女性に多い汗かきの原因、「更年期障害」とは?

汗をかく夏だけでなく、不意に体が火照り汗を大量にかいてしまう症状が起きるのが更年期障害です。

体温調節のための発汗とは違い、汗だけでなくほてりやのぼせが予告もなしに起きるため、自分の体がコントロールできません。大量の汗をかくので外出するのが辛い、眠れない、食事ができないなど生活にも支障を起こしてしまう更年期障害はなぜ起きるのでしょうか。

また更年期障害で起きる汗かきに対策はあるのでしょうか。その対策や対処方法について詳しくご紹介します。

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「更年期障害」とは?

女性は50歳前後に閉経を迎え、この時に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が一気に減少します。ただし閉経を迎えて突然にホルモンの分泌が減るのではなく、閉経より前の40代半ばぐらいから少しずつ分泌が減っていきます。そのため、この閉経の時期を中心とした前後合わせて10年間を更年期と呼んでいます。

加齢と共に卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が減ることで、今までバランスよく分泌されていたホルモンバランスが崩れ、女性の体には様々な影響が出ます。その影響から起きる症状のことを、更年期障害といいます。

更年期障害の症状については、その人の心理的な要因も大きく関わっています。仕事で要職についたり、また子供の独立など、生活に変化が起きることが、ホルモンの分泌にも関わり、更年期障害が出る人、また閉経の後60代ぐらいになってから急に症状が出る人、また症状が出ても軽い人や重い人がいます。

女性に多い汗かきの原因、「更年期障害」とは?

更年期障害と汗かきの関係

更年期障害には、ホルモンの分泌バランスが崩れることで、精神的、身体的に様々な変化が起きます。そのなかでも特に多いとされるのが、大量の汗をかくホットフラッシュと呼ばれる症状です

通常汗は体温調節をするほか、緊張した時や辛い物を食べた時など、何らかの要因があって発汗する仕組みになっています。その指示をするのは自律神経ですが、エストロゲンの分泌が減少することで自律神経もバランスを崩し、汗をかく必要がないのに急に大量の汗が出るということが起きるのです。

ホットフラッシュは大量の汗をかいて体が火照るのに、下半身は冷えるなど、自分の体にコントロールがききません。車のブレーキとアクセルがあべこべになったような状態が急に起きるようなものだともいえます。

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汗かきにはどんな症状がある?

更年期障害の汗かき、いわゆるホットフラッシュには以下のような症状があります。

上半身だけに汗をかく

ホットフラッシュでかく汗は、下半身には出ず、上半身だけに出るという特徴があります。首回りや顔、頭、背中、脇や胸などから、突然汗が出ます。通常の汗のような量ではなく、拭いても拭いても止まらないほど噴きだすような汗です。

時間に関係なく発汗する

ホットフラッシュによる発汗には、前触れや予兆といったものはありません。突然汗が出るのは日中だけではなく、夜寝ている時も変わりません。朝起きたら、パジャマが汗でぐっしょりということもあります。自宅にいる人はともかく、仕事で通勤する人はバスや電車の中でも汗が噴き出ることがあります。

継続や感覚は不規則

ホットフラッシュは自覚してから症状が2、3分ほど続きますが、その後30分間隔や1時間おきなど、繰り返すこともあります。継続するのか、また何度も繰り返すのかは個人差があり、発汗も半年程度で落ち着く人もいれば、長引く人もいます。また2,3分で落ち着く人もいれば、30分から1時間汗が止まらないという人もいます

女性に多い汗かきの原因、「更年期障害」とは?

汗がひどい時の対処法

ホットフラッシュの汗は、運動をした後のような激しい汗のため、タオルで拭いても間に合わなかったり、何度も汗をかくと着替えも難しくなります。こういった汗に対処するために、前もって対処法を用意しておきましょう。

首の後ろを冷やす

上がった体温を下げるために、大きな血管のある首の後ろを冷やすことで汗を抑えることができます。クールタオルや熱を下げるための冷却シート、汗拭きシートなどを持ち歩くといいでしょう。

脇汗パットを常備する

普段から首にマフラータオルなどファッションとしてかけておくこともおすすめですが、脇の汗にも対処できるように脇汗用のパットを持ち歩くのもおすすめです。

なるべく涼しい服装で過ごす

ホットフラッシュは冬でも症状が起きます。薄着になることは難しいかもしれませんが、脱ぎ着しやすく体温調節をしやすい服装で過ごすようにしましょう。体を締め付けるような服は、かえって体を緊張させてしまい、汗が出る原因となることがあります。

また汗が大量に出た時には、座れる場所を探して一旦落ち着くことも必要です。ホットフラッシュを繰り返すと「また汗が出てしまうかも」という気持ちがストレスになるため、症状を悪化させてしまうことがあるためです。

落ち着いた状態で深呼吸をするなどして、気持ちや体を落ち着かせることを優先させましょう。またホットフラッシュの症状があることを家族などにもきちんと説明し、自分一人で悩まないようにすることも大切です。

女性に多い汗かきの原因、「更年期障害」とは?

汗かきの症状を抑えるためには?

更年期障害が原因で起きる汗かきは、更年期障害の治療をすることも必要ですが、合わせて普段の生活を見直しましょう。

普段から汗をかくような運動の習慣をつける

ホットフラッシュが起きると、上半身に熱が集まりますが、下半身は冷えやすくなります。こういった状態が続くと、汗は正常に出なくなっていきます。下半身の血行を改善し、全身から汗が出るように、普段から有酸素運動を行い、しっかり汗をかくことが必要です。そうすることで汗の症状が落ち着きます。

大豆を食事に取り入れる

女性ホルモンと同じ働きをする、大豆イソフラボンを毎日の食事に取り入れるようにしましょう。豆腐や味噌、納豆など大豆加工の食品にも大豆イソフラボンは豊富に含まれています

リラックスして深呼吸する

汗が大量に出るのは、自律神経のバランスが崩れているためです。汗が大量に出ている時にも深呼吸して落ち着くことが有効ですが、普段の生活からも深呼吸をするようにしましょう。呼吸は自律神経にコントロールされることなく、自分で調整が可能なので、ホットフラッシュを繰り返してしまう不安を落ち着かせることにもつながります

吸湿性のいい下着を着る

汗を大量にかいてしまうと気になるのが汗染みや臭いの問題です。デオドラント効果のある下着や、吸湿性、通気性のよい下着を着ることで、汗をかいても不快な状態にならずにすみます。できれば汗をかいた後は服を着替えるようにするといいでしょう。

誰にも起こり得る更年期障害は、対策をたてておけば落ち着いて対処ができます。程度の差はあれ、誰にでも起きることなのだと考え、気に病まないようにすることも大切です。