突然激しい腹痛が起き、嘔吐や下痢を繰り返すノロウイルスは、給食などによって集団感染することもあり、人から人へもうつるだけでなく、一度なっても繰り返し感染してしまいます。子供やお年寄りがかかると、脱水症状を起こしてしまう怖いノロウイルスとはどんな病気なのか、詳しくみていきましょう。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、胃腸炎を引き起こすウイルスで、秋から春にかけて感染がピークとなりますが、1年中かかる可能性のあるウイルスです。胃腸炎や食中毒の原因となることが知られており、手指や食品からウイルスが体に入り、人の腸管内で増殖します。

ノロウイルスは、人間の腸管で増殖することから人為的な培養ができず、ワクチンなどがありません。そのため体力のない子供やお年寄りは重症化することも多く、さらに感染力が強いため学校などで集団感染を引き起こすこともあります。

さらに熱やアルコールに強く、消毒してもウイルスが死なないといったことに加え、嘔吐したものや便が取りきれずに残ると、乾燥して空気中に舞い上がるため、それによって空気感染してしまうこともあり注意が必要なウイルスです。

ノロウイルスの症状

ノロウイルスによる胃腸炎が発見されるまでは、ノロウイルスによる症状は胃腸風邪やインフルエンザと間違われていたこともあり、その症状もよく似ています。また潜伏期間が12時間から24時間ほどあり、感染してから1〜2日後に突然症状が起きます。

1.嘔吐

突然吐き気が襲い、嘔吐します。突発的な症状であるため、トイレや洗面所に辿り着く間もなく、その場で吐いてしまい、服や床に吐いたものから感染が拡大します。子供やお年寄りの場合、自分で吐いたものでのどを詰まらせることもあります。

2.下痢

嘔吐と共に多く現れる症状が下痢です。大人は嘔吐よりも下痢をすることが多く、こちらも突然症状が起こります。水のような下痢が止まらず、何度もトイレに行くことになります。下痢の便にもウイルスが潜伏しているため、かかった人が使ったトイレを掃除する、また使用することでも感染します。

3.微熱

インフルエンザのように高熱が出るわけではありませんが、38度以下の微熱が続きます。寒気もあるため風邪による症状と間違われることもあります。

4.腹痛

胃に痙攣が起きるため、刺すような痛みが起こります。腹痛と共に吐き気を伴います。

5.頭痛などの体の痛み

激しい頭痛や筋肉の痛み、のどの痛みなどが起こります。軽度の場合は風邪のように熱やのどの痛みだけで済むこともあるのですが、便の中にはウイルスが含まれているため、特に一緒に住んでいる家族には感染する可能性があります。

特徴的な症状は嘔吐と下痢ですが、何度も繰り返すだけでなく水分も大量に排出してしまうため、脱水症状が起こりやすく、重症になると命にも関わり危険です。

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感染経路

ノロウイルスが感染する経路には、大きく分けて3つあります。

1.生牡蠣や貝類の摂取によるもの

牡蠣や貝類は、海中のプランクトンをエサにしていますが、同時に細菌やウイルスも取り込んでしまいます。ほとんどのものは加熱で死滅しますが、ノロウイルスは熱に強く、十分な加熱ができていないと生き残ってしまい、食事によって取り込まれて感染します。

2.ノロウイルス感染者による食品の汚染

ノロウイルスに感染した人が、十分な手洗いをしないまま調理をおこなった場合、食品が汚染されてしまい、それを食べた人に感染します。

3.ノロウイルス感染者の便、吐瀉物

ノロウイルスに感染した人の便や吐いたものを正しく処理しないと、ウイルスが空気中に舞い上がり感染してしまいます。

感染には、汚染されたものに接触する接触感染、また吐いたものの飛沫を吸い込む飛沫感染、空気中に舞い上がったウイルスを吸い込む空気感染があり、人から人へ感染する可能性は、貝類を摂取することによる感染の3倍以上の確率だとされています。感染しないように予防することに加え、感染した場合の対処方法で、ノロウイルスの感染拡大を防ぐことが必要なのです。

ノロウイルスに感染した時の対策

ノロウイルスの症状はいつまで続くのでしょうか?

ノロウイルスの症状は、1日から2日程度で落ち着きます。

ですが、ウイルスを死滅させることはできませんので、早めに病院で治療を受けましょう。また感染を広げないために、周りの家族はウイルス除去をおこなう必要があります。

1.手洗いとうがいをする

感染した人も、周りの人もこまめに手洗いとうがいをするようにします。

2.吐いたものや便は乾かないうちに処理する

汚れた服、シーツは汚物を取り除いてから水洗いし、消毒をおこないます。塩素系漂白剤を使い、乾燥機で乾かすといいでしょう。乾燥機がない場合は、アイロンのスチームや、布団乾燥機を使います。

3.処理する人以外は近づかない

空気感染する可能性もありますので、処理する人もマスクと使い捨ての手袋をし、エプロン、足カバーをします。十分な換気をおこない、床だけでなく壁もきれいにしましょう。

4.感染者が使用したトイレやお風呂の除菌

ノロウイルスに対する除菌ができるスプレーがありますので、感染者が使用したトイレはその都度除菌しましょう。入浴はしない方がいいのですが、する場合は感染者が最後に入り、入浴後に除菌します。

共用で触れることの多い、手すりや蛇口、ドアノブの除菌も必要です。

ノロウイルスの予防方法

ノロウイルスは冬に流行しますので、感染しないよう普段から注意して予防することも必要です。

1.帰宅したらうがいと手洗いをする

うがいや手洗いによって、外から持ち込んだウイルスを除去します。

2.食品は加熱する

食品はしっかり加熱して、生焼けのものや生煮えのものは食べないようにしましょう。85度で1分以上の加熱をすることで、ウイルスを死滅させることができます。

3.調理器具の殺菌をまめにおこなう

包丁やまな板は使う度に殺菌するようにします。また食品に触れる場合には、手洗いと手の殺菌もきちんとおこなうようにしましょう。

かかってしまうと辛いノロウイルス。人から人への感染力が強いため、まずはかからないことを心掛けましょう。