人間は寝ている間に毎日コップ一杯分、約200ccの汗をかくと言われています。
これは、汗をかくことで気化熱で体温を下げることで、脳と体を眠りに適した状態に移行させるという生理現象です。
当然、夜になっても気温が下がりきらない熱帯夜や、入浴直後などで体が温まっているときなどは、汗の量も増えやすくなりますが、寝汗が酷過ぎて目が覚めてしまったり朝起きたら肌が汗でベタベタとしているようなら、それはちょっと問題があるかもしれません。
ベタベタの寝汗は不快ですし、服が濡れるほどの酷い寝汗であれば何とかしたいですよね。
そんなあなたのために、悪い寝汗をかいてしまう原因や解消法をご紹介します。
良い寝汗と悪い寝汗が存在する!
「汗には良い汗と悪い汗がある」という話を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?それと同じように寝汗にも良い寝汗と悪い寝汗があるのです。
良い寝汗は、小粒ででサラサラしていてニオイが少なく、汗をかいてもすぐに乾くのが特徴です。
汗の成分はほとんどが水分ですが、血液中の老廃物やミネラルも汗と一緒に排出されます。
ミネラルは皮膚から再び吸収されるため、肌にはほぼ水分しか残っておらず、この水分が蒸発する時に体から熱を奪うため、体温を下げることができるんです。
一方、悪い寝汗は大粒でベタベタしていてニオイがあり、乾きにくいという良い汗と真逆の特徴を持ちます。
これは、何らかの原因で汗とともにミネラルが大量に排出され、再吸収されずに肌に残ってしまっている状態です。
肌に残ったミネラルが菌の養分になってしまうのでニオイの原因にもなるだけでなく、水分が蒸発しにくいので体温を上手く下げることができません。また、体からミネラルが失われることで体調も悪化してしまいます。
悪い寝汗の原因と悪影響
では、なぜ悪い寝汗をかいてしまうのでしょうか?
その原因として、4つのことが考えられます。
1.ストレスによるもの
特に現代人に多いのが、ストレスによる自律神経の乱れです。
自律神経は、脳や体を緊張させて活発に働かせる交感神経と、逆にリラックスさせることで休ませる副交感神経の二つが交互にバランスよくはたらくことで保たれています。
しかし、慢性的なストレスはこのバランスを崩れさせます。
睡眠中にも副交感神経がはたらかず、眠っているのに脳や体が緊張したままという状態になってしまい、大量の寝汗に繋がるんですね。
この状態が長く続くと、自律神経失調症やうつ病を引き起こしてしまう恐れもあります。
2.女性ホルモンバランスの乱れによるもの
生理前になると寝汗が酷くなるという女性の場合、女性ホルモンのバランスの乱れが考えられます。
生理の前はホルモンバランスが不安定になりがちです。それにより、むくみやイライラなど、心身に様々な不調が現れる女性も多くいらっしゃいますが、寝汗もその一つです。
生理がはじまるとホルモンバランスが安定するため、寝汗も改善されます。
3.加齢によるもの
特に女性の場合、加齢によるホルモンバランスの崩れで更年期障害が起きてしまうことが少なくありません。
更年期障害の症状として、イライラしやすくなったり、情緒不安定になったり、ホットフラッシュといって暑くもないのに体がほてって大量に汗をかいてしまうというものがあります。寝汗は、このホットフラッシュの一種である可能性があります。
4.飲酒によるもの
飲み過ぎた日は寝汗が酷いという方もいらっしゃるかと思います。実は寝汗と飲酒には密接な関係があります。
アルコールは体内で代謝されることで二日酔いの原因にもなる「アセトアルデヒド」という有害物質を発生させます。
このアセトアルデヒドをいち早く体外に排出させるために発汗が促され、通常よりも寝汗が増えてしまうんです。
寝付きが悪くなったり、睡眠の質が低下する原因にもなりますので、過度な飲酒や寝酒は避けた方が良いでしょう。
悪い寝汗の及ぼす影響
ベタベタした悪い寝汗は、以下のような悪影響を及ぼします。
・睡眠の質が低下する
・体臭がきつくなる
・肌が乾燥する
特に睡眠の質の低下は日中にも悪影響を及ぼしますし、ストレスや自律神経の乱れに直結しているため、さらに悪い寝汗を引き起こすという悪循環に陥ってしまう恐れもあります。
悪い寝汗の対策法
寝汗対策には、自律神経を整えることが大切です。自律神経を整える簡単な方法として、次の3つの方法で睡眠の質を向上させることが挙げられます。
1.規則正しい生活
生活のリズムが安定していないと体内時計が狂い、自律神経も乱れてしまいます。
毎日できるだけ同じ時間に食事・睡眠を行うようにすることで、自律神経を整えてストレスを溜めにくい体質、悪い寝汗をかきにくい体質づくりをすることができます。
休日も、夜更かしや寝坊は避け、ダラダラと過ごしてしまわないようにしましょう。
2.睡眠環境の改善
質の高い睡眠のために、睡眠環境の改善は欠かせません。
特に夏場は寝苦しいのでエアコンをつけっぱなしにして寝ているという方も多いかもしれませんが、エアコンで室内の温度が保た環境で長時間過ごしていると、体の体温調節機能が衰えてしまいます。
エアコンは27~28℃設定で入眠後3時間程度を目安にタイマーを設定して、一晩中部屋を冷やしていることがないようにしましょう。
また、高温多湿の日本ではエアコンで室温を下げるより除湿器を使用して湿度を下げた方が、より快適に過ごすことができます。
ベッドや布団、パジャマも、季節に合ったものを選ぶようにすると良いですよ。
3.ストレスを溜め過ぎないようにする
規則正しい生活を送ることはもちろんのこと、38~40℃のぬるめのお風呂にゆっくりと入ったり、適度な運動を習慣にして上手くストレスを解消していくことも寝汗対策には重要です。
自分なりのストレス解消法を探してみましょう。
寝汗がひどくなる症状のある病気
特にストレスも溜まっていないし、寝汗に繋がるような原因に思い当たる点がないのに寝汗が多いという場合、何かしらの病気が原因である恐れがあります。
・バセドウ病
・結核
・白血病
などには、症状のひとつに寝汗が酷くなるというものがあります。
症状が進行して悪化してしまわないよう、特に原因もないのに寝汗が酷い場合は早めに病院を受診しましょう。
寝汗が酷いと、寝ている間の室温が高すぎるのかと思ってついエアコンを一晩中かけてしまったり、温度設定を低くしてしまいがちですよね。
でも、自律神経の乱れによる寝汗はエアコンでは逆効果です。
睡眠環境を整えたり規則正しい生活を送ったりして自律神経を整え、寝汗をかきにくい体質を手に入れましょう。