかかった時の症状は、先ほど紹介したような発作性の咳が出ることはありません。また、子供と違って血液検査で白血球が増加するということもありません。それもあり風邪と勘違いしやすい危険性があります。
つまり大人の症状は呼吸困難や発作を伴わない咳が2週間以上続きます。ただ、咳だけだからと安心はできません。子供と同様のカタル期という発症後2週間は、感染力が高まっているので、人にうつしてしまうリスクが非常に高くなるのです。
大人の場合放置していても治るケースもあれば、咳の影響で肋骨を骨折するケースなど非常に症状の強さに差があるのは特徴でしょう。
咳の具体的な例をあげてみます。
・嘔吐しそうな、または嘔吐をともなうこみ上げる様な強い咳が続く
・咳がはじまるとしばらく止まらない
・夜中に咳が続き睡眠不足である
・2週間以上咳が続いている
・熱の症状はない
これらに当てはまる方は百日咳を疑ってみる必要があります。
咳を楽にする方法
百日咳による咳は市販の咳止めでは咳が止まりません。そこで少しでも咳を楽にする方法を知っておきましょう。
まず1つ目は、お水を少しずつこまめに飲むことです。こうすることで、痰の切れがよくなり咳が軽減してくれます。また咳が続くどうしてものどの粘膜が乾燥しますので、水分補給は必須ですね。
もう1つは刺激を減らすことです。エアコンをつけた、たばこの煙が漂ってきた、そんなちょっとした刺激が咳を誘発します。ほかにも、乾燥や冷たい空気、ほこりなどにも要注意です。加湿器などを利用し、お風呂上りに使ったバスタオルを干すなどしてのどを潤わせるのもお勧めです。
外に出るときは、のどの保湿の意味と外からの刺激を避けるために必ずマスクを着用するようにしてくださいね。また、外から戻った時はうがいと手洗いを忘れずに行いましょう。咳が出るときって、大抵自分の手で口元を抑えますよね。その為、手にたくさんの菌がついてしまっているので、きれいに洗ってくださいね。
百日咳は大人の場合、ひどい症状にならない為、軽視してしまう方もおられますがそれは間違いです。二次感染でお子さんや周りの人にうつしてしまうことで、重症化させてしまうのって危険ですよね。
この咳ってもしかしてと思った方は早めに病院を受診しておきましょう。