実は珍しくない「小学生のおねしょ」の2つの原因と治し方のポイント

幼稚園くらいまでは、冬場など体が冷えやすいときなどにおねしょをしてしまうことはあったとしても、小学校に入学してからもおねしょをしてしまうなんて・・・と悩んでいる親御さんも多いかもしれませんね。けれども、小学生になっておねしょをするということは、決して珍しいことではないのです。

小学生のような学童期のおねしょを「夜尿症」といい、治療が可能な病気です。夜尿症を治すポイントをおさえれば、自宅での生活の見直しで治療も可能な場合があります。そこで今回は、修学旅行で辛い思いをしないため、夜尿症の原因と治療法をご紹介しましょう。

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小学生のおねしょは「夜尿症」

小学生になっても続くおねしょは「夜尿症」と呼ばれています。

この夜尿症は特別珍しい病気ではなく、小学校低学年の11%、小学校高学年の7%に見られるよくある病気です。「おねしょは小さい子供だけのもの」という意識が強い親御さんにとっては、小学生にもなった子供がおねしょをしてしまうということは信じがたいかもしれませんね。

また小学校の行事には林間学校、自然学校、臨海学校、修学旅行など泊りがけで行うものもありますから、夜尿症だと心配ですね。

適切な治療を行わずにいると、大人になっても続いてしまうこともあります。

週2日以上おねしょをするという場合は適切な治療を必要とします。

実は珍しくない「小学生のおねしょ」の2つの原因と治し方のポイント

 

夜尿症の原因と症状

夜尿症は乳幼児のおねしょの原因とは違います。

乳幼児のおねしょは、膀胱の機能が発達途中であることが原因なので、膀胱の機能が正常に発達してくれば自然とおねしょはしなくなりますから、まったく心配することはありません。

小学生のおねしょである夜尿症は、以前は親の躾や子供の心に問題があるからだとされてきました。

ところが最近になって親の躾や子供の心の問題ではなく、別のところに原因があることがわかってきました。

1.多尿型

夜尿症の2つの原因の1つ、多尿型。

多尿型とは水分の摂りすぎや、寝ている間の尿の量を減らすホルモン「抗利尿ホルモン」不足によって起こるものです。この抗利尿ホルモンを補ってくれる薬の服用が有効です。

2.膀胱型

もう1つの原因が膀胱型です。

膀胱型とは膀胱が硬いために、大きく膨らまないことによって、眠っている間、尿を膀胱にためておくことができないという状態です。膀胱型が原因の場合は膀胱を柔らかくする薬の服用が有効です。

夜尿症の2つの原因のうちどちらが原因となっているのかは、紙おむつを使用すれば簡単に判断することができます。あらかじめ紙おむつの重さを計っておき、朝濡れた紙おむつの重さを計ります。

眠っている間の尿の量は体重から割り出せます。1時間の尿の量は「体重×1cc未満」ですから、子供の体重が30kgであれば1時間当たり30ccとなります。8時間眠った場合は240ccです。240ccより量が多ければ多尿型、240ccよりも量が少なければ膀胱型であると判断できます。

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自宅での治し方のポイント

病院での治療を受けずに自宅で治す方法でまず頭に入れておきたいのが、

・怒らない
・起こさない
・焦らない

というこれら3つです。そのうえで生活の見直しを行いましょう。

子供がおねしょをしてしまうと、夜中に起こしてトイレに行かせたり、パジャマを着替えさせたり、シーツを替えたりしがちです。また、こんなにおおきくなってもおねしょをしているという思いから怒ってしまうこともあると思います。

けれど、これは夜尿症の治療にとって逆効果となってしまいます。決して怒らず、起こさないでそのまま朝まで寝かせてあげましょう

また夜尿症では子供本人よりも親御さんがすぐにでも治したいと焦ってしまうことが多いです。でも親御さんが焦っても夜尿症は治りませんし、それだけでなく子供にとってもプレッシャーになり、夜尿症が悪化してしまうこともあります。

おねしょをしなかった朝はしっかりと子供を褒めてあげることも効果的です。

具体的な生活の見直しとしては、

就寝前にトイレに行かせる
就寝2時間前からは水分を控える
・昼間のおしっこをギリギリまで我慢させる
冷え対策を行う

これらがとても効果的です。

おしっこをギリギリまで我慢させるのは、膀胱にためられる尿を増やす訓練になります。学校では難しいので、帰宅後に訓練すると良いでしょう。

実は珍しくない「小学生のおねしょ」の2つの原因と治し方のポイント

 

病院での治療方法は?

夜尿症は自宅で治せるケースももちろんありますが、病院で治療が望ましいケースもあります。

病院で行われる夜尿症の治療は、薬物療法とアラーム療法などが行われています。

薬物療法では眠っている間の尿を減らす「抗利尿薬」や膀胱機能を安定させる「抗コリン薬」、「三環系抗うつ薬」、漢方薬などが処方されます。症状によって複数の薬を併用することもあります。

アラーム療法は、パンツにセンサーを付けることによって、尿の水分をセンサーが感知し通知音がなり、通知音を子供が聞くことで排尿を抑えるというものになります。

眠っている間の排尿を抑える訓練としてアラーム療法が使われます。

他にも心理カウンセリングなどがあります。

実は珍しくない「小学生のおねしょ」の2つの原因と治し方のポイント

 

夜尿症はどれくらいで治る?

夜尿症は治療を始めたからといってそう簡単に治るものではありません。自宅での生活の見直しや薬物療法、アラーム療法など、子供に合わせた治療を行ったとしても最短でも数か月かかってしまうものです。

比較的治りやすいといわれているのが多尿型で、その次に膀胱型、もっとも治りにくいといわれているのが、夜尿型と膀胱型の混合タイプになります。

適切な治療を行えば3年後では約80%が治癒しますので、できるだけ早めに治療を始めてあげましょう。