湿気の多い日本では、靴箱などにカビが生えることがよくあります。特にアパートや集合住宅などで北側に作られることの多い押入れは、気がつかないうちにカビが生えていることがあります。完全にカビを除去することはもちろん、二度と生えてこないように処理、予防をすることが大切です。今回は押入れに生えたカビの除去方法と予防方法について、詳しくご紹介します。
なぜ押入れにカビが生えるのか
押入れにカビが生える原因には、以下のものがあげられます。
家の気密性が高い
住宅の性能が高くなり、部屋の気密性が高くなっているため、押入れの扉を閉めると押入れが密封されることになります。そのため部屋の温度と押入れの中の温度差が生じ、結露が生じます。これがカビの原因になります。
押入れに使われている素材
押入れにはベニヤ材やビニールクロスを使用することが多く、湿気がこもりやすい環境にあることもカビが生える原因といえます。
押入れにしまっている服や布団の湿気
押入れに服や布団をしまっている場合、布製品は湿気を吸い込むため、押入れの中の湿度が上がります。そのため結露ができやすくなり、カビの発生につながります。
特に押入れに隙間なく荷物を入れ、換気が不十分な状態であると、知らないうちにカビが発生し、広がっていることは十分にあり得ます。カビの臭いが押入れの外までする場合は、早急にカビを除去しないと中の荷物にまでカビが広がってしまいます。
押入れのカビを除去する前の準備
押入れの中のカビを除去するためには、事前に準備が必要です。
カビを取るために必要な道具
・マスク
・手袋
・ゴーグル、もしくは眼鏡
・エタノール、もしくは逆性石けん
・漂白剤
漂白剤には、塩素系のものと酵素系のものとがあり、カビに対して強力な効果があるのは塩素系の漂白剤です。ただし強力なだけに、使用すると押入れの壁材や壁紙が破損する可能性もあります。酵素系の効果は穏やかですが、カビが除去しきれないこともあります。
押入れにカビが生えた場合、目に見えないカビの胞子が中に散らばっていますので、マスクや手袋で手や口を保護し、できればゴーグルで目を守りながら作業する必要があります。さらに押入れの中にある荷物を全て出し、外に出しましょう。表面にはカビがなくても、胞子が付いている可能性があるため、換気も必要です。
押入れのカビを除去する手順
カビの胞子を部屋に広げてしまう、また掃除をしているときに子供やペットが胞子を吸い込んでしまうと危険なので、換気をしっかりし、子供やペットを部屋に入れないようにしておこないます。
1.押入れのものを全て出す
カビの胞子が付いている可能性がありますので、中に入っているものは全て出します。全てチェックをして、カビが生えているものは処分します。生えていないものでも、カビの胞子が付いている可能性があるので、天気がよければ外に、悪いときにはビニールに入れておきます。
2.押入れの中を殺菌する
エタノール、もしくは逆性石けんを使って消毒、殺菌をします。押入れが広い場合は、エタノールでは量が足りない可能性もありますので、逆性石けんを使いましょう。逆性石けんは洗浄力のない、殺菌をするために使われるものです。約200倍に薄めて使うため、広い押入れ全体に使用できます。
3.押入れの中を掃除する
床面はもちろん、天井や壁も掃除をします。ホコリが残っていると、そこにカビの胞子が付いてまたカビが生える可能性があるためです。このとき掃除機で吸い取ると、掃除機内部にカビが生えてしまうこともあるため、フローリングシートなどを使い、ホコリを取り除きます。
4.カビを漂白剤で除去する
染みついた黒いカビを取り除くためには、漂白剤を使わないと取り除けません。ただし使われている素材によっては、表面がはげたりすることもあるため、目立たないところで試してから使うようにしましょう。
カビが広範囲にわたる場合や、漂白剤を使っても取れない場合は、カビが深い所まで根を張っている可能性があるため、壁材をはがして交換するしかありません。カビの根が浅い場合は、サンドペーパーでこすり取る方法もあります。
5.押入れの中を乾かす
扇風機などを回して、押入れの中を完全に乾かします。エアコンや除湿機を使う方法もあります。しっかり乾かしてカビが寄りつかないようにすることが大切です。
6.押入れの中に入れる中身も乾かす
外に出しておいた押入れの中身も、きちんと乾かし、洗うことができるものは洗ってから乾かします。洗えないものは、エタノールや逆性石けんで消毒をするようにしましょう。
二度とカビを生やさないための予防法
カビを除去しても、きちんと対策を立てないとまたカビが生えてしまいます。カビを二度と発生させないためにも、日頃から予防しましょう。
湿気に弱いものはなるべく上段に置く
湿気は下にたまりやすいので、バッグなど湿気に弱い素材のものはなるべく押入れの上段にしまうようにします。
すのこを使って物を床面や壁面から離す
結露が発生しやすい壁面と、入れる物の間に空気の通り道を作るためにすのこを活用しましょう。床に敷くだけでなく、壁面にも立てかけて、直接入れる物が壁に付かないようにします。
押入れに物を入れすぎない
物を入れすぎると、空気が循環できずに結露につながります。押入れに入れる物は全体の8割以下に抑えるようにします。
押入れはできるだけ空けておく
押入れのふすまは、できるだけ開けておき、閉めるのは来客時だけにするなどして、まめに空気を入れるようにしましょう。除湿機を押入れに使うのもいいでしょう。
カビは一度生えると、繰り返しできやすくなります。生えさせないよう予防を心がけて下さいね。