離婚のハードルが昔よりも低くなったとはいえ、子供のいる家庭では「子供のために」と離婚をしない夫婦が多いのが現状です。しかしその「子供のため」が逆に子供に悪影響を与えてしまっているかもしれません。またそのつもりではなかったのに、いつの間にか仮面夫婦になってしまっていることも。仮面夫婦の特徴と、夫婦を続けることによって周りに与える影響などをご紹介します。
仮面夫婦の特徴とは?
仮面夫婦とは、夫婦両方が仮面をかぶり関係を続けいてるものもあれば、片方だけがそうしているものもあり、そのどちらにも共通した特徴が存在します。
お互い、また相手に関心が持てない
相手がいつ帰ってくるのか、またどこに行っていたのか、お互いに関心があれば気になることがどうでもよくなってしまうのは、仮面夫婦の始まりです。相手に関心がないので、相手が早く寝てしまったり、出掛けてくれると顔を合わせずに済むと考えるようになります。
会話は事務的、必要最低限
お互いに興味や関心をなくしている仮面夫婦は、会話も少なくなっていきます。必要最低限の会話しかせず、話す内容も事務的なやりとりに終始します。しかし夫婦以外の誰かがいるときには、その人を交えて会話をしているので、傍目からはやりとりの不自然さが分かりません。
社会的地位がある
職業柄、また会社での地位が高い人の場合、周りに対して自分たちのイメージが崩れることを嫌い、表面的にはうまくやり過ごそうとするため仮面夫婦となる傾向にあります。世間体を気にする、周りにいいイメージで見られたい、と考えている人も仮面をかぶってよい夫婦を演じようとします。
経済的に自立できない
専業主婦などで、離婚すると自立できない、また経済的にも生活ができない場合は、仮面をかぶって今の現状を維持した方が楽だと考えてしまいます。また子供がいる場合は、かかる学費のことを考えると夫婦でいた方が負担がかからないと考えます。
仮面夫婦でも離婚しない理由
夫婦仲が冷え切り、お互いにいてもいなくても同じような関係になってしまっても仮面夫婦を演じ続ける夫婦には、離婚しない理由があります。その理由があるからこそ、仮面をかぶり、よい夫婦を演じようとしているのです。
子供のため
夫婦仲が冷えていく理由の一つに、子供ができて夫の優先順位が下がることが上げられます。またお互いに子供好きの場合、互いに関心がなくても子供には愛情を注ぐといった形になり、夫婦仲が冷え切っていても、「子供には親がそろっていないと」と考えるため、よい夫婦を演じようとします。
安定した収入があるから
離婚をすると、子供の養育費や生活費が重くなります。専業主婦の場合、離婚してから安定した仕事を探すのも難しいため、現状で我慢してやり過ごすことを選ぼうとします。また経済的に安定しているからこそ、その生活を変えたくないという気持ちが強いことも理由の一つです。
離婚は面倒
離婚は結婚するときの3倍の手間と精神的な負担がかかると言われるほど、なかなかすんなりとはできないことがほとんどです。お互いに同意があったとしても、親権の問題や財産分与の問題などもありますし、同意が得られなかった場合は裁判で争うことにもなるため、時間もかかります。
離婚に関わる身体的、精神的負担を考えると、仮面夫婦のままの方が楽だと考えてしまいます。
体面、プライドがあるから
プライドが高い人や、周りからの評価を気にする人は、離婚というマイナスイメージが自分につくことを考え、それを避けようとします。さらに会社で地位があったり、また職業柄夫婦円満をアピールすることが必要である場合は、その傾向が強くなります。
我が子への悪影響は?
仮面をかぶり、よい夫婦を演じていても、夫婦間に愛情や興味がない場合、そのことが表情や言葉に表れ一緒に住んでいる子供にも影響を与えます。
1.人間関係がうまく築けなくなる
仮面夫婦は必要最低限の会話しか交わさず、またお互いにも無関心です。そういった両親の姿を見て育つと、子供は学校でもうまく人間関係を築くことができず、人とどう向き合えばいいのか分からずトラブルを起こすようになります。
2.安らげず、元気がなくなる
安らげるはずの家が冷え切っていて、自分が安らぐより先に両親に気を遣いながら過ごさなければならない環境は、子供にとって辛いだけでなく、自分の気持ちを吐き出すこともできなくなるため、元気がなくなっていきます。
3.人の顔色をうかがうようになる
両親の顔色や機嫌をうかがい、2人が喧嘩をしないよう気を遣うようになるため、外で人と接するときにも顔色をうかがうようになります。内気になり、人と目を合わして話すことも上手にできなくなります。
4.自信がなくなる
両親の不仲は自分が原因なのではと思い、自分を肯定することができないため、自分を表現することもできません。ありのままの自分を出さないようにするため、何をやっても自信が持てないようになっていきます。
5.キレやすい子供になる
人間関係がうまく築けないだけでなく、どう人に接すればいいのか分からないため、言葉ではなく怒りや憤りを暴力という形で表現することがあります。また夫婦が罵り合って喧嘩しているところを見て育つと、子供も同じように暴力を振るうようになります。
仮面夫婦のままでいるべき?それとも離婚を考えるべき?
経済的な問題、また子供の将来のことを考えると、我慢をしてでも今の生活を維持した方がいいと考えるかもしれません。
しかし子供には気づかれていないと思っていても、子供は夫婦の間に流れる空気を敏感に感じ取ります。それが原因で将来にわたって精神的に苦しむ人もいます。
もし夫婦での生活に限界を感じる場合、パートナーが浮気をしているなど、修復が不可能であれば離婚という手段を考えるのも一つの方法です。しかし子供のためというのであれば、夫婦がお互いに歩み寄り、仮面を外してしっかりと話し合うことも大切です。