背中のムズムズとしたかゆみ。落ち着かないし、どうしても気になってしまいますよね。夜も眠れないほどのかゆみを経験したことのある方もいらっしゃるかもしれません。
自分では見えない場所な分、「掻いてはいけない」とわかっていてもつい掻きすぎてしまって悪化させてしまうというのもよくあることです。
でも、かゆみの原因を知り、きちんと対策することで、かゆみに悩まされることはなくなります。
今回は、背中がかゆくなる原因やかゆくなったときの対処法、背中がかゆくならないための予防法についてご紹介します。
背中がかゆくなる原因
背中がかゆくなってしまう原因として挙げられるのは、以下のようなものです。
乾燥
背中がかゆくなる原因でもっとも多いのが乾燥です。
背中は皮脂腺が少なく乾燥しやすい部分です。
冬のように乾燥しやすい季節はもちろんのこと、夏でも汗が蒸発する際に皮膚に必要な水までが奪われて乾燥してしまうことがあります。また、エアコンや紫外線も乾燥の原因になってしまいます。
入浴時に洗いすぎていたり、逆にシャンプーやボディーソープのすすぎ残しがあると、乾燥の原因になります。
また、皮脂を分泌させるホルモンであるアンドロゲンが少ない子どもや高齢者も肌が乾燥しがちです。
食生活の乱れ
忙しくてついコンビニ弁当に頼りがちだったり、過度なダイエットなどにより食生活が乱れていると、肌のキメが乱れて乾燥を引き起こしてしまいます。
また、冬はもちろん夏場でもエアコンの効いた室内で長時間過ごしていると、身体が冷えて血行が悪くなったり新陳代謝が低下して肌が乾燥してしまいます。
静電気
特に冬場に起こりやすい乾燥の原因の一つとして、静電気が挙げられます。
空気の乾燥した冬に衣類を脱ぐと、肌と服が擦れ合って静電気が起こるという経験をしたことのある方は多いと思いますが、その静電気が肌へ刺激を与えてしまうんです。
静電気は乾燥した状態でより起こりやすくなるため、肌が乾燥していると静電気が発生しやすく、乾燥が原因のかゆみにさらに静電気の刺激が加わって痒みが増してしまうというわけです。
下着によるムレ
下着によりムレを感じるのは、デリケートゾーンだけではありません。
ある調査では、女性の74%がブラジャーのムレが気になった経験があるのだとか。中には肌が真っ赤に腫れるほど症状の酷い方もいらっしゃいます。
普段は気にならなくても、背中が乾燥している時期は乾燥とムレを繰り返し、どんどんかゆみが酷くなってしまうことがあります。
下着を見直すことも大切ですが、乾燥を解消することでこの悪循環を断ち切ることができます。
アレルギーや外的刺激
アレルギーやアトピー性皮膚炎、何らかの外的刺激によりかゆみが引き起こされることもあります。
使用しているシャンプーや入浴剤、衣類を洗う洗剤や柔軟剤が肌に合わずにアレルギー反応が出たり、冷えた体で湯船に浸かることで急激に体温が上がり「温熱じんましん」が引き起こされてかゆみが現れることがあります。
また、最近は大人のアトピー性皮膚炎も増えており、子供の頃は何ともなかったのに大人になってから強いかゆみに襲われることもあります。
こういったアレルギーや外的刺激、アトピー性皮膚炎によるかゆみの場合、皮膚科を受診して原因の究明と治療を受ける必要があります。
ノミ・シラミ
最近はペットと暮らしている方が増え、ペットのノミやシラミが原因のかゆみも増えています。
ペットのノミ・シラミ駆除と予防をしっかりと行うとともに、掃除や洗濯も念入りに行うようにしましょう。
ストレスによる自律神経の乱れ
特に近年増えているのが、「ストレス性皮膚炎」です。
現代人が抱える多くのストレスから自律神経のはたらきが乱れ、体のかゆみとして現れるのです。また、ストレスによるうつ病などの症状の一つとしてかゆみが現れることもあります。
自律神経の乱れから来るかゆみの場合、皮膚科を受診しても以上が見つからない場合がほとんどです。
加齢
加齢により、皮脂を分泌させるホルモンであるアンドロゲンだけでなく、肌の保湿因子や細胞間脂質も減少し肌はより乾燥しやすくなってしまいます。
若い頃よりも新陳代謝も低下するためターンオーバーが追いつかず、古くなった角質がいつまでも乾燥したまま肌表面に溜まってしまうのも、炎症やかゆみを生じさせてしまう原因になります。
なんらかの病気
これまでに挙げた原因のどれにも心当たりがない場合、何らかの病気の症状の一つとしてかゆみが現れている恐れがあります。
