耳管開放症という病気になる人が増えてきています。中には10年この病気と付き合っているという人もいます。日常生活にさして支障はないけれど、不快な耳の症状が続くというのが耳管開放症です。でも実はこの耳管開放症、放っておいて症状がひどくなるとなんと命に関わる病気だというから黙ってはいられませんよね。
そこで今回は、そんな耳管開放症について病気の基礎知識と原因や症状、家庭でできる治療法などを説明していきます。
耳管開放症とは
耳管開放症とは、普通なら閉じていなければならない鼻と中耳を結ぶ管が開いてしまうことによって様々な不快な症状を起こす病気です。女性に特に多く、片側の耳だけに症状がある場合と両耳に耳管開放症がある場合もあります。歌手の中島美嘉さんは、この両側耳管開放症のために歌手活動を一時お休みされていましたよね。
症状としては、短期間のみの不快感だけですぐに自然治癒してしまう場合もあれば、長期にわたって症状が長引く場合もあります。耳の症状だけでなく、めまいなども引き起こしますが、前かがみの姿勢になったり横になると治るということが多いのが特徴です。
原因はあるの?
では、耳管開放症はどんなことが原因で起こってしまうのでしょうか。実は明確な原因というのはまだ解明されていないのですが、症状を悪化させるキッカケになるようなことを4つご紹介します。
ダイエット
ダイエットにより、急激な体重の減少があった後に耳管開放症の症状が出やすいというデータがあります。女性に症状が多いのは、こうしたダイエットをするのはほとんどが女性だからということも関係しているのです。
ストレス
ストレスは万病の元とは言いますが、やはり耳管開放症も疲れやストレスを感じていると症状が悪化しやすくなります。疲れてくると耳が遠くなったり、自分の声が共鳴して聞こえるようになったりして違和感を覚えた場合は、もしかしたら耳管開放症の症状が出ているのかもしれません。
風邪症状の悪化
例えば風邪を引いてこじらせてしまい、副鼻腔炎などを併発した場合は中耳の管まで鼻水などが上がってきてしまうのです。だいたいの耳管開放症は、この風邪をこじらせたケースが多いのです。
妊娠がキッカケになることも
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化し、また精神状態が不安定になることが多々あります。こういったことが原因で、通常なら耳管開放症の症状を感じている人は20人に1人という計算なのですが、妊婦さんに至っては6人に1人と大幅に発症率が上がっています。
不快な症状
耳管開放症の症状は人によってばらつきがありますが、どれも不快で大きく日常生活に支障が出ることはないものの、やはり気になってしまうような症状がほとんどです。では順番に見ていきましょう。
自分の声の聞こえの違和感
自分の声がある場合は水の中にいるようなこもったような聞こえ方をしたり、ある場合は大きく共鳴するように響く聞こえ方をしたりと様々な自分の声の聞こえ方に違和感を覚える人が多いのです。
自分の呼吸音が強く聞こえる
通常、自分の鼻呼吸はよほど鼻息が荒くないと聞こえませんよね。これが耳管開放症になると自分の呼吸さえも耳障りになるくらい聞こえてしまうんです。これは鼻と中耳を結ぶ管が閉じていなければいけないところ、開いてしまっていることが原因です。
揺れるようなめまいが起こる
フワフワと浮いているような、足元がおぼつかなくなるようなめまいを引き起こすことも少なくありません。めまいを感じたら、横になるか前かがみにしゃがむとだいたいはすぐに良くなってきます。
キーンとした耳の痛み
飛行機や新幹線のトンネルに入ったときのような耳がキーンと痛い症状が出ることもあります。これは地味に痛いので、頻繁に起こると集中力も無くなりますし、困っている人も多い症状です。
自宅でできる治療法
不快な思いをする様々な症状を引き起こす耳管開放症ですが、少しでも症状を抑えるために自宅でできることはないのでしょうか。耳管開放症を緩和する4つの対策法をご紹介します。
水分補給をしっかりおこなう
意外と忙しくしていると忘れがちなこまめな水分補給は、耳管を閉じるのを促進する効果があります。飛行機などで耳が痛くなった時も、水分をとると治ることがありますよね。しっかり意識的に水分補給をしていきましょう。
耳の周りの血行を促進する
耳たぶをマッサージしたり、鼻の横から耳にかけてのラインをほぐしていくことで血行が良くなり、耳管開放症の自然治癒がしやすくなります。
横向きで寝る
症状が出た時はもちろんですが、普段から横向きで寝る癖をつけておくことで耳管を閉じやすくします。右左どちらが下でも大丈夫ですよ。
耳周辺を温める
先ほどの血行を良くする対策とかぶってしまいますが、やはり耳を温めることで耳管が閉じやすくなります。特に痛みがある時には積極的に温めるようにしましょう。
実は命に関わることも!
ここまで説明してきたら、なんとなく耳管開放症は嫌な症状が出るけれど重篤化はしないのかなと感じる人が多いですよね。しかし、実は耳管開放症になると耳垢が増えて大きくなるという特徴があります。その耳垢が耳の中で詰まって炎症を起こしてしまうことが稀にあるのです。
耳は脳に近い大切な部分ですから、この炎症が脳に行くと最悪命を落としてしまう危険性もあるんですよ!甘く見てはいけないということですね。
まとめ
意外と症状を抱えている人が多い耳管開放症についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?今は女性も男性並みに頑張っている人が多いので、それなりにストレスや疲れを感じやすくなっています。そのために耳管開放症の症状で辛い思いをしている人が増えているのです。
耳に何か嫌な症状が出てきたら、まずは耳鼻科を受診して診察をしてもらうことが大切です。症状が悪化しないように、自宅でできる対策も実践しながら改善していってくださいね。