最近何となく肌の色が黄色くなったような気がすると感じたことはありませんか？もしかしたら、特に甘いものが好きな方ほど現れやすい、「黄ぐすみ」という肌トラブルかもしれません。「黄ぐすみ」は単に肌が黄色くなるだけでなく、肌のハリや弾力を低下させ、美白コスメでも改善されません。
「黄ぐすみ」とは一体どんなものなのか、原因や改善方法についてご紹介します。
黄ぐすみの原因は糖化
「糖化」とは、「糖」とたんぱく質が結びついた「糖化たんぱく質」が、体内に蓄積されていく現象のことです。
小麦粉や砂糖、乳製品などを混ぜたパンケーキを焼くと、表面がこんがりときつね色になりますよね。これが糖化による反応です。肌の糖化とは、この反応が体内で起きているということなんです。
本来食事などで取り込まれた糖分は、エネルギー源として消費されていくはずですが、消費しきれなかった糖分が、体内にあるたんぱく質のコラーゲンやエラスチンと結びついて、老化を促進させてしまう物質である「糖化生成物」【AGEs】を作り出します。
この「糖化生成物」のやっかいなところは、一度できてしまうと分解されずに体内に蓄積され続けるという点です。
「糖化」が起きる原因
糖化の原因は大きく2つあります。
一つは「高血糖が続くこと」、もう一つは「体外からの糖化生成物【AGEs】の摂取」です。
高血糖が続くこと
血糖値とは、血液中に含まれる糖分（ブドウ糖）の量のことです。
糖分（ブドウ糖）は、人が生命活動を行っていく上で必要不可欠なエネルギー源です。
通常、食事として取り入れられた糖分の影響で血糖値が上昇し、時間の経過とともに糖分がエネルギーとして消費されると血糖値は下がっていきます。
でも、過剰に糖分を取り過ぎると血糖値が急激に上がり、身体が血糖値を下げるための処理が追いつかなくなってしまうんです。そして処理しきれなかった糖分が体内のたんぱく質と結びついて「糖化生成物」(AGEs)となってしまいます。
また、血糖値が下がり切っていないうちに「カフェでケーキセットを食べる」「スナック菓子をつまむ」「清涼飲料水を飲む」なんていうことをしてしまうと、そこからまた血糖値が上がって高血糖の状態が続き、糖化が促進されてしまいます。
体外からの糖化生成物(AGEs)の摂取
食品によっては、大量に糖化生成物(AGEs)が含まれているものがあります。
食材別にすると肉類が最も多く、次いで魚、野菜や果物にはあまり含まれていません。
また、調理法によっても糖化生成物(AGEs)の含有量は変わります。
調理法による糖化生成物(AGEs)の含有量は
茹でる・蒸す＜焼く＜揚げる
となっており、茹でる・蒸すなどの水を使った調理では糖化生成物(AGEs)の量が抑えられますが、高温調理になればなるほど糖化生成物(AGEs)が増え、食材と調理法によっては含有量が茹でる・蒸す調理の10倍以上にもなってしまいます。
また、電子レンジでの温め直しでも糖化生成物(AGEs)は上昇すると言われています。
「糖化」の肌への影響
糖化がもたらす肌への影響を一言で表すと「老化」です。
糖化により肌のハリや弾力を生み出し、新陳代謝にも影響を与えるコラーゲンやエラスチンが破壊されることで、
・シワ、たるみが増える
・肌にハリや弾力がなくなる
・肌に柔らかさがなくなる
・肌全体が黄色くくすんで見える（黄ぐすみ）
・肌がごわつき乾燥する
といった老化現象が引き起こされてしまいます。
黄ぐすみ改善方法
一度焼いたパンケーキを、また元のタネの色に戻すことは難しいですよね。それと同じで、一度できた「糖化生成物」【AGEs】を完全に消すことは難しいとされています。
残念ながら、現在「糖化」を完全に解消する方法はありませんが、「糖化」を改善して症状を和らげることなら不可能ではありません。
スキンケア、食生活、生活習慣の3つの面から、「糖化」の改善を目指しましょう。
スキンケア
化粧品は、「糖化生成物」(AGEs)を予防する成分が含まれたものを選びましょう。
たとえばブルーベリーエキスは抗糖化成分として注目されていますし、ビタミンA、Eが含まれているもの、イチョウの葉やドクダミなどの植物エキスも効果があるとされています。
また、保湿ケア、美白ケアにも力を入れ、洗顔やスキンケアの際にはゴシゴシとこすらずに肌を優しくいたわるようにケアしましょう。
紫外線にあたって肌が炎症を起こすことでも糖化が起こってしまいますので、紫外線対策は一年中しておきましょう。
食生活
血糖値を急激に上げないことを意識しましょう。血糖値が上昇するスピードは「GI」という単位で表されており、「低GI値」の食べ物を選ぶことが重要です。低GI値食品としては、食物繊維の豊富な葉野菜や豆腐、納豆、炭水化物では玄米や全粒粉など精白されていないものが上げられます。逆に高GI値なのが、白米やパン、うどん、パスタなどの精白された炭水化物や揚げ物、甘いスイーツ類です。
低GI値の食品を選ぶとともに、食事の順番も汁物→野菜→肉などのたんぱく質→炭水化物という順番にすることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。また、火を使って調理する際には、サラダ油よりも酸化しにくいオリーブオイルやココナッツオイルを使用するのがベターです。ドレッシングなどで加熱せずに食べるのであれば、亜麻仁油やえごま油がおすすめです。
生活習慣
適度な運動と質の高い睡眠で、基礎代謝を上げる生活を心掛けましょう。
軽い運動やストレッチを行って身体を動かしたり、定期的にウォーキングなどの有酸素運動を行って体内の血流を良くすることは、血液中の老廃物や不要な糖分の排出を促進します。
運動を続けることで筋肉量が増えていくと、基礎代謝が上がって何もしていなくてもエネルギーを消費できる身体になっていきます。
入浴の際には必ず湯船に浸かったり、マッサージをするなどもおすすめです。
睡眠不足が続くと、新陳代謝を促す成長ホルモンが不足して糖化が促進されてしまいますので、最低でも6時間は質の高い睡眠を取るように心掛けましょう。
「糖化」は肌を黄色くくすませるだけでなく、様々な老化現象を引き起こしてしまいます。スキンケアはもちろん、食生活や運動・睡眠といった生活習慣も整え、症状の改善を目指しましょう。
