薬局で手軽に購入することができるワセリンは、皮膚科の治療に使われることもある保湿剤です。誰でも使うことができ、家に常備しておくことで何かと役立つアイテムですが、正しい使い方は知っていますか?今回はワセリンの効果と共に、その便利な使い方について詳しくご紹介します。
ワセリンとは?
ワセリンとは、石油から分離した物質である炭化水素類を精製したものです。原料が石油と聞くと、そんなものを顔に塗っても大丈夫?と心配になるかもしれませんが、石油は水中のプランクトンが海や湖に堆積し、積み重なった泥や砂と共に地熱や化学反応により液体になったもののことをいいます。石油は私たちのよく知っている燃料以外にも、ゴム製品やプラスチック製品、衣類や洗剤、シャンプーなどにも使われています。
石油から加工されたワセリンは、その油分によって皮膚を覆うことで、高い保湿の効果があります。また不純物を取り除くために精製されており、その純度の違いによって4種類に分けられます。
ワセリンの種類
・黄色ワセリン
精製度が低く、黄色い色をしています。医薬品や医薬部外品ではなく、雑貨品として扱われています。肌が弱い人や肌トラブルが起きたことのある人、また赤ちゃんなどには使わないようにしましょう。
・白色ワセリン
一般的に市販されているものはこのワセリンです。安価であり、基本的には体のどこに使ってもかまいません。
・プロペト
白色ワセリンの不純物を除去したものです。不純物があると酸化し、肌にダメージを与える恐れもあるのです。プロペトは目の周りなど皮膚が薄い場所や、デリケートな場所に使います。
・サンホワイト
プロペトでもかゆみが出る人、肌が弱い子供などに使われます。プロペトをさらに精製して作られます。
ワセリンの効果
保湿剤として使われるワセリンですが、具体的にはどのような効果があるのか詳しくご紹介します。
肌の保湿
肌表面からの水分蒸発を防ぐことで、肌に保湿効果をもたらします。肌を保湿してからその上にワセリンを塗ることで効果がアップします。
しわを伸ばす
ワセリン自体にしわを伸ばす効果があるわけではありませんが、しわの原因となる乾燥を防いでくれるため、しわ予防には効果的です。
乾燥による肌のかゆみを軽減する
秋冬の空気の乾燥は、指先やかかとを乾燥させるだけでなく、かゆみが生じます。この乾燥を抑えることで、かゆみを防ぐことができます。ただしワセリン自体にかゆみ止めの効能があるわけではないので、かゆみがひどい場合には市販のかゆみ止めを併用するといいでしょう。
花粉症対策
鼻の入り口にワセリンを塗ると、花粉の侵入が抑えられます。また鼻のかみすぎで鼻の周りが乾燥する、また鼻の中が乾きやすい人にもおすすめです。
このほかアトピー性皮膚炎に効果があるという説もありますが、ワセリンを塗ったことで逆に症状が悪化したという人もおり、必ず効果があるとは限りません。ただし化粧品や皮膚科の薬にも使われているほど低刺激であり、上手に使うことで乾燥による肌の悩みを解決することができます。
ワセリンの使い方
ワセリンの保湿効果を生かした使い方について、ご紹介します。
1.腕や足の乾燥対策
ワセリンは少量で伸びますので、腕や足など広い範囲に塗るときには、手のひらで先に伸ばし、腕や足になじむよう押さえながら塗ります。こすらないように注意しましょう。
2.唇の乾燥対策
爪楊枝の先で少しすくったぐらいの少量を、指先で軽く押さえるように塗ります。多く塗るとかえってベタベタになりますので、「少ないかな?」ぐらいの量でかまいません。また口角にも塗っておくと、乾燥で切れるのを予防できます。
3.かかとの乾燥対策・予防
秋冬に乾燥しやすいかかとに塗ります。乾燥がひどい場合は、ワセリンを塗った後ラップで包むとパックになります。ワセリンを塗った後は床などにべたつきがつかないよう、すぐ靴下をはくようにします。
4.髪の毛に塗って整髪剤に
髪につやを与え、乾燥で広がりやすい髪の毛を抑えることができます。少量でかまわないので、毛先を中心にワセリンを揉み込みます。毛根につけると逆にべたつき、汚れがつきやすくなるので注意しましょう。
5.化粧下地に使う
肌が乾燥していたり、吹き出物ができているときに化粧をすると、かえって肌に刺激となって治りにくくなってしまいます。そんな時は化粧をする前にワセリンを塗り、その上からファンデーションをのせるのがおすすめ。ただし炎症を起こしているものには使わないようにしましょう。
6.口紅の仕上げに
口紅を塗った後にワセリンを塗っておくと、口紅が落ちるのを防いでくれます。なかなか化粧直しができないときなどに便利です。
7.指先のケアに使う
ささくれなどができやすい指にワセリンを塗り、マッサージしましょう。血行がよくなることに加え、乾燥も防ぐのでささくれができにくくなります。
8.毛穴パック代わりに
毛穴に詰まった汚れは、ワセリンを塗ることで落としやすくなります。コツはあまりワセリンを塗りすぎないようにすること。薄く塗って、しばらく置いてから洗い流し、改めて洗顔するのがおすすめです。
9.脱毛後の肌のケアに
自宅で脱毛した後、きちんと保湿をしないと赤くなったりブツブツができやすくなります。クリームや化粧水で保湿をした後、ワセリンを塗り込んで乾燥を予防しましょう。
10.まゆげの手入れに
まゆげを毛抜きで整えるとき、先にワセリンを塗っておくと抜きやすくなります。
塗りすぎ注意!塗り方で注意したいこととは
ワセリンは硬いため、きちんと正しく使わないと肌にかえって負担をかけてしまいます。必ず手のひらで伸ばし、温めてから使うのが基本です。
ワセリンを塗るときの注意
・背中や胸などニキビができていたら塗らない
・汗をよくかくおしり、ふくらはぎや膝の裏は少量にする
・屋外で長時間太陽の光を浴びる可能性があるときには使用を控える
・開封して時間が経ったものは酸化している可能性があるので使わない
・多く塗っても効果は変わらない、顔全体で米粒1粒程度を目安に
正しく適量を守ることで、様々な使い方ができるワセリン。安価に購入可能なので、ぜひお家に一つ常備しておきたいですね。