満員の通勤列車やオフィスの中で、ふと気になってしまう人の汗の臭い。もしかしたら自分も気がついていないだけで臭いのかもしれない、と考えたことはないでしょうか。臭いに敏感な日本人ですが、なかなか「あなた臭いよ」とは言ってくれません。
いつの間にか人が離れてしまう、汗臭い女性を卒業するための対策について詳しくご紹介します。
汗をかく量ってどのくらい?
人間が汗をかくのは、体温調節のためです。体温を維持するために出る汗の量は、外気温や食事によってカロリーを摂取した際の体温の変化、またカロリーが体内で消費されたときの熱量によっても違いがあります。
汗をかく状況
・激しい運動をしたとき
・夏の気温が高いとき
・冬の暖房が効いた部屋にいるとき
・熱いものや辛いものを食べたとき
汗をかくのは体温調節の他に、精神的な緊張によってかく汗や、寝ているときなど安静時も発汗します。運動などをせず過ごしているときであっても、人間は1日当たり200mlから400mlの汗をかくとされていますが、運動をしたときなどは一時的に大量の汗をかくため、この場合は1時間に2Lから3L、1日に10L以上の汗をかくこともあります。
人間の汗を出す場所である汗腺は、生まれたときにすでにその数が決まっているため、大量の発汗があっても、それほど個人で大きな差や変化はありません。
もし激しい運動などの汗をかくことをせずに、大量の汗が出る場合、多汗症という病気によるもの、もしくは普段の生活に何かの因果関係があって大量の汗が出ているともいえます。
臭いの強い汗が出る仕組み
基本的に汗はそのほとんどが水分からできており、汗腺から出るときには無臭の状態です。汗が臭うのは2つの原因によるものです。
汗が臭う2つの原因
アポクリン腺から出る汗
人間の汗腺は、体中にあるエクリン腺と脇や耳の中、性器の周辺にあるアポクリン腺の2種類がありますが、アポクリン腺は体温調節ではなく臭いを放出する役割を持っています。アポクリン腺から分泌される汗には、タンパク質や脂質が含まれるため、この汗に細菌が繁殖して臭いがキツくなります。
質の悪い汗によるもの
汗は汗腺が血液の血漿をろ過して排出したものですが、このときろ過機能がきちんと働かないと血漿の成分が汗に混じり、これに細菌が繁殖して臭いの元になります。普段のさらさらした汗ではなく、べたついた汗は質が悪くなっている汗です。
このように汗腺の機能が低下することで、質の悪い汗をかくことが臭いを強くする原因ですが、生活習慣でも質の悪い汗をかいてしまうことがあります。
臭いの強い汗の原因
・汗をかいたまま放置している
・通気性の悪い服を着ている
・肉料理や脂の多い食事をしている
・香辛料を多く使った料理を食べたとき
特に動物性脂肪はアポクリン腺を発達させます。また緊張したときや不安なときなど、体にストレスが加わると、筋肉が疲労して血液中に含まれる乳酸とアンモニアの濃度が増加してしまいます。一気に増えたアンモニアは分解が間に合わず、汗に混じってしまいます。そのためエクリン腺からかく汗でも臭いが強くなることがあります。
汗臭い女性を卒業するために心掛けたいこと
大量の汗をかく人が必ず汗臭いということはありません。むしろ汗をかいたときに雑菌を繁殖させないよう対処することで、汗臭さを解消することが可能なのです。
1.小まめに汗を拭く
汗は無臭ですが、雑菌が繁殖すると成分が分解されることで臭いが発生します。その分解にかかる1時間の間に汗を拭き取れば問題ありません。ただし乾いたタオルなどで水分をすべて拭き取ってしまうと、肌が乾燥して逆に汗が大量に出ることになりますので、濡らしたタオルや市販されている汗拭きシートを使いましょう。
2.汗腺機能を鍛える
べたついた悪い汗が出るのは、汗腺のろ過機能が正常に働かないことが原因です。特に冷房の効いた部屋で一日過ごすといった生活を続けていると、汗腺が機能しなくなり休眠してしまいます。
そのため汗をいざかこうとすると、汗腺が足りないため残った汗腺で汗を出そうとし、ろ過が間に合わなくなってしまいます。そのべたついた汗が汗腺を塞ぎ、また汗が出にくくなるといった悪循環に陥ってしまうのです。
汗腺の機能を鍛えるには、運動が一番ですが、毎日は難しいという場合には、40度ほどのぬるま湯に20分ほどつかる習慣をつけましょう。お風呂から出ても発汗作用が続き、汗腺の機能を取り戻すことができます。
3.水分をしっかり取る
汗をかきたくないからといって、水分補給をしないでいると、汗が濃くなってしまいます。さらに血液もどろどろになってしまい、循環機能が低下します。喉が渇いたと感じたときには脱水症状の一歩手前ですから、なるべく小まめに水分を補給しましょう。
4.体を冷やさない
冷房で体が冷えると、汗腺の機能が働かないだけでなく、血行も悪くなるため体が水分をためこんでむくんでしまいます。冷房対策として、首や手首、足首、腰回りやお腹を冷やさないよう温めましょう。また小まめに体を動かすのも冷え対策になります。
5.吸水性のある下着を着る
汗を吸い取ってくれるインナーを着ることで、汗をかいても体に残らないため、雑菌が繁殖しにくくなります。また替えも用意しておくと、汗をかいた後に冷房の効いた部屋で体が冷えてしまうのを防げます。
6.ストレスをためないようにする
緊張や不安だけでなく、疲労や睡眠不足もストレスとなり、自律神経を乱してしまうため、アンモニアを多く含む臭い汗が出てしまいます。日頃からストレスをためないように気分転換をしたり、早寝早起きを心掛けるようにしましょう。
7.食生活を改善する
偏った食事や、栄養バランスの取れていない食事は、体の新陳代謝を低下させ、血行を悪くします。さらに動物性脂肪にはアポクリン腺を発達させ、細菌のエサとなるタンパク質や脂肪が多く含まれているので、食べ過ぎないようにしましょう。
8.制汗剤を使う
汗そのものは体温調節のをするために必要な機能であるため、無理に止めることはしないようにしましょう。むしろ汗が出ても、臭わなくするためには細菌の増殖を抑えられる殺菌効果のある制汗剤を使う方法があります。ただし使いすぎると逆に肌に刺激となって汗や皮脂の分泌を促してしまいますので、注意しましょう。
臭うのは服が原因かも?服についた臭いを取る方法
体は汗臭くないのになんだか臭う…というときには、服に汗の臭いがついていることが原因です。エクリン腺から出る汗は蒸発しやすいため、服に雑菌がつき、洗濯してもなかなか取れないため、繰り返し臭いが発生してしまいます。
この場合、酸素系漂白剤を使い、服から雑菌を取り除きましょう。
服の漂白の仕方
1.40度から50度のお湯に、酸素系漂白剤を溶かす
2.衣類を浸け、30分ほど置く
3.通常の洗濯を行う
ただし素材によっては生地が傷むことがあるため、綿や麻素材以外の服はやめておきましょう。
自分ではなかなかわかりにくい汗臭さを解消するには、汗をかいたときの対処はもちろん、普段の生活からさらさらの汗をかくことが必要です。制汗剤など汗対策グッズも合わせて使い、汗臭さから解放される毎日を過ごすようにしましょう。