寒い時期になると流行するノロウイルスは感染力が強く、しっかりとした予防が大切です。流行のピークは冬場ですが、1年中ウイルスはあって、乳幼児や高齢者は1年を通して注意しなければなりません。そこで今回はノロウイルス感染の予防法をご紹介いたします。
ノロウイルスとは?
乳幼児がいるご家庭では、子供から家族全員に感染が広がって大変だったという経験がある方もいるのではないでしょうか?ノロウイルスは感染力が強く、10個〜100個という少量でも感染し発症してしまいます。
ウイルスが体内に入り込むと、小腸の上皮細胞でものすごい勢いで増殖し、腹痛や下痢、嘔吐、発熱といった急性胃腸炎の症状をもたらします。ウイルスの潜伏期間は12時間〜48時間と短く、突然の強い吐き気や嘔吐に襲われます。
発熱自体は37度台と軽度で、胃腸の症状の方が強いのが特徴です。
辛い症状は成人なら1日〜2日程度で治まるものの、その後数日はお腹が緩かったり、軽い吐き気が続くこともあります。
また、感染したからといって必ず発症するわけではなく、発症しなくてもウイルスには感染していますから、便にウイルスが混じっています。そのため自覚症状がないまま感染源となることがあります。
ノロウイルスは1度感染したからといって抗体ができて2度とかからないというものではありません。そのため1年に2度3度とノロウイルスに感染する場合も。これはノロウイルスには30種類以上の遺伝子型があって、抗原性が異なるためです。
感染経路
ノロウイルスの感染源のひとつは牡蠣などの二枚貝です。そのため牡蠣などの二枚貝を生で食べる季節に流行すると考えられています。
ノロウイルスの感染経路は、食品からの感染と人からの感染の2種類です。人からの感染は、感染した人の汚物や吐瀉物からになります。これらが乾燥すると中に含まれるウイルスが空気中に浮遊し、それを吸い込むことで感染します。もちろん、それらを触った手の消毒が不十分でも感染してしまうのです。
治療する薬はなく、病院を受診すれば整腸剤は処方してもらえますが即効性はありません。嘔吐や下痢で水分が失われてしまうので、脱水症状を防ぐためにしっかりと水分補給しましょう。
水分補給は1度にたくさん飲むと、嘔吐してしまうことがあるので、少量ずつ飲みましょう。また下痢を引き起こす乳製品や柑橘系のものは避けましょう。乳幼児など水分がしっかり摂れない場合は点滴治療が必要となります。
ノロウイルスの予防法
強い吐き気や嘔吐、下痢の症状が出るノロウイルス。1日〜2日で回復するとはいえ、かなり辛い症状なので、できるだけ感染しないのがベストです。とはいえアルコール消毒は効果がありません。効果のある予防法をご紹介いたします。
手洗い
ノロウイルスを予防するのにもっとも大切なのは手洗いです。ノロウイルスの感染経路は、飛沫感染か経口感染です。ですから日ごろからしっかりと手洗いすることはもっとも効果的な予防法です。手洗いは二次感染を予防するうえでも大切です。
加熱する
牡蠣などの二枚貝に含まれているため、しっかり加熱して食べることでウイルス感染を予防できます。ノロウイルスは熱に弱いので加熱処理をして感染を予防しましょう。中心部までしっかり火を通すことが大切です。
タオルの共有はしない
ノロウイルスの感染予防に手洗いはもっとも有効ですが、手洗いが不十分だと手を拭いたタオルにウイルスが付着してしまうこともあります。そのタオルを他の人が使うことで感染の可能性も。タオルは共有しないようにするか、ペーパータオルがおすすめです。
調理器具は消毒する
ノロウイルスが含まれているものもある魚介類を調理したときには、しっかり洗って消毒しましょう。まな板や包丁はこまめに洗い、熱湯などでしっかり消毒することが大切です。
ノロウイルスの二次感染の予防法
二次感染を防がないと、家族全員ノロウイルスでダウンしてしまうことになります。
家庭で二次感染しやすいのがトイレです。
トイレを使った後は、蓋を閉めて流すことが大切です。トイレで嘔吐や下痢をしたあとにトイレを流すとき、蓋を開けたまま流すと水の勢いで水しぶきが便器から出てしまうことになります。しぶきが乾燥するとウイルスが舞い上がって二次感染を引き起こす可能性があるからです。
また感染者が調理をしないことも大切です。感染者の手にはウイルスが付着している可能性があり、その手で調理をすると、お皿やコップなどの食器や食べ物にも付着することになります。せっかく感染予防のために食材を加熱しても効果がありません。
ノロウイルスに効果がある消毒法
インフルエンザウイルスにはアルコール消毒は有効ですが、ノロウイルスには効果がありません。効果があるのは、塩素系の消毒です。台所用の漂白剤が効果的です。
感染者の衣類を洗うときは、別に洗うことも大切です。
まず、感染者の衣類を台所用の漂白剤で消毒します。そのあとに洗濯機で感染者の衣類のみを洗濯しましょう。台所用の漂白剤を使うと衣類の色や柄が落ちてしまうことがあります。また長時間の漂白は生地そのものを傷めてしまうので、あまり長時間にならないようにしましょう。ゴム手袋で手を保護しましょう。
強い急性胃腸炎の症状が出てしまう辛い感染症のため、感染しないようにしっかりと予防することが大切です。乳幼児がいるご家庭は特に予防に力を入れましょう。