冬のお風呂に死の危険性!「ヒートショック」を防ぐポイント8点

冬の入浴時に起こりやすいヒートショックは、命を奪ってしまうこともある現象です。今回はヒートショックを受けやすい人の特徴や対策のポイントについてご紹介いたします。

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「ヒートショック」とは?

「ヒートショック」とは急な温度変化によって身体が受けるダメージです。ヒートショックは日常生活で起こる現象であり、ひどい場合は命を落とすこともあるため、注意しなければなりません。

ヒートショックは冬の入浴時に起こりやすいもの。暖かい部屋から出て冷えきった脱衣所に行き、暖かいお風呂に入った時、血圧が急激に上昇したり下降したりするため、身体がダメージを受けるのです。

冬期の入浴に伴う血圧変動

冬期の入浴に伴って血圧は以下のように変動します。

1.暖かい部屋では血圧が正常に保たれている
2.寒い脱衣所で体温を守るために毛細血管が収縮されて血圧が上昇
3.熱いお風呂に入ると体が驚いてさらに血圧が上昇
4.入浴中は体が温まり、血管が拡張されて血圧が下降
5.浴槽から出ると水圧から解放されてさらに血圧が下降
6.脱衣所で体が冷えて体温を守るために再び毛細血管が収縮されて血圧が上昇

上記のように血圧の上昇や下降が繰り返されて体に負担がかかります。

例を挙げると、血圧が上昇したときは脳梗塞や脳出血、心筋梗塞など、下降したときは脳貧血によるふらつきに伴う溺死などの危険性があり、多くの人が命を落としています。

ヒートショックによる死者数は交通事故の約4倍

2011年の東京都健康長寿医療センターの調査によると、一年間のヒートショックによる入浴中の死者は約17,000人。交通事故による死者の約4倍に相当します。

特に12月から3月にかけての寒い時期に死者が多く出ていることから、冬期の入浴には注意する必要があるといえるでしょう。

冬のお風呂に死の危険性!「ヒートショック」を防ぐポイント8点

ヒートショックを起こしやすい人

ヒートショックは老若男女どのような人にも起こりえますが、特に病気を持つ人や高齢者は注意をしなければなりません。次に挙げる人はなるべく早くヒートショックの対策を行いましょう。

・65歳以上の高齢者
高血圧の人
・動脈硬化や心臓病などの病気を持つ人
・肥満の人
・睡眠時無呼吸症候群の人

ヒートショックによる死者のうち約8割が高齢者であると考えられています。その一方で病気を持つ人や体調が悪い時は年齢に関係なくヒートショックの危険性が高いため、十分な対策を取りましょう。

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ヒートショックを防ぐポイント

ヒートショックを防ぐためには具体的にどのような対策ができるのでしょうか。8つのポイントをご紹介いたします。

脱衣所を暖めておく

リビングなどから脱衣所に行った時に起こる温度変化を小さくするために、入浴前は事前に浴室を温めておきましょう。暖房器具などを用いると冬でも温度変化を軽減できます。

浴室を暖めておく

浴室と浴槽の間の温度差を小さくするために、浴室を温めることも大切です。入浴前にお風呂のふたを開けておいたり、高い位置からシャワーを使ってお湯を溜めたりすると浴室の温度を上げられます。

特に高齢者などは、浴室が温まっていない一番風呂を避けるほうが良いでしょう。

お風呂は低めの温度に設定

熱めの42度のお風呂に入った場合、入浴前に120㎜Hg程度であった収縮期血圧が140mmHg程度まで上がり、10分後には90㎜Hg程度まで下がります。

このような大幅な血圧の上昇、下降を避けるためにお風呂のお湯はぬるめの温度に設定してください。具体的には38度から40度に設定するとヒートショックの対策ができるでしょう。

冬のお風呂に死の危険性!「ヒートショック」を防ぐポイント8点

入浴前の飲酒を控える

アルコールを摂取すると一時的に血管が拡張されて血圧が下がります。そのため、飲酒後の入浴は血圧変動の幅がさらに大きくなってしまうのです。

また、入浴時に酔った状態であれば、めまいがして溺れてしまったり、注意力がなくなったりする危険性もあるため、飲酒後1時間以内の入浴は避けましょう

なお、普段からアルコールを飲む機会が多い人は高血圧になりやすいため、普段からお酒を飲みすぎないように意識することも大切です。

かけ湯で体を温める

浴室からお風呂に入った時の温度変化を小さくするために、入浴時は足元や手先など心臓から遠い場所からかけ湯をして体を慣らしましょう。

入浴時間は短めにする

30分以上の長風呂は血管を拡張させて血圧を下げ、体を疲れさせてしまいます。入浴時間は体が汗ばむ10分程度にしてヒートショックを予防してください。

低めの温度での半身浴は全身浴と比較して心臓などへの負担が小さいと考えられていますが、長時間お風呂に浸かっているとヒートショックを起こす可能性もあります。半身浴の場合も汗ばむ程度の入浴時間にとどめておく方が良いでしょう。

ゆっくりとお風呂に入り、ゆっくりと出る

浴室にいるときと入浴中の温度変化を避けるためにゆっくりと湯船につかり、ゆっくりと湯船から出ることも大切です。

入浴するときはいきなり体全部をお湯につけず、足から肩にかけて徐々に体を沈めると良いでしょう。湯船から出る際もゆっくりと時間をかけて立ち上がってください。

入浴前後には水分補給する

お風呂に入って汗をかくと血液がドロドロになってしまいます。ドロドロの血液は詰まりやすく、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしてしまう恐れがあるため、入浴前後にはコップ一杯分の水を飲んで水分補給をしてください。

冬のお風呂に死の危険性!「ヒートショック」を防ぐポイント8点

家族で助け合おう

ヒートショックは命を奪う危険性のある現象です。特に高齢者や心臓病などを持つ人と一緒に暮らしている場合は、入浴時に声掛けを行ったり、様子を見に行ったりして助け合うと良いでしょう。

ヒートショックは冬期のトイレなどでも起こりやすいです。寒暖差のある場所に行くときは対策を十分にして自分や家族の体を守ってください。