日本の離婚率は年々上昇しており、今や3組に1組が離婚していると言われています。年齢層が若くなるほど離婚率も高くなる傾向があり、離婚はしてもまだまだ新しい恋愛をはじめるチャンスは多いでしょう。
でも、シングルマザーの恋愛は、独身時代のそれとはまったく違います。
一番の違いは、子どもの存在です。自分の恋愛は人生にとってとても重要な問題ですが、母親の恋愛で子どもが傷ついてしまうこともあり、母親として子どもに対する配慮も絶対に必要なんです。
再婚を考えたときにも、やはり子どものケアはネックになってくるでしょう。
今回は、シングルマザーの恋愛が難しい具体的な理由と、子どもを傷つけず幸せな恋愛をするための心得をご紹介します。
シングルマザーの恋愛が難しいのはなぜ?
離婚によるショックから恋愛に対する恐怖心を持ってしまう女性もいらっしゃるかもしれませんが、中には、人生をリセットするために離婚した直後から次の恋愛に目を向ける女性もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし現実は厳しく、いざ素敵な男性と出会ってお付き合いがはじまると、周りから反対されたり、非難されたりすることさえあるのです。
反対される理由としては、「母親は子どもを最優先にすべき」という考え方が根底にあります。もちろん子どもが最優先なのは当然ですが、本人が子ども最優先で慎重に恋愛していたとしても、「彼氏がいる」というだけで「子どもを軽視している」と判断されてしまうことがあるんです。
シングルマザーに新しい彼氏ができたことで起きた悲しい事件が報道されることも多く、そのイメージから世間の目が厳しくなってしまうのも仕方ない部分もあるでしょう。
こういったことから、彼氏ができてもなかなかオープンにしにくい雰囲気があります。
付き合う上で必要な心得
子どもがいるからといってシングルマザーが恋愛をしてはいけないなんていうことはありません。
ただ、子どものためにも、彼氏のためにも、そしてあなた本人のためにも、お付き合いをする上で心得ておかなければならないことが7つあります。
1.シングルマザーであることを付き合う前に打ち明ける
シングルマザーであるということは、お付き合いをはじめる前にきちんと打ち明けておきましょう。
子どもがいると知られたら彼が去っていってしまうのではないかと不安になってシングルマザーであることを隠してしまったり、言い出しにくいという気持ちは理解来ます。
でも、いつまでも隠し通せるものではありません。嘘に嘘を重ねていくとそれだけ苦しくなりますし、彼からの信用も失ってしまいます。
大切な彼だからこそ、嘘偽りのないお付き合いができるように、子どもの存在を正直に話すべきです。
もしそれで去っていってしまう彼であれば、ご縁がなかったと諦めましょう。
2.世間の視線は厳しい
残念ながら、世間には「シングルマザーは子どもが最優先。子どもが自立するまでは恋愛してはいけない」という風潮があります。
シングルマザーに新しい彼氏ができることで起こってしまった悲惨な事件や、悲しい事件の報道を目にすることが多いですよね。
自分自身がどれだけ子どもを優先して恋愛していても、彼氏が素晴らしい人間性を持っていたとしても、周囲の目は厳しく、その恋愛を悪い目で見られたり、好奇の目で見られてしまうことがあるかもしれません。
でも、周囲の目を気にしすぎて萎縮してしまうのもよくありません。
逆に子どもや自分を見守ってもらえているのだと大きな心で前向きに捉え、周囲の目が気になるときには少し彼と距離を取るなど工夫して、上手に乗り越えていきましょう。
3.二人で会う時間を作りにくい
シングルマザーは、家事に育児に仕事にと毎日本当に忙しくて、ゆっくり自分の時間を持つことも難しいですよね。そういう意味でも、シングルマザーの恋愛は独身時代のものとは違います。
ふと彼の顔が見たくなったり声を聞きたくなっても、子どもを放り出して会いにいくことはできません。親に子どもを預けてデートするという方法もありますが、あまり頻繁に行うと子どもに寂しい思いをさせてしまいます。
離婚で傷ついたのは子どもも同じなのですから、さらに追い打ちをかけるようなことはしたくありませんよね。
子どもがいる以上、二人で会える時間は少なくなってしまいますが、会える時間の長さが愛の深さではありません。
