体には特に異常はないのにストレスや緊張が原因で起こる「空えずき」。吐き気だけを感じてしまう場合と実際に吐いてしまう場合がありますが、どちらにしても辛い状態に違いはありません。ストレスや緊張が原因の「空えずき」や嘔吐が起こる症状を「心因性嘔気症」といいます。そこで今回は、ストレスや緊張が原因で起こってしまう心因性嘔気症による「空えずき」を改善する方法を4つご紹介します。

「心因性嘔気症」とは?

あまり耳慣れない「心因性嘔気症」。

心因性嘔気症とは、精神的なストレスや緊張が原因で吐き気をもよおしてしまう病気で、自分ではストレスを感じてないことも多々あります。

心因性嘔気症と似たような病気で、「心因性嘔吐症」というものがあります。心因性嘔吐症は、原因は心因性嘔気症と同じくストレスや緊張によるものですが、吐き気だけにとどまらず、実際に嘔吐してしまう病気です。別名「神経性嘔吐症」とも呼ばれています。症状がひどくなると、いったん吐いてしまった場所に行くだけで嘔吐したりする場合もあります。例えば電車の中で吐いてしまった経験から、電車を見るだけでも吐いてしまうようになります。

原因はどちらも同じストレスや緊張による精神的なものですが、症状によって区別されています。

心因性嘔気症や心因性嘔吐症の診断方法は、嘔吐の原因となる症状がないかを尿検査や血液検査、腹部エコー、内視鏡などで検査して異常が出なったことを確認し、ストレスとの関係性が認められたときに診断されます。

広告

「心因性嘔吐症」は子供に多い病気

ストレスや緊張が原因で発症する心因性嘔吐症は大人に多い病気だと思われがちですが、実は子供に多くみられる病気です。子供に多い理由は脳の中枢神経が未発達で、かつストレスへの対処に慣れていないからです。発症が子供に多いだけで、大人でももちろん発症しますが、その多くが30歳未満です。

逆に心因性嘔気症は大人に多い病気で、男女を比較するとやや女性の方がかかりやすい傾向にあります。実際に嘔吐するわけではなく、「空えずき」という自覚症状だけなので、周囲に辛さを理解してもらいにくい病気といえます。

「心因性嘔気症」を改善する方法

心因性嘔気症は治る病気です。ですが急に完治するわけではありませんから、焦らずに少しずつ改善していくことが大切です。

まずは心因性嘔気症と診断された場合には、体には異常がなく心因的なものが原因ということを受け入れることが大切です。中には、なかなかおさまらない症状に、病院を何ヵ所も受診して検査を繰り返す方がいますが、それでは辛い期間が長引いてしまうことになります。

1.ストレスの原因を見つけ取り除く

まずはストレスの原因を見つけ、それを取り除きましょう。どういった場面で吐き気の症状があらわれるのか、どのようになれば症状がおさまったのかなど、自分の症状を客観的に判断することが大切です。ストレスを取り除くことであっさりと治ってしまうケースもあります。

2.規則正しい生活を意識する

生活リズムが崩れると、自律神経のバランスの乱れに繋がります。自律神経のバランスが乱れてしまうと吐き気が起こりやすくなりますから、そうならないために生活のリズムを規則正しくすることが大切です。

良質な睡眠をとる

自律神経のバランスを整えるために特に睡眠は重要ですから、夜更かしなどせず早寝を心がけましょう。ただ、ストレスで自律神経が乱れてしまうと、なかなか寝付けないということも出てきてしまいます。そういった場合は次のようなことに気を付けてみて下さい。

  • 寝る前3時間前には食事をしない。
  • 暖かい飲み物で身体を温めてリラックスする。カフェインが入っているコーヒーや紅茶は逆効果になるので、ノンカフェインのものにしましょう。
  • 入浴をして身体を温める。
  • ストレッチをして身体をほぐす。
  • リラックスできる音楽を聴く。
  • 寝る前1時間前からは、テレビやパソコンの画面を見ない。
  • 心地良いと思うベッドや布団、枕にする。

良質な睡眠がとれることで、身体の機能が回復しやすくなり、ストレスや疲労が改善されやすくなるのです。

食生活を見直す

吐き気は胃や腸などの消化器官の乱れによって引き起こされます。ストレスによって消化器官にダメージが加わることもありますが、食生活も大きく影響してきます。また、ストレスによって、暴飲暴食に走ってしまうということもあるでしょう。栄養バランスの取れた食事をするのが基本ですが、次のようなことも気を付けましょう。

  • 刺激物を摂り過ぎない。(香辛料・スパイスが強いもの、ニンニク料理、アルコールなど)
  • 寝る前に食事をしない。
  • よく噛んで食べる。
  • 無理なダイエットをしない。
  • 食べすぎない。(腹八分目くらいを心がける)
  • 楽しく食事をする。

