NHKの番組、『あさイチ』でも紹介されたことがある「 ドローイン 」。

ドローインとは、英語で「draw in」と書き「引っ込める」という意味です。

息を吸って、お腹を大きく引っ込めてお腹周りの筋肉であるインナーマッスルを鍛えるエクササイズです。ぽっこりお腹は、インナーマッスルが弱り内臓が垂れ下がっているためなので、インナーマッスルを鍛えて、内臓を正しい位置に戻そうというものです。

内臓が下がるとどうなる?

内臓が下がるということは普通に生活していると自覚することはほとんどありませんよね。内臓の位置が下がってしまう原因は、私たち人間が二足歩行を始めたことが大きく関係しています。

もともと人間の祖先は二足ではなく、他の哺乳類と同じように四本で歩行していた動物です。それが進化して二足歩行になったことで内臓が重力とともに下がりやすくなってしまい、その結果として内臓が圧迫されて機能が低下したり、腸の動きが悪くなって、ぽっこりお腹になってしまうこともあるわけです。

内臓が下に下がってくると腸の働きが悪くなるので便秘がちになってしまったり、骨盤も歪んできてしまうので血行やリンパの流れが悪くなり、冷え性やむくみやすくなってしまいます。女性は子宮が圧迫されるため生理痛がひどくなる事もあるのです。

正しい位置に内臓を戻そう

内臓が下がるのは、重力によって自然に起こることです。それを防ぐためには、内臓を支える筋肉を鍛えて重力にまけないようにするか、頭を下にして、自然に内臓が元の位置に戻るようにするしかありません。

内臓が下がることを内臓下垂といいますが、胃下垂、腸下垂などとも言われます。一つだけの臓器が下がることはあまり考えられないため、胃下垂の人は腸下垂になっている可能性も高く、痩せているのに下腹が出ている人や食事をするとお腹の下の方が膨らむ人は内臓下垂かも知れません。

運動不足や加齢による筋肉の低下、猫背や骨盤の歪みも内臓が下がってしまう原因となります。

逆立ちをしたり、鉄棒に足を引っかけてぶら下がるなど、内臓下垂を戻す方法はあります。ただ、日常生活の中では毎日続けるのはちょっと難しいことなので、もっと簡単に、誰でもできる方法で内臓が下がるのを防ぐ方法があれば嬉しいと思いますね。

そこで注目されているのがドローインという健康法なんです。

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ドローインのやり方

  1. 肩が上がらないように立った状態で胸を張り、姿勢を正す。猫背になってしまうと効果があまり得られません。
  2. お腹をへっこめながら、この時も肩が上がらないよう息を大きく吸いこむ。なるべく限界まで吸って止めてみましょう。肩が上がると深い呼吸が出来ていない証拠になるので注意してやってみましょう。
  3. 息をゆっくり吐きながら、お腹をさらにへこませるイメージで。この時に、お尻の穴にもぐっと力を入れる2と3でお腹をしっかりへこませた状態を30秒キープする。お腹の上だけじゃなく、下っ腹部分もちゃんと凹んでいるか確認してみましょう。
  4. これを10セット繰り返す。

今回は立った態勢でのご紹介ですが、慣れてきたら、料理中とか買い物をしながらでも取り入れてみてください。軽いジョギングと同じぐらいのエネルギー消費なので、ダイエットにもオススメです(^_-)-☆

ただし、最初は30秒間へこませたままキープできなくても大丈夫です。最初は10秒、そして15秒と徐々にお腹をへこませた状態を長くキープして呼吸を続けられるようにします。つい力んでしまうとやりがちですがキープ中は呼吸を止めないようにしましょうね。

肩こりがある人は肩甲骨を寄せるようなイメージでやるとコリがほぐれてきますので試してくださいね。

関連記事:なかなか引っ込まない「ぽっこりお腹」を改善する筋トレ

ドローインの効果

ドローインはお腹を意識して思い切り凹ますことでお腹を囲む腹横筋を鍛える効果があります。腹式呼吸を意識して腹筋を動かしインナーマッスルと呼ばれる部分を鍛えることが出来るのです。この筋肉は体幹の中でも鍛えにくい部分なので、ドローインを行うことで体幹が鍛えられ、内臓下垂を予防する効果が期待できます。見た目だけではなく腹筋が内臓を正常な位置に戻してくれるので、下っ腹のぽっこりお腹に効果的なのです。