「子ども優先」ということをお互いに念頭において、オンとオフの切り替えをしっかりしながらお付き合いしていきましょう。
たまになら、両親に子どもを預けてデートするのも良いですね。
4.連絡も取りにくい
シングルマザーの恋愛は、二人で会う時間が取り辛いだけでなく、電話やメール、LINEなどでの連絡も取りにくくなります。
家事・育児・仕事で多忙だからというだけでなく、子どもは思っている以上に敏感なので、母親が彼氏と連絡を取っている姿を見るだけで寂しい気持ちになってしまうことがあるからです。
子どもの前では「女の顔」ではなく「母の顔」でいなければなりません。
彼氏と連絡は子どもがいないところでするか、子どもが寝たあとにするようにしましょう。
5.子どもと彼氏を会わせるときは慎重に
彼と良い関係が構築できたら、次は子どもに会わせたいと思うのではないでしょうか。もしかすると、彼氏の方から「子どもに会ってみたい」と言ってくれるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
あなたにとって彼氏が大切な人であっても、子どもにとっては知らないおじさんです。突然紹介されても戸惑ってしまうでしょうし、年齢によっては「大好きなママが取られる」と思って、嫌悪感や拒否感を持ってしまうかもしれません。
また、運良く子どもと彼氏が仲良くなれたとしても、いつかあなたと彼氏が別れる日が来るかもしれません。子どもにとっては出会いも別れも大人の都合で、自分では何一つ選べないというのは、子どもにとっても相当辛いものです。
離婚のときにも、子どもは親の都合で悲しい別れを経験しています。また同じ経験をさせたくはありませんよね。
子どもと彼氏を会わせるときは、子どもが彼を拒絶するかもしれないこと、大人の都合で傷つけてしまうかもしれないことを覚悟して、慎重に進めなければなりません。
少しでも不安を感じるときは無理に会わせず、二人が結婚の意思を固めてから会わせるか、まだ彼氏と将来の約束をしていないのであれば、「お母さんのお友達」として子どもに紹介し、彼氏の前とはいえ「母の顔」を崩さないように気をつけましょう。
6.彼氏に子どもを心から受け入れてもらうことは難しい
相手がシングルマザーと知って、「俺、子ども好きだよ」と言ってくる男性もいますが、「子どもが好き=あなたの子どもが好き」ではありません。
彼氏にとって、子どもは「あなたの子ども」であると同時に「元旦那との子ども」ですので、どんなに良くできた可愛い子どもさんであっても心中複雑になるのは仕方のないことであり、変えることのできない事実です。
逆の立場になって考えてみてください。彼氏がシングルファザーで元嫁さんとの間にできた子どもがいたとして、最初から100%受け入れて可愛がることができるでしょうか?
「私のことが好きなら子どものことも可愛がってくれるわよね」なんていう考え方は傲慢です。
どんなに仲良くなっても、ふとした瞬間に「他人の子」というのを感じてしまうこともあります。
彼と子どもが心から仲良くなっていくためには、その二人がゆっくりと時間や経験を積み重ねていくしかないのです。
焦らずゆっくりと、関係を築いていきましょう。
7.再婚を意識し過ぎない
お付き合いがはじまって間もないときから、焦って再婚を意識し過ぎると、相手にとって重い女になってしまいます。特に、初婚の男性はそれが顕著でしょう。
一度結婚しているシングルマザーなら経験としてわかっている部分だと思いますが、結婚(再婚)はゴールではありません。結婚(再婚)してからも、道はまだまだ続いていくんです。
再婚のことばかり意識したお付き合いはせず、ゆっくりと関係を構築していきましょう。
また、最初から彼氏を「子どもの父親」として評価するようなことも、絶対に避けましょう。それは彼氏に対して失礼というものです。
子供の気持ちを大事にするための心得
シングルマザーが良い恋愛をするためには、子どもを傷つけてしまわないために心得なければならないこともあります。
1.何より子どもが最優先
シングルマザーの恋愛で最優先すべきはやはり子どものことです。
父親を失った子どもにとって頼れるのはもう母親だけなのですから、お付き合いをはじめる前に、彼に独身女性とのお付き合いとはまったく違うということ、子どもを優先するということが彼を蔑ろにするということではないということをきちんと理解してもらいましょう。
逆に、それを理解してもらえない相手とのお付き合いは、そう長くは続かないでしょう。
