昼間はあまり咳が出なかったのに、夜になるとゴホンゴホンと咳が止まらなくなり、なかなか眠れない……という経験のある人は多いのではないでしょうか?
咳のせいで睡眠不足になると翌日も辛いですし、止められるものなら止めたいですし、あまり続くと何か重大な病気なのではと心配になってしまいますよね。
今回は、夜に咳が出やすくなる理由や効果的な咳の止め方、病院へ行った方が良いのかどうか?など、夜になると出るやっかいな咳について解説します。
そもそもどうして咳が出るのか?
咳が出る原因は様々ですが、多くはウイルスや細菌、埃、煙、毒物や食べ物などの異物から肺を守るための防御反応です。
異物による気道や気管支の粘膜が刺激を受けると、それを外に出そうとして咳が出ます。たとえば、風邪をひいたときには、粘膜にとりついた風邪のウイルスを体外に排出しようと咳が出るのです。
ほかにも、気管に溜まった痰を吐き出す役割も持っており、炎症やアレルギー、化学的物質による刺激や、極度に緊張していたり腫瘍ができることで軌道が狭くなっているときにも咳が出るようになります。
夜に咳が出やすい理由
では、昼間はあまり出なかった咳が、夜布団に入ると出やすくなるのはどういった理由があるのでしょうか?
その理由は、大きく4つあります。
1.気管支が狭くなるため
睡眠中には、自律神経の一つである副交感神経が活発にはたらきます。
副交感神経は、睡眠中やリラックス時に身体に溜まった疲れを取る役割をもっており、副交感神経が優位になっていると筋肉がゆるんで血管が広がり、心臓の鼓動が遅くなります。
副交感神経のはたらきは人間が健康に生活するために欠かせないものですが、筋肉がゆるむことで気道や気管が狭くなり、空気が通る程度の刺激でも咳が出やすくなってしまうという側面があります。
特に、風邪をひいて鼻が詰まり口を開いて寝てしまっている場合などは、普段以上に空気が通るため咳が出やすくなります。
2.鼻水が喉に流れこむため
鼻と口は喉で繋がっています。鼻でも口でも呼吸ができるのはこのためです。
仰向けで寝ると、鼻水が鼻の奥から喉へと流れ込んでしまうため、これが身体に異物として認識されて咳が出てしまい、時には痰が絡んだような咳になることもあります。
3.気道過敏症を発症しているため
気道過敏症とは、その名の通り気道が過敏になって少しの刺激にも反応してしまう状態です。睡眠中は気管支が狭くなるため、余計に反応しやすくなってしまいます。
喘息持ちだった人が発症しやすいほか、気道過敏症を放置することで喘息に繋がることもあります。
4.アレルギー反応のため
布団や枕などの寝具に付いている羽毛や埃、ダニなどにアレルギー反応が出て咳が止まらなくなることがあります。
また、蕎麦アレルギーのある人の場合、蕎麦殻を使った枕でもアレルギー反応が出ることがありますので注意が必要です。
咳の止め方
夜咳が酷くなってしまったときに、すぐにできる対処法を5つご紹介します。
その1:水分補給とマスクで喉の潤いを保つ
咳をすると勢い良く空気が外に出るだけでなく、勢いよく空気を吸い込むため、喉はどんどん乾燥してしまいます。喉は乾燥すればするほど刺激に弱くなりますから、空気の出入りが刺激となって咳が止まらなくなってしまうんです。
そのため、咳を止めるためには喉の潤いを保つことが重要となります。
水分を摂って喉を潤し、鼻と口の両方を覆う大きなマスクを着けて、せっかく摂った水分が逃げてしまわないようにしましょう。
マスクを装着していれば呼吸の際に吐き出した湿った息で加湿器の役割になるだけでなく、ウイルスや細菌、埃などの喉を刺激する異物が入ることも防止できます。
ただし、冷たい飲み物は逆に喉に刺激となってしまうので、常温か温かい飲み物をゆっくり飲むようにしましょう。温かい飲み物の蒸気が加湿にもなりますよ。また、蜂蜜や生姜など殺菌作用のあるものを入れて飲むのもおすすめです。
その2:体勢を変える
横向きになって寝ると、副交感神経のはたらきで狭くなった気管を広げやすくなり、鼻水が喉に流れ込むこともある程度防ぐことができます。
枕を重ねて身体を半分起こしたような状態で眠るのも効果的です。
その3:部屋の湿度を上げる
加湿器を使用したり、加湿器代わりに濡らして絞ったタオルを吊るす、枕元に水を入れたコップを置くといった方法で部屋の湿度を上げて、喉の乾燥を防ぎましょう。
その4:枕元に玉ねぎを置く
玉ねぎを切ったときに涙が出てしまう原因となる成分である「硫化アリル」には、殺菌作用や血行促進作用、神経の鎮静作用があるとされており、咳止めとしても重宝されています。
玉ねぎの皮を剥いて半分に切ったものを器などに入れて枕元に置いておくだけと、やり方も非常に簡単。
また、玉ねぎには鼻の通りを良くする効果もあるので、咳だけでなく鼻づまりにも苦しめられているときには一石二鳥です。
その5:アレルゲンを取り除く
アレルギーが原因で咳が止まらない場合は、アレルゲンを取り除かなければ咳が改善することはありません。
寝具は常に清潔を保ち、寝具の素材がアレルゲンとなっている場合は、別の素材のものに変えるなどしましょう。
長期間咳が続く時は病院へ
夜に咳が出て止まらないという症状が1週間以上続く場合、喘息になっている恐れがあります。耳鼻咽喉科を受診して、治療を受けてください。
また、呼吸器には異常がないのに咳が止まらない場合は、ストレスが原因であることも考えられます。自分なりのストレス発散方法を見つけたり、心療内科などの専門医に相談してみましょう。
夜になると止まらなくなる咳は、睡眠不足の原因となって体力を奪ったり、日中の活動にも支障が出るだけでなく、咳のし過ぎで喉を痛めて声が出なくなってしまう恐れもあります
症状が重くならないうちに咳の出る原因を突き止めて対処することが大切です。