春だけでなく、秋などにも花粉症の症状が出て辛いという人が増えてきています。今や国民病ともいわれる花粉症ですが、確実な治療法はまだ見つかっておらず、薬による対症療法しか症状を抑えることができないのが現状です。辛い花粉症の季節を乗り切るために、症状を和らげてくれる食べ物をご紹介します。
花粉症の症状が起こるメカニズム
花粉症とは、体の免疫反応により起こるものです。アレルギー反応ともいい、体の中に侵入してきたアレルゲンを異物と見なし、排除しようとする際に、くしゃみや鼻水といった症状が出るのです。その詳しいメカニズムは、次のようなものです。
花粉症が起きる仕組み
1. 空気中に浮遊するアレルゲン(スギやヒノキの花粉)が鼻の粘膜に侵入すると、抗体が作られます。
2. 再び花粉が侵入すると、抗体からアレルギー誘発物質のヒスタミンが放出されます。
3. 異物を追い出そうと防御反応がはたらき、鼻水・くしゃみ・涙が出ます。
花粉との接触で作られる抗体は、IgE抗体と呼ばれるもので、花粉以外にもアトピーや気管支喘息といった症状が出るときにも作られる抗体です。この抗体が作られやすい体質の人とそうでない人は生まれつき決まっており、作られてもある程度は蓄積されます。しかしこの蓄積が許容量を超えると、花粉症に発病する可能性が高くなります。
花粉症に効果的な栄養素
花粉症を抑える薬はありませんが、体の中の抵抗力を強めることで、花粉症の症状を和らげ、また悪化を防ぐことが可能です。
ポリフェノール
抗酸化作用があるほか、免疫力を高める働きがあるので、アレルギーの症状を緩和してくれます。
カロテノイド
赤や橙、黄色などの天然色素の総称で、βカロテンやルテイン、またリコピンなどもカロテノイドの一種です。強い抗酸化作用があるほか、細胞の保護にも働きますが、様々な種類があるため、一つだけでなくバランスよく摂取するのが望ましいとされています。
ビタミンB
免疫力を高め、特にビタミンB5には花粉症に対する抵抗力を高める働きがあります。
ビタミンC
皮膚や粘膜の健康や維持に必要な成分で、体の抵抗力を強める働きがあります。果物や野菜に多く含まれていますが、熱に弱く、水に溶けやすい性質があります。
亜鉛
粘膜を丈夫にする働きがあり、アレルギーの予防にも効果的です。
花粉症の症状を和らげる食べ物
ヒスタミンの分泌を抑えることで、花粉症の症状を軽減してくれる食べ物をご紹介します。
1.ヨーグルト
ヨーグルトに含まれる乳酸菌とビフィズス菌は、整腸作用や消化器官の改善に働きますが、アレルギーを抑える効果もあります。腸内環境を整えることで体に抵抗力がつき、花粉症による皮膚の炎症などを改善します。
2.納豆
発酵食品である納豆は、腸内環境を改善する働きがあります。有害物質を体外に排出する働きもあり、花粉症の症状を和らげます。
3.しょうが
しょうがに含まれるショウガオールには、ヒスタミンを抑える働きがあるほか、花粉症の悪化を抑える効能があります。しょうがだけでなくネギやニラなど、香味野菜には体の免疫力を高める働きがあります。
4.タマネギ
タマネギに多く含まれているケルセチンには、ヒスタミンを抑える働きのほか、血行を改善する働きがあり、抗炎症効果もあることから、花粉症の症状を和らげます。
5.大根
大根に含まれるジアスターゼには、ヒスタミンの分解を促す働きがあります。すりおろすことでその効果が取り入れられるので、大根おろしにして食べるようにしましょう。加熱するとジアスターゼは壊れやすいので、サラダにするのもおすすめです。
6.そば
ヒスタミンを抑えるケルセチンを多く含んでいます。そばとして食べるほか、そば茶を毎日飲むのもおすすめです。
7.いちじく
ポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含んでおり、抗酸化作用や抗炎症効果でアレルギーの症状を和らげます。乾燥させると栄養素が凝縮されるので、ドライフルーツをおやつに食べるのがおすすめです。
症状を悪化させる食べ物
症状を悪化させてしまうヒスタミンは、食べ物にも多く含まれています。特に花粉症の季節には過剰摂取しないよう気をつけることが必要です。
ヒスタミンが多く含まれる食べ物
・チョコレート
・ココア
・コーヒー
・あさり
・トマト
・たけのこ
・イワシ
・サンマ
・カニ
・豚肉
ヒスタミンは肉類に最も多く含まれており、また鼻づまりの原因となるアラキドン酸も多く含まれています。魚や野菜にもヒスタミンは含まれますが、肉よりは少ないので、肉中心の献立を魚に置き換えるだけでも、症状を改善することが可能です。
花粉症の症状を和らげるために普段の生活から心がけたいこと
食べ物に気をつけることで、花粉症の症状を和らげることは可能ですが、それだけでなく普段の生活でも気をつけることが必要です。
日常の生活で気をつけたいこと
・アレルギーに効果のある食べ物だけでなく、バランスの取れた食事を心がける
・不規則な生活、睡眠不足などを避ける
・刺激物や加工品、砂糖を使ったお菓子を控える
・アルコールやたばこを控える
・体を冷やさないようにする
極端に辛いものなどは、花粉症で敏感になっている粘膜を刺激し、症状を悪化させることがあります。花粉症のときには体全体の抵抗力が落ちているため、風邪なども引きやすくなっています。食べ物と普段の生活から改善し、症状をコントロールできるように心がけていきましょう。