死菌なのに便秘すっきり!「フェカリス菌」の6つの効果

 

腸内環境を整えてくれて、免疫力の向上にも効果のある乳酸菌。乳酸菌を添加したヨーグルトやチョコレートなど、乳酸菌を効率よく取り入れるための食品も増えていますよね。

「乳酸菌」と一口に言っても、その種類は200以上に上ることはご存知でしょうか?

中でも、今特に注目されているのが死んでいても高い効果を発揮する「フェカリス菌」です。

「フェカリス菌」とは一体なんなのか?フェカリス菌の持つ効果効能や、効率よく摂取する方法など、フェカリス菌について詳しくご紹介します。

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「フェカリス菌」とは?

フェカリス菌とは、正式名称を「 Enterococcus faecalis(エンテロコッカス・フェカリス)」といい、エンテロッカス属に分類される乳酸菌のひとつです。

フェカリス菌は元々人間の体内に住んでいる常在菌で、ほかの乳酸菌と同じく腸内環境の改善に効果がありますが、特に免疫力を高めるはたらきが高いことで有名です。

乳酸菌には、ビフィズス菌のように形が棒状のものもあるのですが、フェカリス菌は「球菌」といって、その名の通り丸い球状をしています。

大きさも0.5~1ミクロン程度と他の乳酸菌の5分の1程度しかないくらい小さく、一度に大量のフェカリス菌を摂取しやすいという長所もあります。

これまで、乳酸菌は生きていなければ効果を得ることができず、「生きたまま腸に届く」ことが大切とされてきました。

しかし、最近の研究でフェカリス菌は敢えて加熱処理を施して殺菌した「死菌」の状態でも高い効果を得られるどころか、効果がより高まるということがわかりました。

死菌の状態で取り入れることで、腸内にいる善玉菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境の改善や免疫力の向上など、様々な効果を得ることができるためと考えられています。

このように、これまでの乳酸菌の常識を根本からひっくり返してしまったことから、フェカリス菌は「新型乳酸菌」とも呼ばれています。

加熱殺菌されても高い効果を得ることができるということは、品質の保持が簡単で加工も容易であり常温での保存が可能ということですから、これまでには考えられなかったような食品への応用も期待されています。

死菌なのに便秘すっきり!「フェカリス菌」の6つの効果

 

フェカリス菌の効果

フェカリス菌の持つ大きな効果としては、以下の6つがあります。

1.免疫力向上
2.整腸作用
3.アレルギー症状の緩和
4.コレステロール値の低下
5.高血圧予防
6.美肌効果効果

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.免疫力向上

フェカリス菌は、加熱処理をして「死菌」にすることで免疫力向上効果がさらに高まることがわかっています。

腸は体が様々な病原菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫器官の中枢であり、免疫細胞であるリンパ球の6~7割が腸に集中しています。また、乳酸菌などの腸内の常在菌は免疫とも深いかかわりをもっており、免疫力を向上させるために乳酸菌の摂取が効果的であることがわかっています。

フェカリス菌も常在菌ですので、生きた菌(生菌)でももちろん免疫力向上に効果がありますが、死菌で摂取したほうが免疫力を高める効果があります。

実際、マウスをフェカリス菌を投与するグループとしないグループに分け、それぞれをインフルエンザに感染させたところ、14日経過後の生存率がフェカリス菌を投与していないグループは40%であったことに対し、投与したグループは80%であったことが2010年に「日本乳酸菌学会」にて発表されました。

また、同研究では、インフルエンザ感染後にフェカリス菌を投与した場合でも、生存率が大きく上昇することが確認されており、インフルエンザの予防や症状の改善に効果があることが判明しました。

2.整腸作用

乳酸菌の一種であるフェカリス菌には、もちろん整腸作用があります。

ヒトの腸内には、善玉菌・悪玉菌と、そのどちらでもなく強い方につく日和見菌が存在しており、これらの菌のバランスが取れている状態を「腸内環境が整っている」と表現します。

腸内に悪玉菌が増えると腸内で毒素が発生し、下痢や便秘、大腸ガンを引き起こすと言われています。

そのため、いかに善玉菌を増やすかが大切なのですが、実は生きた乳酸菌を摂取しても、そのまま腸内に住み着いて数を増やしていくことはほとんどないんです。

一方、フェカリス菌は善玉菌のエサとなり腸内に存在している善玉菌の増殖を助けます。善玉菌の数が増えると腸の活動も活発になって便秘が解消され、体内の老廃物や毒素がスムーズに排出されることにより免疫力向上や感染防御、発ガン抑制、アレルギー症状の改善などさまざまな効果を得ることができます。

3.アレルギー症状の緩和

フェカリス菌には、高い抗アレルギー効果があることがわかっています。ラットを使った実験では、抗ヒスタミン剤と同程度の効果が認められました。

「花粉症対策にはヨーグルトが良い」という話を聞いたことはありませんか?

これは乳酸菌の持つ免疫力向上効果や整腸効果によるアレルギー症状の緩和を期待したものですが、一度により大量に摂取できるフェカリス菌は、さらにその効果が顕著です。

最近の研究でも、フェカリス菌の死菌が入った200mlの乳酸菌飲料を毎日1本継続して飲み続けることで、くしゃみや鼻水、鼻づまりや目の痒みといった花粉症のアレルギー症状が改善することが確認されています。

死菌なのに便秘すっきり!「フェカリス菌」の6つの効果

 

4.コレステロール値の低下

必要以上に上昇すると動脈硬化や高血圧を引き起こす恐れがあるコレステロール値。

フェカリス菌には、このコレステロール値を低下させる効果もあります。

血中のコレステロール値が増加することで発症する高脂血症を患っている方に対して継続してフェカリス菌を投与したところ、平均で17%もコレステロール値が低下したという報告もあります。

5.高血圧予防

フェカリス菌は高血圧予防にも効果的です。

高血圧症の患者にフェカリス菌を投与する研究では、半数に症状の改善が見られました。

6.美肌効果

便秘は肌荒れの原因の一つですが、腸内に善玉菌が増えることで悪玉菌が増えるのを抑え、便秘を予防して美肌づくりに一役買ってくれます

より大量に摂取できるフェカリス菌は、ほかの乳酸菌よりも善玉菌の増殖に効果的です。

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フェカリス菌の摂取方法

フェカリス菌は、生菌より死菌の方が高い効果を得ることができるため、普通の食品ではなくサプリメントやフェカリス菌が配合された乳酸菌飲料やヨーグルト、健康補助食品からの摂取が効果的です。

ほかの乳酸菌より遥かに小さなフェカリス菌は、これらの食品を少量食べるだけでも十分な量を摂取することができます。

死菌なのに便秘すっきり!「フェカリス菌」の6つの効果

 

フェカリス菌の効果的な摂り方

フェカリス菌は、それを食べる生きた乳酸菌と一緒に摂ることで、より高い効果を得ることが期待できます。

また、善玉菌のほぼ100%を占めるビフィズス菌のエサになるオリゴ糖を一緒に摂ることで善玉菌の増殖をさらに促進することができます。

「乳酸菌は生きた状態で腸まで届けてこそ」という乳酸菌の常識を覆した「フェカリス菌」。

免疫力向上効果や整腸作用、アレルギー症状の緩和など様々な効果があり、死菌であるからこそ加工も保存も容易であるため、今後さらにフェカリス菌添加の食品も増えていくでしょう。

少量の添加食品でも大量のフェカリス菌を摂り入れることができるので、上手に取り入れていきたいですね。