胃腸に負担がかかるような食事は控えるようにしましょう。また、栄養バランスが偏ることは、身体全体のバランスを崩すこととなります。そして、美味しく楽しく食事をすることで、ストレスが発散されることもあるので大切です。

3.大らかな考え方をする

心因性嘔気症になりやすいのは、心配性で真面目で繊細な性格の方がほとんどです。完璧を求め、他者にも自分にも厳しいためストレスをため込みやすくなります。もののとらえかたを少し大らかに、おおざっぱにとらえることを意識するだけでも違ってきます。何事にも完璧を求めず、「まぁいいか」という部分も持てるようにしましょう。

4.ストレス発散方法を見つける

誰もが多かれ少なかれストレスを抱えて生活をしています。この現代社会でストレスを感じずに生活するのは無理な話です。ですからストレスを上手に発散する方法を見つけることが大切です。ショッピングをしたり甘いものを食べたり、友達とおしゃべりをしたりなど自分なりのストレス発散方法が見つければ自然と症状は出てこなくなります。

関連記事:今日からでも実践できるストレス発散方法

広告

「心因性嘔気症」のお薬

心因性嘔気症は、ストレスや緊張によって引き起こされるので、日常生活の中での対処方法が大切になります。しかし、吐き気や嘔吐の症状が激しい時には医師や薬剤師に相談して薬物治療も一緒に行うことも有効です。

吐き気止めの点滴や内服薬で一時的に吐き気を抑えることで、快適に過ごせることがあります。また、ストレスによる不安や緊張が激しい時には、抗うつ薬や抗不安薬を処方してもらえます。

薬を自己判断で乱用するのは身体への負担を増やすことになりますが、容量や用法を守れば、症状を抑えることができ、精神的にも身体的にも楽になれます。無理をしすぎず、自分の症状に合った方法を選択するようにしましょう。

気持ち悪くなってしまった時の対処法

気を付けていても吐き気をもよおしてしまうことはあります。外出先での吐き気がするのは辛いもの。外出先や家でできる、吐き気をもよおしたときの対処法をご紹介します。

ツボを押す

吐き気を抑えてくれるツボを押して症状を軽減させましょう。

■関衝(かんしょう)

吐き気やめまいに効果のあるツボです。手の薬指の爪の生え際(小指側)にあるツボです。

■労宮(ろうきゅう)

イライラや吐き気に効果のあるツボです。手のひらの中心にあるツボで、疲労回復にも効果があります。

■内関(ないかん)

心因性の吐き気に効果のあるツボです。手首内側のシワから6cmほどひじ寄りにあるツボです。

気をそらす

吐き気がしてしまうと、それだけに意識が行きがちですが、吐き気にとらわれず、窓の外の景色を見たり、他のことに意識を向けることで吐き気の辛い症状を緩和させることができます。

体を動かす

ストレスを感じると血行は悪くなってしまいます。血行が悪くなることによっても吐き気という症状が出てしまいますから、ストレッチを行うなど体を動かし血行を良くすることによって症状を抑えることができます。

また意識的に軽い運動やエクササイズなどを日ごろから取り入れることで、血行が良くなり吐き気を予防することができます。上手にストレスと付き合いながら、自分なりの対処法を見つけましょう。

関連記事:寝る前に行うストレッチのやり方

アロマオイルを使う

アロマオイルは香りによって嗅覚を刺激して、脳に働きかけてくれるものです。精神安定をしてくれたり、不安を取り除いてくれたりと、ストレスを軽減させてくれます。ラベンダーやイランイラン、サンダルウッドなどがおすすめです。

また、ペパーミントのようにスーッとする香りは、吐き気を抑えてくれることもあります。アロマポットやデュフューザーで芳香浴をしたり、ティッシュやマスクに数滴垂らして持ち歩いたり、香りを楽しむと良いでしょう。

ゆっくりと入浴をする

忙しい時には、シャワーだけで済ませているという人も少なくないと思います。しかし、吐き気をもよおしてしまうような、ストレスや疲れが溜まりやすい忙しい時こそ、ゆっくりと入浴をするのがおすすめです。

ゆっくりと入浴をすることで、身体が温まり血行が良くなり代謝が上がり、身体全体の調子が良くなります。また、リラックスすることができるので、副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整います。その結果、ストレス軽減となり吐き気が治まりやすくなります。

38度くらいのぬるめのお湯で20~30分くらい湯船につかってみて下さい。良質な睡眠もとりやすくなります。

関連記事:お風呂でできる、ぽっこりお腹解消ダイエット

まとめ

吐き気があるのは辛いこと。身体に特に異常がない吐き気や嘔吐は、ストレスや緊張による「心因性嘔気症」と言われます。そういった場合には、ストレスを取り除くことが大切です。

自分が何にストレスを感じているのかを考えてみて、ストレス発散方法を見つけましょう。人それぞれ、ストレス発散方法は違います。楽しく快適に過ごせるように、生活習慣や食生活を見直してみて下さい。ゆっくりと焦らず、ストレスと向き合いましょう。