汗かきの人にとっては、汗をかかない人がうらやましく思うかもしれませんが、汗をかかないことには意外なリスクがひそんでいます。汗をかかないことで考えられる原因や対処法をチェックしてみましょう。
汗をかかない原因
まずはなぜ汗をかかないのか、考えられる原因を4つご紹介します。
1.汗腺機能の低下
汗腺は汗を流すための腺ですが、3歳ごろまでにその数が決まると言われています。その時期までに運動をあまりすることがなかったり、冷房がきいた家の中で過ごすことが多いと、汗をかく機会が減り、汗腺の機能が低下してしまいます。
2.冷房による影響
飲食店やデパート、職場では、空調の調節を自分ですることができないため、夏場はかなり冷房が効きすぎた場所に身を置くことがあります。冷房が効きすぎた場所で毎日長時間過ごしていると身体が冷え切ってしまうので、汗をかかないことで体内の熱を逃がさないように働きます。つまり過度の冷房により、汗をかけない身体になってしまっているのです。
3.筋肉量が少なく基礎代謝が低下している
筋肉量が少ないと基礎代謝が低下するため、体温が上がりにくくなります。基礎代謝は私たちが暮らす中で自然と消費されるエネルギーのことをいい、寝ていても座っているだけでも内臓は働いているため、筋肉が消費されるのです。
筋肉量が少ない人は低体温で基礎代謝が低いため、脂肪がつきやすく汗もかきにくい状態になっています。
4.病気の可能性
意外に思われるかもしれませんが、汗をかかないことは病気の可能性も考えられます。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンに異常がおきる病気で、甲状腺ホルモンの分泌が低下することにより身体の代謝を維持することができず、身体がだるくなったり体温が低く汗をかかない症状が出ます。皮膚の乾燥や脱毛、声が低くなるなどの症状が見られることもあり、女性に多いと言われています。
自律神経失調症
緊張したときに汗をかくのは普通ですが、自律神経失調症の場合は汗をかくような場面でない場合に突然大汗をかいたり、逆に汗をかくべきところでかかないといった症状が表れます。これは自律神経の交感神経が正常に働いておらず、汗をかくという調整ができない状態になっているからです。
無汗症
汗を全くかかない病気の無汗症は、運動により体温が上昇し、汗が出るべきところで汗が出ないため、体温だけがどんどん上がって倦怠感となって表れます。
無汗症には先天性と後天性があると言われていますが、後天性の場合には汗を出そうとする作用が働いて皮膚が痛くなることがあります。
腎不全などの腎臓病
腎不全など腎臓病になると腎臓の機能が低下し、尿毒症を引き起こします。その結果自律神経に影響が及び、汗腺が萎縮することで汗を排出しにくくなるのです。
汗をかかないと何がいけないのか
基礎代謝の低下により太る体質に
汗をかかない状態は基礎代謝が落ちているので、身体の新陳代謝が鈍くなります。つまりエネルギーが消費されず、どんどん太りやすい体質になっていきます。
体温調節ができない
汗をかくことで人間の身体は体温調節をしていますが、汗が出ないと身体に熱がこもった状態になり、熱中症にかかりやすくなります。また汗が出ないので余分な水分が身体にたまり、身体が冷えて冷え性になったりむくみとなって表れます。
免疫が落ちて病気になりやすい
汗をかかないと代謝が低下し免疫力が落ちるので、風邪やウイルス性の病気、感染症などにかかりやすくなることも。さらには自律神経の働きが低下し、頭痛や不眠症、鬱なども引き起こす可能性があります。
体臭がきつくなる
代謝機能の低下により、体臭の原因となる動物性脂肪や有毒物質が身体の中にたまってしまうため、体臭がきつくなると言われています。汗の量が十分でないため、毒素がたまり少量の汗であっても不快な臭いを放ってしまうのです。
汗をかかない時の対処法
汗をかくことは身体にとってとても大切なことです。良い汗をかくための対処法をご紹介します。
お風呂に入る
健康な汗は嫌な臭いが少なくサラサラの状態。そのような汗をかくためにはお風呂に入って身体の中からしっかり温めることがポイント。
ぬるめのお湯に身体の先端を30分程度つけてゆっくり温めます。好みのアロマオイルを入れたり、香りの良い入浴剤を入れるとリラックス効果が増し、自律神経の機能にも穏やかに作用するのでおすすめです。
有酸素運動をする
身体を動かすと汗は出やすくなりますが、ハードな運動よりもゆるやかに身体に効く有酸素運動がおすすめ!ジョギングやウォーキング、水泳など代謝を高める運動を20分程度、週に2~3回ほど行いましょう。
冷房は控えめに
冷房の使い過ぎは体温調節を狂わせ、汗をかかない要因となります。室内と外気の温度差は5度以内がベスト。くれぐれも冷房の設定温度に注意して、冷え過ぎないようにしてください。
身体を温める食材を摂る
身体が冷えると汗をかかないばかりか、様々な変調をきたします。白砂糖、コーヒー、緑茶などは身体を冷やすので避け、黒砂糖やほうじ茶、生姜や根菜類など、身体を温める食材や飲み物を積極的に摂るようにしてください。
朝ごはんをしっかり食べて代謝をアップしたり、普段の食生活を少し変えるだけでも違ってくるのでぜひ試してみてください。
良い汗をかいて健康的な生活を
サラサラの良い汗をかくと気分がすっきりするだけでなく、身体の中の老廃物が外に出るのでデトックス効果もあります。ご紹介した対処法を試しながら良い汗をかいて、元気に健康的な毎日を過ごしてくださいね。