ノコギリヤシというフレーズは男性なら聞いた事がありますね。アメリカにいたインディアンたちが薬として活用していたヤシ科の植物です。今でも脈々と受け継がれているノコギリヤシの効果について調べてみましたのでお付き合いください。
「ノコギリヤシ」とは?
ヤシ科の一種で高さは1メートルほどの植物です。葉っぱに特徴があり楓のように広がって付いていて葉の一枚一枚が尖っています。広葉樹の下や松林の下、砂浜などに生えていて群生してることが多い。葉に棘があるので素手で触るとケガをすることもあります。
ノコギリヤシはアメリカ大陸固有種であり北はアメリカから西はメキシコまでに生えている植物で昔から原住民の間で薬草として活用されていました。薬草として使う部分は主に果実の部分で泌尿器系の不調を改善する薬草として使われていました。ヨーロッパ諸国でも同様な症状に使われていて民間薬として昔から親しまれています。
ノコギリヤシは日本でも栽培は可能で、関東から西地域であれば栽培できます。寒さにも強いのでお庭のシンボルツリーとしてもいいですね。しかし、寿命が長く成長も遅いので果実が実るまでは何十年もかかる可能性があります。果実を摂る為の栽培には適さないでしょう。
ノコギリヤシが何故有名になったのか?
ノコギリヤシが有名になった経緯をご紹介しましょう。
1990年フランスの博士シャンポール氏がノコギリヤシに前立腺肥大症に効果がある成分が含まれていると発表したのが始まりです。
そもそも先住民の間では民間薬だったノコギリヤシは炎症を抑えたり、泌尿器の不調を緩和してくれることで有名でした。ノコギリヤシという植物に馴染みがあるのでほかの効果が期待できると聞いてみんな納得して流行していきます。ヨーロッパ諸国やドイツなどでは泌尿器科で活用しより広まっていきました。元は泌尿器系での活用だったのが副産物として前立腺肥大にも効果があるとわかったのです。
ノコギリヤシに育毛効果は期待できる?
前立腺肥大症の改善に効果があるとわかったノコギリヤシが育毛効果があると噂されるようになったのはどういったことなのでしょう。前立腺肥大症という病気のメカニズムから説明していきましょう。
ノコギリヤシと前立腺肥大症との関係
前立腺が尿道を圧迫して排尿の妨げになる病気で残尿感や頻尿といった症状がでるのです。医学的に詳しくわかっていない前立腺肥大症ですが、男性ホルモンが関連していることが考えられます。この病気の発症件数は50歳代から急激に上昇し高齢になればなるほど発症しやすく80歳代では90%近くおられます。男性ホルモンのバランスが崩れることからこの病気を発症するのではないかと考えています。
男性ホルモンのテストステロンが酵素の一種と結合するとジヒドロテストステロンという成分が体の中でできます。結合してできた成分が前立腺を肥大させていくことが解っています。
ノコギリヤシの成分の中にβシトステロールがあります。この成分は酵素を抑える働きがあることが解りました。男性ホルモンを操作するのではなく酵素を抑えてジヒドロテストステロンを作らせないようにできるのがβシトステロールの成分なのです。
抜け毛や薄毛との関係
前立腺肥大症では男性ホルモンが酵素と結合してしまうため前立腺肥大という症状になることをお伝えしてきました。薄毛や抜け毛といったこととどのように関係するのか疑問に思う方もおられるでしょう。一見バラバラな症状も実は同じ成分が関係しているのです。
男性ホルモンにはテストステロンというホルモンがありこのホルモンの主な仕事は「男性が男性らしい体つき」に大いに関係しています。筋肉を大きくさせたい人はこのテストステロンを味方につければ効率よく筋肉をつけることができるのです。
とても大事なホルモンですが過剰になりすぎると困ったことになります。酵素の一種αリダクターゼは皮脂線か毛乳頭に存在しています。皮脂が多い方は皮脂腺にリダクターゼが多く、体毛が濃い人は毛乳頭に多くのリダクターゼを持っているということになります。リダクターゼ酵素は男性ホルモンのテストステロンと仲良くなりより強い男性ホルモンのジヒドロテストステロンという成分に変わるのです。強力な男性ホルモンは髪との相性があまり良くなく抜け毛や薄毛を引き起こす原因になるのです。
男性ホルモンのテストステロンより強力なジヒドロテストステロンは前立腺と毛根に強く影響するホルモンということなのです。
ノコギリヤシの効果
ジヒドロテストステロンというホルモンが抜け毛や前立腺肥大を起こしているということが解りました。男性ホルモンを操作することはできませんが、αリダクターゼ酵素を抑えることはできます。βシトステロール成分で強い男性ホルモンをたくさん作らせないことです。
ノコギリヤシの成分βシトステロールの力を借りて強いホルモンを作らせない、と理論上はこの方程式で育毛するはずなのですが実際のところ効果は未知数なのです。前立腺肥大症には効果があると研究結果があり実際医療として存在していますが、育毛分野においては研究がなされていないというのが現状なのです。
実際育毛したという話もありますが、同じくらい育毛を実感できなかったというコメントも存在しています。育毛においてのノコギリヤシは医薬品扱いではなくサプリメントどまりの扱いです。
理屈上、薄毛や抜け毛の原因は強力なホルモンのジヒドロテストステロンということは確実なのですが、育毛=ノコギリヤシという方程式はありません。しかし、ノコギリヤシの成分は間違いではないので即効性がないだけなのかもしれません。通常発毛や育毛には4~7年ぐらいのサイクルで生え替わり成長するので1年2年でのノコギリヤシの使用では効果が実感できないのかもしれません。
サプリメント感覚で使用した方がいい
育毛を求めておられる方は今すぐにでも結果が欲しい方が多いのではないでしょうか。ノコギリヤシはあくまでサプリメントの扱いですから効き目も穏やかです。実感を早く感じたい方には向いていないかもしれません。
将来に備えて育毛活動として考えておられるのであれば、ノコギリヤシの育毛効果は理論上成立するので育毛が期待できるのではないでしょうか。