妊娠中によく見られる症状が貧血です。自分では気づかずに貧血になっている場合は、治療が遅れてしまう可能性もあるので注意が必要です。妊娠中の貧血の症状やその原因、改善方法を探ってみましょう。
妊娠中に貧血が起こる原因と症状
まずは妊娠中に起こる貧血の原因と症状を知って、対策しておくことが大切です。後で辛い思いをしたり後悔しないためにしっかり覚えておきましょう。
妊娠中に起こる貧血の原因とは
お腹の赤ちゃんに栄養を送るために多くの血液が必要になるので、必然的に貧血の状態になってしまいます。その他につわりなどで食事が摂れないことによる鉄分不足も原因と考えられます。
また母体は妊娠中、出産の準備を始めています。そのため出産するときの多量の出血に備えて血漿を増加させますが、赤血球はそれほど増えず血が薄い状態になり、貧血の症状が起きると考えられています。
気になる貧血の症状
めまい・立ちくらみ
貧血と感じられる症状で最も多いのがめまいや立ちくらみです。血の気が引いて青白い顔をしています。妊娠中にこの症状がおきると、倒れてケガをする可能性もあるので母体への影響が懸念されます。
身体がだるい
妊娠中は身重なのでただでさえ疲れやすいのですが、しっかり休んでも身体がだるい、疲れているといった状態が続く場合は貧血が原因かもしれません。
イライラしたり頭がぼーっとする
心穏やかにお腹の赤ちゃんとともに過ごしたい妊娠期間ですが、なぜかイライラしてしまったり、日中頭がぼーっとして何も考えられなかったりした場合も、貧血が原因かもしれません。
動悸や息切れがする
動悸がしたり、少し歩いただけで息切れが頻繁にするときは要注意です。妊娠中は体力を使うので、妊娠前のように動くことはできませんが、度々動悸や息切れがする場合は貧血を疑ってみましょう。
妊娠後期・臨月に多い
妊娠後期、臨月では赤ちゃん誕生間近なので、赤ちゃんが大きくなり、より多くの血液を必要とします。貧血対策をせずそのままにしておくと、赤ちゃんの成長に追いつかず血液不足となって辛い貧血を引き起こしかねないので、妊娠中期あたりからしっかり貧血対策をしておくことが大切です。
貧血による胎児への影響
低体重児が生まれるリスク
妊娠中期以降は安定期のため、赤ちゃんへの影響もあまりないと考えられがちですが、貧血がひどい場合は低体重児が生まれるリスクが高いと言われています。安定期であっても過信してはいけません。
ふらつきや倒れることによるリスク
貧血でふらついたり倒れたりすると、自分自身がケガをするだけでなくお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼします。また貧血状態が続くと寝込みがちになりますが、運動不足により足腰が弱まるので、余計に倒れるリスクが高まるので危険です。
出産時のリスク
貧血状態で出産をむかえると、出産時に血圧が下がりやすくなるため出血量が増える可能性があります。多量の出血により意識がなくなったりすることも考えられ、赤ちゃんへの影響が心配されます。
鉄分不足にならないためのポイント
妊娠中、特に中期以降に貧血になることは、母体にも赤ちゃんにも良い影響を与えません。貧血を防ぐために鉄分不足にならないためのポイントをおさえておきましょう。
1.ヘム鉄と非ヘム鉄の食品を多く摂る
貧血を改善するには、食生活の見直しが先決。鉄分不足解消には、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方を摂りいれましょう。赤身の肉やレバー、マグロやイワシなど、肉や魚にはヘム鉄が多く含まれ、納豆、乾燥ひじき、油あげ、小松菜、ほうれん草などの野菜や海草には非ヘム鉄が多く含まれているので、それぞれバランスよく摂ることで吸収率が高まり、効率的に鉄分を補給することができます。
ただしレバーには鉄分以外にビタミンAが多く含まれていて、食べ過ぎると赤ちゃんへの影響が心配されるので、くれぐれも食べ過ぎには注意してください。
2.ビタミンCで鉄分吸収率アップ
鉄分をより吸収するためには肉や魚などのたんぱく質の他、ビタミンCも効果的と言われています。おやつや食後にはビタミンCをたっぷり含んだフルーツを食べたり、おかずの付け合せにプラスしたり工夫してみましょう。
3.妊娠中に必須の葉酸を摂る
妊娠中、特に初期に摂取するよう厚生労働省が推奨している葉酸は、退治の奇形のリスクを減少させる効果があると言われている上に、妊娠中におこる赤血球濃度の低下改善、ひどい貧血を防ぐ効果もあります。大豆製品やブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草などに葉酸が多く含まれているので意識して食べるようにしてください。
4.タンニンの摂り過ぎに注意
紅茶や緑茶などに含まれるタンニンには、鉄分が体内に吸収されるのを妨げる作用があるので、飲み過ぎには注意が必要です。食事から鉄分をしっかり補給していても、タンニンにより吸収が妨げられていては意味がありません。できるだけ食前と食後の30分間は飲まないようにしてください。
5.薬やサプリメントで鉄分補給
病院で処方される薬やサプリメントで鉄分を補給することもできます。つわりなどにより食事で十分に鉄分を摂りいれることができない場合に役立ちます。ただし市販のサプリメントには他の成分が多く含まれていることもあるので、服用前には必ず医師に相談の上使うようにしてください。
産後も油断せずしっかり鉄分補給を
貧血が母体や赤ちゃんに影響を与えるのは妊娠中だけではありません。産後も貧血状態が続くと母乳の出が悪くなったり、子宮の回復が遅くなることがあるので、産後も鉄分をしっかり吸収しながら貧血を予防するよう心がけてください。
女性に多い貧血は、妊娠すると特に悪化する傾向があります。妊娠中の期間を元気に過ごすためにも、健康な赤ちゃんを産むためにも、貧血の症状が出る前にしっかり予防しておきましょう。万が一貧血かな?と思ったら過信せず早めに対応することが肝心です。