実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

おたふく風邪というと、子どものかかる病気と思っていませんか?

確かに子どもの患者さんが多いのですが、実は大人も感染する病気なんです。

しかも、大人になってからおたふく風邪にかかると、子どもより合併症を引き起こして重篤化してしまうリスクが高いんです。

今回は、子どものものとは違うおたふく風邪の症状や治療法・予防法など、大人のおたふく風邪について詳しくご紹介します。

広告

 

おたふく風邪とは

おたふく風邪は正式名称を「流行性耳下腺炎(ムンプス)といい、ムンプスウイルスの感染症によって発症する流行性の耳下腺炎です。

一般的な風邪と同じく、咳やくしゃみで飛び散った飛沫や、ウイルスが付いたものに接触することで感染します。

潜伏期間は2~3週間で、発症すると耳の下や顎の下の部分に炎症が起こって腫れ、熱や痛みを伴います

通常1~2週間で症状が軽くなります。

実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

子どもと大人の症状の違い

大人になってからおたふく風邪にかかった場合、症状が非常に重く、治りにくい傾向があります。

耳の下や顎の下が腫れ、発熱するのは子どもと同じですが、40度近い高熱が長く続いたり、以下のような恐ろしい合併症を引き起こすことも少なくないんです。

何日も高熱が続いたり、激しい頭痛や腹痛、嘔吐などの症状が見られる場合は合併症を起こしている恐れがあり、命にかかわる危険がありますので、救急車を呼んででもすぐに病院を受診しましょう。

髄膜炎

大人のおたふく風邪患者の約10%の方に引き起こります。
髄膜炎の疑いのある症状としては、1日に3回以上嘔吐したり、激しい頭痛に見舞われるといったものがあります。

脳炎

約0.2%という低確率ではありますが、「脳炎」になってしまうケースもあります。
髄膜炎の症状に加えて、意識障害けいれんなどの症状が見られます。

実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

膵炎

発熱と激しい腹痛、胃痛、嘔吐などの症状が見られ、稀にショック症状を起こす方もおられます。
症状が悪化すると、腹膜炎を引き起こす恐れもあります。

卵巣炎

女性の約7%に発症する合併症が「卵巣炎」です。
下腹部などが激しく痛み40度近い高熱が出た場合は卵巣炎が疑われます。

また、妊娠中におたふく風邪に感染した場合、低体重児出産や流産の危険性があります。

耳下腺炎性睾丸炎(精巣炎・精巣上体炎)

男性の実に20~35%という高い確率で引き起こる合併症です。男性がおたふく風邪にかかってしまった場合、まずこの合併症の恐れを考えなければいけません。

発熱に加え、陰嚢部が3~5倍の大きさに腫れたり、疼痛などの症状が現れます。
睾丸炎は片方の睾丸に現れることが多いのですが、左右両方の睾丸で睾丸炎が発症すると、最悪の場合「無精子症」になってしまう恐れもあります。

広告

 

おたふく風邪の治療方法

残念ながら、おたふく風邪には特効薬はなく、対症療法しかありません。

基本的には安静に努め、抗生物質で症状の緩和を行ったり、沈痛解熱剤で発熱を押さえるといった治療が行われます。

他人に感染する恐れがあるため、症状が治まり医師が感染の恐れがないと判断するまでは外出禁止となります。会社や学校へ行くこともできません。

実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

大人のおたふく風邪の予防方法

子どものうちにおたふく風邪にかかっていると、免疫ができるので大人になってから再度おたふく風邪にかかることはほとんどありません。

子どもの頃におたふく風邪にかからなかった人は、予防接種を受けることがもっとも安全で効果的な予防法です。

予防接種としては「おたふく風邪(生)ワクチン」、「乾燥弱毒性おたふく風邪ワクチン」といったワクチンがあり、一回の接種でおたふく風邪にかかる可能性は生涯を通してほぼなくなります。費用は概ね1回3,000~7,000円です。

毒性を弱めたムンプスウイルスを使用したワクチンなので、副反応として稀に耳の下が少し腫れたり、極稀(数千人に1人の割合)に髄膜炎が生じることがあります。

実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

予防接種を受けたかどうかわからない場合は

ムンプスウィルスの抗体を持っているかどうかは血液検査で調べることができます。

保険も適応されますので、子供の頃におたふく風邪にかかった記憶がない、予防接種を受けたかどうかも忘れてしまったという人は、一度検査を受けてみましょう。

実は大人もかかっちゃう!おたふく風邪の症状には要注意

 

予防接種を受ける際の注意点

予防接種は、おたふく風邪が流行していない時期に行いましょう。

予防接種をしてから免疫がつくられるまでは、およそ1ヶ月かかるそうです。

もしおたふく風邪の潜伏期間中に、感染を知らずに予防接種を受けた場合、既に体内で増殖しているムンプスウイルスをさらに追加してしまうことになり、副反応が出やすくなってしまいます。

そういったトラブルを避けるためにも、おたふく風邪が流行していない時期のできるだけ早い段階で予防接種を受けるようにしましょう。

大人も感染し、子どもよりも症状が重く重篤な合併症を引き起こす恐れのあるおたふく風邪。

特効薬もなく対処療法しか治療法がありませんが、予防接種で簡単に予防することができます。

おたふく風邪は3年の周期で大流行すると言われており、特に最近は季節に関係なく流行する傾向があります。

おたふく風邪にかかった覚えのない方は、ぜひ予防接種を受けて感染の恐れをなくしておきましょう。