2.子どもの前で彼氏の話はしない
子どもにとって母親と恋人の話は何より聞きたくない話題です。
新しい恋愛に心が浮かれてしまう気持ちはわかりますが、そんな母親の姿を目にする子どもにとっては、「自分より大切な人がいるのかも」と不安を感じる原因にしかなりません。彼氏を拒絶したり、精神的に不安定になったり、反抗的になってしまったり、若年性うつの原因となってしまうこともあります。
子どもは親の変化を敏感に感じ取るので、子どもの前で彼氏の話はせず、子どもに聞かれてもあまり詳しくは話さないようにしましょう。
3.突然彼氏に会わせない
ドラマや映画、漫画のように「会わせたい人がいるの」といって、突然子どもに彼氏を会わせるというのは、子どもの気持ちを無視した最低な悪手です。
彼氏に「私の子どもなんだから好きになって」というのが無茶であるのと同じか、それ以上に、子どもに「私の彼氏なんだから好きになって」というのはむちゃくちゃです。仲良くなるどころか突然のことに頭と心がついていけず、最悪の結果を招きかねません。
子どもが彼氏を好きになるかどうかは子どもの性格や周りの環境、彼との相性にもよりますし、子どもの様子を見ながら少しずつ彼氏のことを話し、子どもの方から「会ってみたい」「会ってもいいよ」と言ってくれるまで待ちましょう。
4.母親モードと恋愛モードをしっかり切り替える
年齢を問わず、女性は恋愛をすると心も体も若返って華やかになります。そして、彼氏を好きになればなるほど、彼氏の影響を受けてしまうのも恋愛する女性の特徴ではないでしょうか。
独身時代であれば、彼氏の趣味に合わせて服装や髪型、生活習慣を変えるのも良かったかもしれませんが、子どもを持つ母親としてはそれではいけません。
子どもがいるときは母親モード、彼氏と二人きりのときは恋愛モードと、オンとオフの切り替えをしっかりして、メリハリのある恋愛を心掛けましょう。
子どもの前で彼氏と連絡を取ったりせず、間違っても付き合いが浅いうちに子どもをデートに付き合わせたり、子どものテリトリーである自宅に彼氏を招待するような、子どもの気持ちを無視した行為はしてはいけません。
5.子どもの本音を汲み取る
子どもが彼氏のことや再婚について理解を示してくれたとしても、それだけで「理解してくれた」とホッとしてはいけません。
子どもの性格によっては、大好きなお母さんだからこそ気を遣って本音を言えず、お母さんのために理解ある態度をとっているだけかもしれないからです。
お付き合いをして彼氏との関係を構築していくのと同時に、子どもとの絆も今まで以上に深める努力をし、子どもの様子に気を配って本音を汲み取る努力をしましょう。
独りよがりは絶対に駄目
ここまでシングルマザーの恋愛の難しさや心得についてご紹介してきましたが、最後に彼氏の視点に立ったお話をしましょう。
シングルマザーと交際するということは、男性にとってもハイリスクで、簡単なことではありません。
独身同士の恋愛とは考えなければならないことや越えなければならないハードルが非常に多く、様々な場面で悩み、躊躇してしまうことがあるでしょう。
「子どもを最優先にして、連絡を取るのも会うのも、時間や回数が限られていても許してくれて、子どもも自分と同じように愛して仲良くして欲しい」なんて余りにも身勝手です。
それでもあなたとお付き合いがしたいと言ってくれる男性と出会えたとしても、彼の気持ちに胡座をかかず、子どもを最優先にしつつも彼の気持ちも汲んで上げるようにしましょう。
また、「経済力が必要」「子どもには父親が必要」「兄弟を作ってあげたい」といった打算で、お付き合いや再婚をするのは彼氏に対しても子どもに対しても失礼です。
「恋愛は自分のためにするもの」という気持ちも忘れないようにしてください。
あなたと彼氏で、そして子どもも含めた全員で、少しずつ関係を築いていき、様々なハードルを乗り越え、「この人となら幸せになれる」「安心して子どもを任せられる」と思えたときは、再婚に向けて一歩踏み出してみましょう。
シングルマザーの恋愛は、常に子どもと彼氏の間で揺れ動き続け、世間からも冷たい目を向けられるなど、独身時代では考えられなかったような苦難が待ち受けています。
でも、それが自分と子どもの幸せに繋がっているのであれば、越えていく価値はあるはずです。
慎重に子どもを最優先にしつつも、幸せに、前向きに、新しい恋愛を楽しみましょう。