かゆみを伴う病気の中には、糖尿病や慢性腎不全、原発性胆汁性肝硬変といった、重大な内臓の病気もありますので、一度異常がないかどうか病院を受診してみましょう。
背中がかゆくなった時の対処法
背中がかゆいとほぼ無意識で掻いてしまいますが、皮膚が傷ついて炎症などの原因になってしまいます。
できるだけ意識して掻くのをこらえ、肌の保湿やかゆみ止めの薬を使用しましょう。
手っ取り早くかゆみを止める方法として、「冷やす」という方法を思い浮かべる方も多いかと思います。
確かに冷やすことで感覚が麻痺してかゆみを止めることができます。しかし、冷やすことで血管が収縮するため、体温が戻るとともに血管が膨張し、余計に強いかゆみに襲われてしまうんです。
そこでおすすめしたいのが、「冷やす」ではなく「温める」対策、特に効果的なのは手から肘までを温める「肘湯」です。
冷え対策として有名な「足湯」に対し、「肘湯」は代謝の向上や保湿に効果があります。
さらに、安眠効果やPC作業の多い現代人に多い肩凝りや頭の疲労、腕や指の疲労の解消、気管支系の症状の改善など、かゆみを止める以外にも様々な症状に効果があるんですよ。
肘湯のやり方
洗面器などに湯船のお湯より2~3℃高いお湯を用意するか、体を浸ける前に湯船を使って行いましょう。
1.手から肘までをお湯に浸けます。
洗面器で行う場合、肘を折り曲げてお湯に浸けます。手はお湯から出てしまっても構いません。
2.温まるまで5~10分浸け続けます。
3.温まったら腕を拭くか、入浴前に行った場合はそのまま湯船に浸かる
どうしても掻きたいときは
すぐに肘湯などの対策ができないときや、どうしても掻きたいときは、掻き方を工夫しましょう。ゴシゴシと往復して掻くのではなく、一方向に掻くというのを試してみて下さい。
往復して掻くよりも痒みが早く治まり、皮膚が傷ついてしまうことも防ぐことができますよ。
背中のかゆみを予防するためには
背中のかゆみを予防するためには保湿が大切です。そこでポイントになるのが入浴の仕方です。
お湯はぬるめで長湯は避ける
熱いお湯は肌への刺激が強く、温熱じんましんを引き起こしてしまう恐れがあります。
また、長時間の入浴も肌を守るために必要な皮脂まで取り去ってしまい、乾燥肌の原因になりますので、38~41℃程度のぬるめのお湯に、10~15分を目安に浸かるようにしましょう。
保湿成分の含まれた入浴剤を使用するのも良いですね。
肌に優しいボディソープを使う
洗浄力の強いボディーソープやシャンプーには合成界面活性剤が大量に含まれており、肌への刺激も強くなっています。
無添加石けんなど肌に優しい石けんやボディーソープ、シャンプーを選ぶようにしましょう。
また、すすぎ残しもかゆみの原因になりますので、頭や体を洗ったあとは、すすぎ残しのないようにしっかりと洗い流してください。
強く擦らない
摩擦はかゆみの原因です。
体を洗うときやゴシゴシと洗うのではなく泡で包み込むように優しく洗い、お風呂上がりもタオルに吸い取らせるイメージで、優しく押し当てるようにして水分を取り除いてください。
お風呂上がりはしっかり保湿
お風呂上がりには、顔だけでなく背中も化粧水やボディ用の保湿クリーム、ローションなどで保湿ケアをしましょう。
一人で塗るのが難しい部分は家族に手伝ってもらうか、スプレー式の化粧水などを使用するなど工夫しましょう。
食事で体の内側から痒みを改善しよう
入浴だけでなく、体の中から乾燥や痒みを改善するために食生活も見直しましょう。
特にビタミンA、B、C、Eといったビタミン類や良質な油分を積極的に摂ります。
ビタミンAはモロヘイヤなどの緑黄色野菜やうなぎ、レバーに、ビタミンBは豚肉やレバー、大豆や卵、乳製品に、ビタミンCはかんきつ類や赤ピーマン、キャベツ、ブロッコリーなどの野菜類に、ビタミンEは大豆やナッツ、ごま、アボガドなどにたくさん含まれています。
油分としては必須脂肪酸の含まれているオリーブ油やごま油、えごま油が挙げられますが、くるみも必須脂肪酸を豊富に含んでいるのでおすすめです。
逆に、辛みの強いものやアルコールは体に熱をこもらせてかゆみの原因となってしまいますので、できるだけ控えるようにしましょう。
辛い背中のかゆみは、乾燥で引き起こされることが多いので、入浴法や食事を見直して保湿をすることが重要です。
また、ストレスを溜め過ぎないように規則正しい生活を心がけて十分に睡眠を取ることも大切ですね。
痒みの原因に心当たりがない場合は、何かしらの病気の症状である恐れもありますので、一度病院を受診してみましょう。