顔に痒くなったりカサカサしたり。一見だだの乾燥肌の症状と間違えがちですが、その原因は乾燥ではなく「顔カビ」かも。今密かに顔に生える「顔カビ」の症状に悩む女性が増えています。体に発生するカビといえば、水虫が広く知られていますが、他にも癜風など意外と体に生えるカビというのは多いのです。特にジメジメする梅雨の時期は、食べ物だけでなく顔カビにも注意が必要です。そこで今回は、そんな顔カビが引き起こす皮膚炎や、顔カビの対処法をご紹介します。
顔カビとは?
顔に生えるカビ、これは食品に生えるカビともお風呂場に生えるカビとも違います。
もともと人間の顔には「マラセチア菌」という菌が存在しています。これは誰の顔にも存在している常在菌ですが、湿気や皮脂を好み、皮脂を遊離脂肪酸に代謝して、お肌を弱酸性に保つ役割があります。
マラセチア菌は常在菌ですから、普段は悪さをすることはないのですが、皮脂の量が多くなると、マラセチア菌は増殖し、増殖しすぎることで顔にかゆみなどといった肌トラブルをもたらします。
皮脂の分泌量が増えてくる春から夏にかけてマラセチア菌も増殖しやすくなります。
顔カビが引き起こす3つの皮膚炎
顔カビであるマラセチア菌が原因で引き起こされる皮膚炎は主に3つあります。
脂漏性皮膚炎
マラセチア菌が増殖することによって、脂漏性皮膚炎になります。特に皮脂量が多い、小鼻の脇や髪の生え際、眉毛部分に皮むけのような症状があらわれます。
脂漏性皮膚炎はかゆみが出ないことが多く、症状は治まったり再発したりを繰り返すことがほとんどです。中には重症化することもあり、皮膚が荒れて真っ赤になる場合もあります。
マラセチア毛包炎
マラセチア菌が増殖して、毛穴が炎症を起こすことでマラセチア毛包炎になります。毛穴が炎症を起こすので、見た目はニキビに似ていますが、ニキビとは全く違っていて、抗菌剤を使用しないと治りません。
ニキビと似ていますが、ニキビよりも小さく、大きさもほぼ均一です。
マラセチア毛包炎は、顔だけでなく、首やデコルテ、二の腕部分にも症状が出る場合もあります。
アレルギー性湿疹
マラセチア菌によって、アトピー性皮膚炎が悪化してしまう状態です。強いかゆみと炎症が特徴です。
マラセチア菌は誰の顔にも存在している常在菌ですが、皮脂の分泌量が増えることや、免疫力が落ちることで肌トラブルが起こってしまいます。ステロイド剤の使用は症状を悪化させます。
顔カビの対処法
顔カビが原因で顔にかゆみが生じてしまうのは、顔カビが繁殖しすぎていることにあります。
顔カビの対処法は、まず顔に使用するものを清潔に保つことが大切です。
タオルやシーツ、枕カバーなどをこまめに洗濯し、カビが繁殖しないようにしましょう。また、メイク用品のパフやブラシなども頻繁に洗って清潔に保ちましょう。顔カビは顔だけでなく、普段顔に使うものにも存在しています。
特にファンデーションをつけるパフは、ファンデーションだけでなく皮脂汚れもついているので、定期的に洗うか買い換えましょう。
顔カビを洗い流そうと洗顔をしすぎると、必要な常在菌を洗い流すことになり、さらに肌トラブルが増えてしまいますから、洗顔は洗顔料をつけて夜洗い、朝はぬるま湯で軽く洗うようにしましょう。
また空気清浄機のフィルターをこまめに掃除することも効果的です。フィルターが掃除されていない状態では、カビの胞子が部屋に撒き散らされている状態ですから、フィルターを掃除し、しっかり空気をキレイにする空気清浄機としての役割を果たしてもらいましょう。
顔カビの治療法
顔カビの原因はマラセチア菌ですから、治療には抗真菌薬が効果的です。ただし、マラセチア菌は常在菌ですから、治療は時間がかかる場合もあります。
マラセチア菌に効果のある抗真菌薬は皮膚科で処方してもらえます。
顔カビの対処法を実践してみても改善されない、悪化してきた場合には、皮膚科で適切な治療を受けるようにしましょう。
顔カビを予防しよう
マラセチア菌の増殖を予防は、日常生活を改善することで簡単にできます。
バランスのとれた食事
1日3食、栄養バランスのとれた食事を意識しましょう。マラセチア菌は皮脂を栄養分としますから、脂肪分や糖分の多い食事内容は、皮脂の分泌量を増やしてしまうため控えるようにしましょう。
特に胃腸などの消化器官が弱ってしまうと、カビも繁殖しやすく、アトピー性皮膚炎の悪化にもありますから、腸内環境も意識した食事内容を心がけましょう。
お手入れのしすぎは厳禁
お肌の保湿はとても大切ですが、必要以上に保湿しすぎるとマラセチア菌が好む条件を作り出してしまうことになります。また殺菌しようと殺菌効果のあるスキンケアを行うと、バリア機能が低下してしまいます。
紫外線を予防する
紫外線を浴びるとお肌はダメージを受けて乾燥しやすくなります。お肌が乾燥してしまうと、皮脂の分泌が過剰になってしまいますから、マラセチア菌増殖の原因にもなります。
顔カビはいったん繁殖してしまうと、治療にも時間がかかりますから、繁殖させないように予防することが大切です。