冷える冬だけでなく、夏にも手足が冷えてしまう冷え性に悩まされ、夜もしっかり眠れないという悩みを持っているなら、まずは食事を見直してみましょう。食べ物には体を温めるものだけでなく、体を冷やすものもあるので、注意が必要です。
食べ物の性質
人間が活動する際に必要となるエネルギーは、食べ物の栄養を代謝することで生み出されます。そのほとんどは熱で、体温維持に使われています。ただ胃や腸で消化する際、冷たい物を温めるためにも使われてしまうので、食べ物の温度によっては体が熱不足になってしまいます。
そこで食べ物の性質を見極め、体を温めることが必要となってきます。ただし冷え性だからといって体を温めるものだけを食べるのは、栄養のバランスが取れないだけでなく体の中で起きている炎症を鎮める力が足りなくなってしまいます。そのため、調理法を工夫しながら、バランス良く食べる必要があります。
食べ物の5つの性質
熱の食性
体を温め、興奮させる作用がある
温の食性
体を温める作用がある
平の食性
熱に関係ない穏やかな性質であり、体の影響が少ない
涼の食性
体を冷やす作用がある
寒の食性
体を強く冷やすだけでなく、鎮静や消炎の作用がある
穀類や野菜類、肉類の中でも、温め効果のあるものと冷やす効果のあるもの、中間の食性のものとに分けられるため、冷え性なら冷やす物はなるべく減らすといった工夫が必要となります。
体を温める食べ物の特徴って何?
たくさんの種類があるため、お店で見分けるのが難しいのですが、大まかな見分け方を覚えておきましょう。
1.寒い場所で育ったもの
寒い国や山の上など、気温が下がる地域で育った食べ物は、熱を蓄える必要性から体を温める食べ物が育ちます。
2.土の中で育ったもの
体を温める根菜類は、冬の寒さから体を守るため、地中で育ちます。そのため、熱を蓄えています。
3.代謝を促進する酵素を含むもの
体の代謝を良くする酵素は、発酵食品に多く含まれています。発酵食品としては味噌や納豆、漬物やヨーグルト、チーズのほか、日本酒や紹興酒、甘酒などがあります。
4.色や形で見分ける
暖色系の黄色やオレンジなどの食べ物は体を温める作用があります。また小さく、丸いものも体を温めます。さらに水分が少ないものも温める食べ物に入ります。ただし丸くて赤いトマトですが、夏の野菜で、水分が多いので体を冷やす食べ物に入ります。そういった例外もありますので注意しましょう。
体を温める食べ物はコレ
それでは具体的に体を温める食べ物には、どんなものがあるかをご紹介します。
穀類
もち米、ライ麦、麩
野菜類
大根、カブ、カボチャ、タマネギ、人参、ゴボウ、レンコン、ねぎ、にら、生姜、にんにく、みょうが
種実類
栗、松の実、くるみ
豆類、豆の加工品
いんげん、そらまめ、納豆
果物類
ざくろ、桃、きんかん、なつめ
肉類
鶏肉、羊肉、鹿肉
魚貝類
あじ、いわし、さば、かつお、たら、ぶり、あなご、うなぎ、エビ
乳類加工品
チーズ
調味料
味噌、みりん、こしょう、唐辛子、山椒、からし、シナモン
甘味類
黒砂糖、水飴
油類
ごま油
基本的には白いものや精製されたものは、体を冷やす食べ物です。
体を温める食べ物の食べ方
お米や芋類、また牛肉や豚肉、卵などのほか、塩や醤油は体を温める食べ物、また冷やす食べ物のどちらでもない、中間の食べ物です。栄養のバランスのためにも、体を温める食べ物だけに偏った食べ方をするのではなく、まんべんなく取り入れるためには、調理の仕方を工夫することが大切です。
生姜を取り入れる
生の生姜には殺菌力のあるジンカロールが含まれていますが、加熱することでショウガオールという体を温める成分に変化します。さらに乾燥させた生姜はショウガオールが増えます。乾燥生姜を料理や飲み物に取り入れるようにすると温め効果がアップします。
加熱料理に使う
体を温める効果のある食べ物は加熱することでその効果がアップします。さらに温かい料理を温かい内に食べることで、胃腸の負担をやわらげます。
旬のものを食べるようにする
体を冷やすからといって、偏った食事をしていては、体のために必要な栄養素が不足してしまいます。体を温めるために必要なのは、季節にあわせた旬の食べ物を積極的に食べることです。夏は上がりすぎた体温を冷まし、冬は下がりすぎた体温を上げるために、それぞれの季節にとれた食べ物を食べるようにしましょう。
合わせて覚えておきたい体を温める飲み物
食事と共に必要なのが水分補給ですが、せっかく体を温める食べ物を食べても、体を冷やす飲み物を飲み続けていては逆効果です。体を温める飲み物を飲むようにしましょう。
紅茶
カフェインを含む紅茶は、コーヒーとは違い発酵しているため体を温める効果があります。さらに生姜を入れると温め効果がアップします。
生姜湯
体を温める生姜をお湯で飲みます。はちみつで甘みを加えたり、葛湯に生姜を入れて飲むのもおすすめです。
ほうじ茶
お茶を飲むなら発酵させたほうじ茶がおすすめです。カフェインが少ないため、寝る前に飲むと体が温まります。
甘酒
体を温める効果のほか、保温効果も高いので、体の中で代謝を促進してくれます。血行を改善する効果もあります。
また白湯も体を温めてくれるほか、胃や腸の働きを活性化してくれますので、朝起きた時や夜寝る前に飲むようにしましょう。カロリーの心配をせず気楽に飲めるメリットもあります。
さらに体を温めるためには、毎日規則正しく食事をすることも大切です。胃や腸の働きが低下すると、血行が悪くなり、体が冷えるだけでなく、免疫力も落ちてしまいます。食べ過ぎや暴飲暴食を控え、体に優しい食生活を心掛けましょう。