実はこのドローインはヨガの呼吸法からヒントを得ていると考えられるほど、ヨガの中には同じような呼吸法があります。お腹を凹ませて、腹式呼吸ではなく胸式呼吸をすることで、筋肉を鍛えるだけでなく、自律神経の交感神経を活性化する効果があります。交感神経と副交感神経はバランスをとり合っているのが理想です。

ドローインによって交感神経が活性化されると活力が高まり、インナーマッスルを鍛えることで代謝も向上します。そのため、ダイエットにも役立ちます。代謝が上がるので、むくみや冷え性の悩みも解決し、お腹が元気に活動するので便秘も解消できます。

また、毎日ドローインを続けていくと、背骨を支える筋肉にも影響があり、姿勢が良くなります。

様々な効果が期待できるドローインは道具も必要とせず、すきま時間にちょこっとやるだけでも効果が期待が出来るので大変手軽に出来ます。いつでも気軽に出来ますが、リラックスして行うとより良いですよ。

関連記事:腰痛の緩和に効果的な「インナーマッスル」強化のストレッチ

ドローインで痩せる?

本当に簡単な運動なのでこれで痩せるのかと疑いたくはなりますよね。前述したように、ドローインを続けていくことで普段は意識して使っていないお腹周りの筋肉を鍛えることが出来るおかげで代謝がアップするので痩せやすい体へと変わっていくのです。その為、サボってしまったり続けなければ効果を実感するのは難しいです。

5キロも痩せた!というダイエット方法ではなく、お腹周りがシュッと締まり見た目がキレイになる方法だという認識のがいいかもしれません。体重が減らないとガッカリするよりもウエスト周りのサイズをこまめに測るとドローインの効果を実感するので鏡などで写真を撮って残しておくのもいいですね。1日目と比べると見違えますのでモチベーションが上がりますよ。

1日3回頑張ると意気込むよりも毎日こつこつ続けることがドローインを行う上で大切なことなので、最初から無理をせず段階を踏んで取り組みましょう。

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ドローインの注意

いつでも気軽に出来ますが、腹筋への効果も薄れますので食後にやるのは控えましょう。

また、首や肩などドローインを行っていて痛みを感じる箇所がある場合は、負担がかからないようにやる回数を少なくして1日にこまめにやってみるなど様子見しながら行いましょう。肩に力が入るとインナーマッスルがうまく動かせず、十分に効果が得られないのでお腹以外に力が入っていないかも注意しながら行いましょう。

ドローインの応用

今回ご紹介したドローインのやり方は、立った状態で行う方法です。

基本の方法ですが、座った状態や横になった状態でもドローインをすることはできます。座った状態で行う時には椅子に浅く腰かけた状態で膝を軽く開いて、お尻の両側を引き締めるようにして座り、同じようにお腹を引っ込めて呼吸します。横になって行う時は仰向けになり、お腹がしっかりと凹んでいるのを手で確認しながらゆっくりと行いましょう。

腹筋の動かし方が分からなかったり、腰が反ってしまうという方は、腹筋がしっかりと動かすことが出来る仰向けになってやる方法がおススメです。立っても仰向けになっても得られる効果は同じなんですよ。お腹の上ではなく左右に手を当ててドローインを行うと腹筋が動いているのが分かるので慣れたら立ってやるなど試してみましょう。

通勤時間に電車の中でこっそり行ったり、オフォスの椅子に座った状態で行うなど、応用が色々できるのがドローインのメリットです。

まとめ

女性の悩みに多いのが便秘ですよね。ダイエットをすると便秘が余計に悪化することもあるのでスッキリしたいのにお腹がポッコリ。そんなお悩みの改善にはドローインはおすすめです。

前述したように内臓が下がると腸の動きが悪くなり、ガスが溜まったり腸がむくみやすくなります。老廃物を排出する動きそのものが低下してしまうリスクがあるんですよ。それが女性を慢性的な便秘にさせてしまいポッコリお腹にしてしまうというわけです。

ドローインでお腹周りの筋肉を刺激し、内臓が下がるのを防ぎ、さらにはお腹の中までキレイにするなんて、ドローインのスゴイ効果には大きな期待が集まるのも大いに納得です。生理不順や冷え性の解消にも繋がるので女性にとっては嬉しい事ばかりです。

どこでもできちゃう手軽なドローイン。ぜひ今すぐにでも試してみてはいかがでしょう。